モデルのヤハラリカが世界一過酷といわれる灼熱のサハラ砂漠を走る「サハラマラソン」に挑戦したレポート。苦しみながらも走り続けた250kmあまりの中で彼女が得た経験とは?
Contents 目次
あと8km。が遠い・・・
前回までのお話はこちら
いつもだったら休憩すれば多少回復する体力が全く回復することはなく、CP3をでました。足が痛い…肉離れに近い痛さ。でも肉離れ経験者としてはあの独特の肉が離れる瞬間の音がしていなかったので「気のせい、気のせい」と何度も言い聞かせます。
あとたったの8km。230km以上走って来た後のたったの8km。でもこの激痛の足での8kmはもう1歩も進みたくないくらいの痛さ。しかし止まる時間はありません。痛みと戦いながら、ここに来て制限時間クリアできなかったら…ここまで来たのに…と不安とともに進みます。
迫るタイムリミット
42.2kmに12時間もかかるはずないと思っていましたが、もうすでにかなり時間が経っていて、意図していなくても足の痛みでさらに遅くなっていた私はこのままだと間に合わない時間になっていました。まさかここに来て制限時間クリアできないなんて…絶対嫌だ!と意を決し、重いリュックを左右に揺らしながら走り出しました。
それまで全く見えていなかった前方のランナーがとぼとぼと歩いているのが見つかり、後ろから走って追い越す私を驚いた様子で見ていました。「走れば間に合うと思うの!最後だから!!」と言って追い越すと、次は日本人の参加者に会い、「最後、走ってゴールしたいと思って!」と言って走り続けました。しばらく走っていてふと後ろをみたら、さっき追い越したアメリカ人のおじさんと日本人の二人が私の後ろにぴたっとくっついていました(笑)。
自分のリュックが左右に揺れる音と余裕のなさなのか全く二人の気配を感じていなかったのでものすごくびっくりしました(笑)
「RIKAに勇気をもらったよ!」と言ってくれて、嬉しくなって「トレインだね!」といって三人で列になってしばらく走り、下がりきっていたテンションが一気にあがりました。
しかし、もうゴールはあと3km程度になってきたところでおじさんが離脱。「ごめん、RIKA限界だ。先行ってくれ。ゴールで会おう!」と言って別れを告げて列は二人だけになりました。と、ここでその日本人の男性をみたら、いやはや、早歩きをしています。
いやいや私はジョグなのに。すごい速さで早歩き。逆にすごい。そしてちょっと屈辱(苦笑)。改めて何度も何度も思ったことですが、わたし足遅いんだなぁと(笑)。もう気にしないで自分のゴールだけ考えることにしました。
ゴールは!?制限時間は!?
ただただ会話もなく走り続け、ランナーたちを追い越しました。遅すぎてずっと一人で走ってたけどちゃんと皆いたんだなと思いました。ここで追い越しても私は別に順位とかが気になっているのではなく、ただただゴールしたい。制限時間内に。それだけでした。
夢中で走り続け、遠~くのほうにゴールが見えました。いつものエンジン音が聞こえてきます。走り続け、徐々に音楽も聞こえてきます。ゴール付近にはたくさんの人たちが!
「はっ!カメラ!」と取り出したものの、力が残っていなくて落としてしまいました。拾い直して、ゴールのアーチへ!!大会創設者のパトリックさんがメダルを持って待っていてくれたのでそのまま胸に飛び込みました!制限時間25分前。なんとヤハラ、「世界で最も過酷といわれるサハラマラソン」、完走しましたー!!
ついにゴールしたヤハラリカ、そのあと待っていた感動体験とは?
感動のアーチ
ゴールして、ご褒美の温かくて甘~いチャイをもらい、テントに戻ろうとすると、なんとスタッフさんたちが総出で出迎えてくれて、皆でアーチをつくってくれました。
「RIKAよくやったね!」「オメデトー!」とハグしてもらって、そのアーチをくぐりました
私が荷物大きくて連日遅かったから、スタッフさんたちも顔を覚えてくれて、「荷物大きい、よく泣く日本人の女の子」と認識してくれていたみたいです(海外で若く見られがちなワタクシ)。
出迎えて拍手をくれました。
ゴール直後の感想
アドレナリンで走りきったので、安堵で一気に嗚咽するほど泣いて、一気に忘れていた足の痛みが襲って来ました。でもいいやゴールできたし、という気持ちでした。
「よかったー!やったよー!私でもできたよー!」というのが最初の放った率直な感想です。私はすごくない。サハラマラソンという世界一過酷な大会で、すごい人をたくさん生でみたので、むしろ自分がどれだけちっぽけかを思い知らされました。素直に、「世界にはすごい人がたくさんいるんだなー。そんな人を間近で見られて幸せだなー」と思いました。
何はともあれ、無事完走。あんなに怖くてたまらなかった挑戦が、無事に終えられたのです。本当によかったー。日本で応援してくれた皆にメダル見せられるー!早く報告したいなー!と思っていました。
最後は翌日のチャリティステージ7.7kmだけ。皆でタイムを気にせず走る(歩く)、砂丘も崖もない平和なステージです。