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遠征生活で身についた女子プロボウラー森彩奈江選手のコンディショニングの整え方 #アス女飯 

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森選手がボウリングのボウルを持って微笑んでいるショット

アスリート女子。彼女たちは栄養素をバランスよく摂取しながら、食事量をうまく調整して体作りを行い、競技に臨んでいます。そんなアス女の皆さんに健康的な食生活を送る秘訣を教えていただこうという企画『アス女飯』。第13弾は女子プロボウラーの森彩奈江選手にお話を伺いました。

監修 : 青柳 愛

フリーアナウンサー。野菜ソムリエ、日本スポーツコーチ&トレーナー協会JASCATスポーツ栄養アドバイザー。日本テレビ系列静岡第一テレビ時代に農業番組を担当したことから「食」に興味を持ち、フリーアナウンサーに転身後は、イベント司会業、アナウンス業を行いながら、スポーツ取材の経験を活かしスポーツ栄養を専門としたライター・アドバイザーとしても活動中。著書『監督たちの高校サッカー』(東洋館出版)。
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Contents 目次

再びブーム!女子ボウラーの魅力とコンディショニングの整え方

森選手がボウリングをしているショット

1970年代、若者たちが空前のブームを巻き起こしたボウリング。じつは今、じわじわと再燃の兆しを見せているのをご存じでしょうか。

国体、高校総体、大学選手権、アマチュア、プロとそれぞれの世代での大会があり、幅広い世代に親しまれていますが、ここ数年でさらに経験者人口が増えおり、年間約1,500万人が親しんでいるというデータもあります。この再燃の背景には、シニア層のボウリング回帰に加えて、若年層をとり込む新しいボウリング施設の充実、そして女子ボウラーの活躍などがあります。50年前の一大ブームの裏側には、火つけ役とも言える美人プロボウラーの存在がありましたが、半世紀を経て再び人気を集めています。それだけ、ボウリングは女性にとって親しみやすいスポーツと言えそうです。

今回の「アス女飯」は、プロボウラー森彩奈江選手(41)にお話を伺い、あまり知られていない女子プロボウラーの生活やコンディショニングを整えるための食生活などをご紹介します。レジャーとしてだけではなく、競技としても楽しめるボウリングの魅力や、女性ならではの楽しみ方も伺ってまいりました。

第12弾・ノルディックウォーキング・渡邊由美子さんの記事はこちら。
17キロの減量に成功&更年期の不調を一気に解消! ノルディックウォーキングと食事法 #アス女飯

OL時代を経て3度の挑戦でつかんだプロへの道

森選手の故郷・静岡県は、国内有数のボウリング県でもありナショナルチームも多い土地柄です。さらに家族もボウリング好きで幼いころからご両親やお兄様と一緒にボウリング場へ通い、小学5年生ですでにマイボールがあったとか。とは言えボウリングだけではなく、球技全般に興味があり、中学時代はバスケットボール部に入部。大学時代にはバスケットボール部とボウリング部をかけ持ちしていましたが、大学2年時に、突き指などのケガの恐れがあるためにボウリング一本にしぼったそうです。

卒業後はOLとして地元県内の大手企業に就職し、ボウリングはアマチュアとして続けていました。森選手が本格的にプロを目指したのは27歳のとき。当時を振り返りこのようにおっしゃっています。

「あるとき、アマチュアで出場した新人戦で優勝し、同じ大会でプロ選手が投げる姿を見て素直に『かっこいい!』と思ったんです。それと同時に小学生だったころに『スポーツ選手になりたい』と思っていたことを思い出しました。ごまかしていた自分にも気づいたんですよね。プロボウラーが投げる姿を見て、一念発起してプロテストを受ける決意をしました」(森選手)

しかし、ここからが険しい道のりでした。毎年4月に行われているプロテストは1次~3次試験まであり、4日間でそれぞれ12ゲーム投げ、アベレージ190以上を出し続けなければなりません。

「初めてプロテストを受けたときは2005年。当時プロへの合格ラインのアベレージ185以上で初めてのプロテストは1次審査で不合格。2006年には合格ラインが190に引き上げられたことで、ギリギリのところで合格できませんでした。正直、このとき心が折れかけました。でも夢を夢で終わらせたくないと、3度目の挑戦でやっと合格しました。2007年の29歳でプロ入りなので、じつは遅咲きアスリートなんです」(森選手)

早いスタートではなかったプロへの道でも、諦めずに挑戦し続けられたのはなぜだったのでしょうか?

