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頭痛、肩こり、耳鳴り、めまい……これだけある「天気痛」の主な症状とは
雨が降る前や台風が近づくと頭痛がする、梅雨時になると古傷が痛む・・・。これまで「気のせい」で片づけられてきた、こうした症状は、天気の影響による「天気痛」であることがわかってきました。愛知医科大学・学際的痛みセンター客員教授で、“天気痛ドクター”としてメディアでもおなじみの佐藤純先生に、天気痛を引き起こす疾患について伺いました。
Contents 目次
天気の影響を受けやすい代表的な症状は片頭痛
天気痛を起こしやすい主な症状をまとめました。
片頭痛
天気痛の代表的な病気が片頭痛で、ズキンズキンと脈打つような痛みが特徴です。天気の影響で痛みがくり返し起こることが、頭痛を慢性化させているケースもあります。片頭痛の原因はよくわかっていませんが、なんらかの理由で血管が拡張し、三叉神経(さんさしんけい)という痛みに関わる神経が興奮することで起こると考えられています。
「気圧の変化で三叉神経が興奮することがわかっており、気圧の変化が血管の拡張に影響を及ぼしていることが考えられます」
片頭痛の症状には、めまいが生じるものを「前庭性片頭痛」といいますが、前庭への刺激が原因となるため、気圧の変化との関連も考えられています。
緊張型頭痛、首こり、肩こり
緊張型頭痛、首こり、肩こりは、首回りの筋肉の血行不良や筋肉の緊張によって起こります。
「さらに気圧の変化という要因が加わると、交感神経が刺激されることで血管が収縮し、血行が悪くなり、痛みやこりが悪化します。首こり、肩こりから頭痛になるなど、連作的に痛みが起こることもあります」
古傷
事故や手術などによる古傷が、気圧の変化で、うずき出したり、痛みが復活したりすることがあります。
「過去に長く続いた痛みがあると、脳の中に痛みを再現するプログラムができてしまうのではないかと考えています。その痛みを再現するスイッチのひとつが、気圧の変化というわけです」
めまいや気分がふさぐことも
痛み以外にも、めまい、耳鳴りといった症状が出ることもあります。
めまい
体をまっすぐに保つ平衡感覚は、目(視覚)、内耳の前庭神経や三半規管、手足や首の動きといった情報が脳に伝わることで機能します。ところが、この機能になんらかの障害が起こると、めまいが生じます。
「天気痛のめまいは、気圧の変化で交感神経が刺激され、血管が収縮。内耳にむくみが生じて、内耳の平衡感覚を司るセンサーが誤作動を起こすことが原因です。また、気圧の変化をキャッチするセンサーも、内耳にあるため、気圧の変化がダイレクトに内耳を刺激して、めまいが起こることも考えられます」
耳鳴り、吐き気、眠気
天気痛には、内耳が関係するため、耳鳴りがしたり、耳の聞こえが悪くなるといった耳の症状も出やすくなります。また、自律神経のアンバランスで、吐き気や眠気などが起こることもあります。
痛みや不調が天気と連動していることがわかれば、天気痛の痛みは予防することも可能です。
取材・文/海老根祐子 イラスト/黒川ゆかり