「糖質制限」をはじめ、「低糖質」や「ロカボ」など、炭水化物の量を制限する人気のダイエット。しかし、自ら20㎏のダイエットを成功させ、7000人もの食生活を診てきた管理栄養士の伊達友美さんは、「糖質制限は女性には向かない」といいます。そこで今回、その理由をお聞きしました。
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糖質制限が女性に向かないワケ
糖質を制限することで、食後の血糖値が上がりにくくなり、インスリンの分泌が減って体脂肪がエネルギーに変わるという仕組みの糖質制限ダイエット。ストイックな糖質制限でなくても、日ごろからご飯を減らすなどして、低糖質=ロカボ生活をしている人は少なくないはずです。
「糖質制限をしてやせる人というのは、もともと糖質をすごくとりすぎていた人だけです。FYTTEの読者のような、日ごろから糖質を控えている人がやっても意味はありません」(伊達先生)
「糖質をとりすぎていた男性が実行すると、やせやすいのはたしかです。しかし、女性には生理があり、むくみや冷え性になりやすい体質。体の構造も栄養のとり方も違う女性がやっても同じ効果は見込めません」
「しかも、女性が糖質制限や低糖質=ロカボをすると、便秘で悩む場合が多いです。人間自体は糖質をとらなくても、ケトンが代わりにエネルギーになるので生きていくことはできます。しかし、腸内細菌だけは糖というエサがないと生きていけません。そのため、善玉菌が死滅してしまい、腸内環境が悪くなってしまうのです。そうでなくても女性は便秘で悩む人は多いので、糖質を制限してさらに便秘になりやすい状態にするのはよくありません」
糖質の量ではなく、質を変えることが重要!
「そこで、私は、糖質の多い穀物の中でも女性が多く食べがちな“小麦抜きダイエット”を提唱していいます。糖質の量を制限するのではなく、糖質の質の改善をするダイエットです。なぜ小麦の糖質がNGなのかというと、小麦の加工品は、体を冷やし、腸内環境を乱し、アレルギーの原因にもなるうえ、ご飯ほど腹持ちがよくないからです。“麦”は夏の季語になっているように、麦わら帽子や冷や麦、麦茶、ビールを意味する麦酒など、麦のつく言葉はだいたい夏のものです。つまり、体を冷やすものなので、冷え性の人は控えたほうがよいのです」
冷え性の人こそ、ご飯を食べよう!
「糖質制限ダイエットは、炭水化物を抜くことで体内の水分が抜けるので、体重が減りやすいのが特徴です。ただ実行し続けるのが難しく、元の食生活に戻した途端、リバウンドしやすいのが問題です。
ご飯を食べる=太ると思いがちですが、それは大きな誤解です。米に水を炊き込むご飯は、水分量が多いため、そのぶん、体重は増えます。一方、パンは焼いて水分を飛ばしてしまうので、軽く、食べても直接体重には影響しません。しかし、それは水分量の問題なだけで、ご飯のほうが、体は冷えないし、水分もとれ、お通じもよくなるので、断然、優秀なのです。今すぐパンやパスタなどの小麦加工品は控え、ご飯食を始めましょう!」
次回は、伊達先生が「小麦抜きダイエット」にたどり着いた理由をお届けします。
取材・文/奥沢ナツ