「私の場合は一度OLを経験しているからこそ、何がしたいのかが明確にわかっていたのかも知れません。プロとして投げたいという強い想いがあったので、年齢なんて気にせず挑戦し続けられたのだと思います。負けず嫌いなんです(笑)」(森選手)

“一念天に通ず”という言葉を体現するように、夢に真っ直ぐに向き合ってこそひらけた道だったようです。

遠征で身についたコンディショニングの整え方

プロ生活がどのようなものかを知らない人は多いのではないのでしょうか。そこで、どのようなスケジュールで試合を行っているか伺いました。

「私たちプロボウラーは12月に行われる全日本選手権の最終戦に向け、年間を通したポイントで順位を競います。全国で開催される公式戦はもちろん、イベントやチャレンジマッチの試合もあるのでかなり移動の多い生活です。プロになった当初1、2年はわけもわからずで慣れることに必死でしたが、今はコンディションの整え方がわかっているので、全国を回りながらその土地の魅力にふれたり、ファンの人たちと交流できたりと移動の楽しさを感じられるようになりました」(森選手)

基本的に試合は週末(木曜~日曜)に行われることが多く、週末に向けて体を作っていくことが多いそうです。それでは、試合中はどのようにコンディションを整えているのでしょうか。

「基本的に午前10時から試合のことが多いので、4時間前の6時には起床してウォーミングアップと朝食をとるようにしています。プロ生活を始めたころは朝食を抜いていたこともありましたが、朝食を食べるようになってから成績もよくなっているので願かけの意味も込めて欠かさず食べています。炭水化物であるお米とパン、両方を食べるのが私流の朝食でしっかり食べています。ただ、年齢とともに脂肪もつきやすくなっているので、間食は減らし、脂っこいものはさけ、ゲーム間は飴をなめる程度にしています。夕食も試合期間中は食べ過ぎないようにしていますね。というのも、1日投げ終えるとかなり心身ともに消耗していて胃も弱っているので、次の日のために体の負荷をかけないようにしています。そのぶん、試合最終日の夜はご褒美に焼き肉やお寿司など好きなものを食べて、長めの睡眠(7~8時間)をしっかりとるようにしています」(森選手)

森選手おすすめ!「豚肉と野菜のトマト煮込み」

牛肉と野菜のトマト煮込み

ここで森選手のおすすめ「豚肉と野菜のトマト煮込み」をご紹介します。
試合明けに自宅でよく食べているメニューをお教えいただきました!

<材料 1人分>
豚ヒレ肉 100g
マジックソルト 少々
にんじん 1/2本
玉ねぎ 1/2個
トマト 1個
オリーブオイル 適量
にんにく 1/2かけ
水 100ml
ローリエ 1枚
塩・こしょう 少々
パセリ 少々

<作り方>
1.豚ヒレ肉をひと口大にカットしてマジックソルトをふりかけておく。

2.にんじんは乱切り、玉ねぎは5センチ角に、トマトは6等分にカットしておく。

3.鍋にオリーブオイルひき、スライスしたにんにくを炒めたら、豚ヒレ肉、にんじんと玉ねぎを鍋に入れて中火で1分〜2分炒める。

4.(3)にトマトと水、ローリエを入れて弱火でコトコト30分程煮込む。

5.最後に塩・こしょうで味を調えてお好みでパセリをふりかければできあがり。

思った以上に練習や試合では神経を使うので、胃がもたれないようなやさしい料理を心がけているそうです。遠征中は野菜が不足しがちなので、野菜を多くとり入れられる煮込み系料理は体の負荷にならないのでおすすめです。

女性ならではのボウリングの楽しみ方

さて、ここで森選手に女性ならではのボウリングの楽しみ方について伺ってみました!

