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CATEGORY : ビューティ |ヘアケア

セルフの髪染めも乳がんなどと関連? 研究で新たにわかった気がかりな結果

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髪染めの様子

自分で髪染めをするのはごく一般的ですが、体への影響など安全性が気になる人も多いでしょう。海外の研究では髪染めの薬剤と乳がんが関連していると指摘されたこともありました。このたび海外の研究であらためて調べた結果、がん全般として分析すると関連性はないとわかりました。ですが女性特有のがんと皮膚がんに絞ってみるとリスクは高まる可能性があるとの結果に。どのように対処するとよいのでしょうか。

監修 : 星 良孝 <ステラ・メディックス>

ステラ・メディックス代表取締役社長 獣医師/ジャーナリスト
専門分野特化型のコンテンツ創出を事業として、医療や健康、食品、美容、アニマルヘルスの領域の執筆・編集・審査監修を担っている。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BP社において「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年に会社設立。YouTubeステラチャンネルでもヘルスケアの話題を発信。
YouTube:https://youtube.com/@stellach

Contents 目次

12万人近いデータを分析

カラーリングをしている様子

さまざまな化学成分から成り立つヘアカラーリング製品で気になるのはその安全性。WHO(世界保健機関)のほか、国の機関が安全性の基準を設けています。WHOの国際がん研究機関は研究データや証拠に基づき、美容師など仕事でヘアカラーリング製品を扱う人がこうした製品から影響を受ける可能性があり、「発がん性である可能性が高い」と指摘しています。ただ、個人的にこうした製品を使う場合はリスクがあるような判断はされていません。

米国ハーバード大学などの研究グループは、最も一般的に使われる「パーマネントヘアダイ(永久染毛剤)」のひとつである酸化染料剤を個人的に使う場合にがんと関連性があるのかを調べました。女性看護師を対象に行われている米国の大規模な追跡調査から、12万人近くの36年間にわたるデータを分析したのです。パーマネントヘアダイを使った頻度や期間と、さまざまながんの発症およびがんによる死亡との関連性を分析しました。

一部のがんのリスクと関連性を確認

カラーリングする様子

ここからまず明らかになったのは、パーマネントヘアダイを使っても、がん全般で見た場合にはその発症や死亡のリスクを高めることはないこと。内訳を見ていくと、大腸がん、肺がん、脳腫瘍、白血病など大部分のタイプのがんは髪染めと関連性がないという結果になりました。

ただし、もうひとつわかったのは、例外的に一部のがんは髪染めによってリスクが高まる可能性がありそうだということでした。一部の皮膚がん(基底細胞がん)で少しリスクが上がったほか、乳がん(ホルモン受容体陰性の特徴をもつもの)と卵巣がんは、髪染めの頻度が増えるほどリスクは上がっていくと判明しました。

このほか元の髪色が濃い人では、血液のがんの一種であるホジキンリンパ腫のリスクが高くなり、元の髪色が薄い人では皮膚がん(基底細胞がん)のリスクが高くなるという関連性も見られました。研究グループは今回の結果は白人女性で見られたものなので、別の人種や民族には当てはまらない可能性があると指摘。さらなる安全性の研究が必要としています。今後の研究についても注目されそうです。

<参考文献>

ヘアカラーで乳がん増える? 縮毛矯正やヘアマスカラも関連の可能性
https://fytte.jp/beauty/93726/

Zhang Y, Birmann BM, Han J, et al. Personal use of permanent hair dyes and cancer risk and mortality in US women: prospective cohort study. BMJ. 2020;370:m2942. Published 2020 Sep 2. doi:10.1136/bmj.m2942
https://www.bmj.com/content/370/bmj.m2942

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