「性別問わずに楽しめるボウリングですが、女性には特にいいスポーツだと思うのです。ワイワイ話しながら3ゲームくらいはできるじゃないですか。自然と有酸素運動ができますし、最近はグリップがゴムになっていたり、ボウリング場にテーピングが置いてあったりするので、指を痛めずに楽しむこともできます。
バーみたいになっていたりカジュアルな雰囲気だったり、気軽に楽しめるボウリング場もありますから、女子会的な感覚で始めるのもいいかもしれませんね。あと、なんといっても日に焼けないのがいいです(笑)。70代でプロの人もいらっしゃるので、レジャーとして楽しむのもよし! 生涯スポーツとしてちょっとストイックに競技を楽しむのもよし! いろんな角度から楽しんでもらえたらうれしいです」(森選手)

ボウリングファンというと男性ファンが多いイメージがありますが、徐々に女性ファンも増えてきているそうです。かわいいコスチュームや衣装を参考にしたいという人もいるそうです。

森選手はもっとボウリングを身近に感じてもらいたいとYouTube番組やInstagramでの情報発信も積極的に行っているので、SNSを参考にプロボウリングを身近に感じていただくのも楽しみ方のひとつかもしれません。

40代を迎えて新たな心境で投げている今シーズン

森選手が所属するリーグのキャッチフレーズは「シンデレラガール」。164センチの長身からくり出される高いバックスイングからスピードボールが持ち味で、すらっとした美しさとパワープレイとのギャップが森選手の魅力といえます。そのよさを大切にしながら、40代を迎えて新たな心境で投げるようになってきたと言います。

「今もパワーのあるプレイは変わりませんが、いい意味で新しい挑戦ができる40代でもありたいとボールのドリル(穴)を変えてみたり、パワーだけではなく強弱をつけた投げ方を追求しています。ボウリングはいかに自分の世界、ブレない心でやれるかも大切だと思うので、周りに惑わされることなく、いかに自分の世界観で投げられるかを大切にしています。40代は自分の世界観で投げるプレイヤーになりたいと思っています」(森選手)

今シーズンはコロナの影響から他競技同様、ボウリング界も試合中止を余儀なくされ、プレイできなかった期間がありました。まだ通常通りの試合数は開催できていませんが、徐々にトーナメントも開催されるようになってきました。
そんな中、森選手が改めて気づいたことがあると言います。

「今年のようになかなか試合ができない時期というのは人生の中で、そうないと思うんですよね。そのぶん、どれだけボウリングが好きであるかがわかった時期でもありました。10月からの試合が待ち遠しいです! 今までPリーグでの優勝はありますがまだ公式戦での優勝はないので、公式戦優勝を目指してがんばりたいです。ここまでがんばれているのは、家族の応援のおかげです。公式戦優勝を家族への恩返しのひとつと思って、持ち前の負けず嫌い精神で夢を叶えたいです。まだまだ気持ちは若く! 現役生活をがんばっていこうと思います」(森選手)

近日中の試合は以下の通りです。
10月25日〜28日 新規 第1回大岡産業レディーストーナメント
11月5日〜7日 新規 APA CUP KING’s & QUEEN’s プロフェッショナルボウリングトーナメント

森選手はじめさまざまなキャラクターの女子ボウラーたちの活躍ぶりを刺激に、トーナメントを観戦してからボウリング場へ行くと、それまでの投げ方とはまた違う心境でボウリングを楽しめるかもしれません。

森選手がガッツポーズをしているショット

【取材協力】森 彩奈江選手
1979年11月19日生まれ。A 型、静岡県出身、所属フリー。
プロ入り:2007 年(40 期生・ライセンス No.429)利き腕:右投げ
《 JPBA データ 》アベレージ(2019 年)201.13 公認パーフェクト:5 回
2019 年ポイントランキング 49 位 ※2019 年最終成績
《 主な戦績 》
2019 年 全日本女子プロボウリング 21位
2017 年 グリコセブンティーンアイス杯 12位 /全日本女子プロボウリング 10位
2011 年 プロボウリングレディース新人戦 8位
2009 年 プロボウリングレディース新人戦 2位
P リーグでの成績 6回優勝
P★リーガー プロフィール
森 彩奈江オフィシャルブログ
Instagram 

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