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楽しいときほど、じつは疲れがたまっている? 「隠れ疲労」に要注意

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忙しくても、楽しいときほど、自分でも意識できない疲れがたまっていきます。疲労研究の第一人者で、東京疲労・睡眠クリニック院長の梶本修身先生は、それを“隠れ疲労”と呼んでいます。知らず知らずのうちにたまっていく隠れ疲労について、梶本先生に伺いました。

監修 : 梶本 修身

東京疲労・睡眠クリニック院長。医学博士。2003年より産官学連携「疲労定量化及び抗疲労食薬開発プロジェクト」統括責任者。ニンテンドーDS『アタマスキャン』をプログラムして「脳年齢」ブームを起こす。『世界一受けたい授業』(日本テレビ系)など、メディアでもおなじみの疲労研究の第一人者。著書に『すべての疲労は脳が原因』『すべての疲労は脳が原因2〈超実践編〉』(集英社新書)、『隠れ疲労』(朝日新書)など多数。

Contents 目次

やりがいのある仕事で、過労を招く理由

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“隠れ疲労”とは、自覚できない疲れのことです。
私たちが感じる体の疲れ、頭の疲れ、気疲れなど、すべての疲れは、じつは自律神経の疲れです。しかし、脳は、あえて「体が疲れた」と誤解させます。「それ以上の運動や作業は、命の危険があるから、休みなさい」と知らせるためです。隠れ疲労は、この防衛本能が働かないことで起こります。

隠れ疲労が起こるのは、どんなときでしょうか。

「注意したいのは、やりがいを感じて、仕事に夢中になっているときなどです。ランナーズハイというように、運動をしていると、ある時点でエンドルフィンなどの興奮物質や快感物質が分泌され、『気持ちいい』『楽しい』といった気分になってきます。仕事にやりがい感じているときも、興奮物質や快感物質が分泌されます。疲れていても、そのサインが興奮物質や快感物質でマスキングされてしまい、疲労感を感じなくなってしまうのです」

自覚できないまま疲れがたまっていくと、慢性的に疲れを感じるようになったり、過労で倒れるリスクも高まります。また、免疫力が低下して、感染症にかかりやすくなったりするといいます。楽しいときほど、意識して休みはきちんととるように心がけたいですね。

疲れのサインを見逃さないで! 隠れ疲労を防ごう

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疲れは、発熱、痛みとともに、人が命を維持するための「三大アラーム」といわれています。疲れがたまってきたら、必ず、なんらかのサインが現われます。次のような変化を見逃さないようにキャッチしましょう。

仕事や勉強中に「飽きた」と感じる

「仕事や勉強の最中に、“飽きた”と感じるのは、疲れのファーストサインです。長時間の同じ作業は、脳の特定の部位を使い続けることになるため、酸素を大量に消費します。それによって、活性酸素が発生。自律神経の細胞がダメージを受ける酸化によって、パフォーマンスが低下してきます。これが「飽きた」という状態です。『これ以上、同じ部位に負荷をかけないで』という脳からのシグナルなので、この時点で休息をとることが必要です」

サインを無視して作業を続けていると、肩がこったり、目がしょぼしょぼするなど、体にもさまざまな症状が出てきます。

「脳が疲れずに仕事や作業を続けられる時間は、1時間から1時間半といわれています。その前に休憩を入れて、気分転換をはかれば、脳の疲れによるパフォーマンスの低下を抑えられるので、仕事や勉強がはかどるようになります」

電車で寝落ちしてしまう

「電車の中だろうと、眠くてたまらず寝落ちしてしまうのは、脳の疲れがピークに近いというサインです。脳が半ば矯正的に休息に入ろうとして、意識をシャットダウンさせるのです。睡眠時間の不足や、質のよい睡眠がとれていないことが考えられます」

起床4時間後に、眠気やだるさを感じる

「人が本来持っている生体リズムでは、脳がもっとも活動的になるのは起床4時間後です。単純作業より、創造的なことに適しているといわれています。そうした時間帯に、眠気やだるさを感じるのは、疲れがたまっているサインです」

夜中に何度も目が覚める

「自律神経が疲れてくると、なかなか寝つけない、夜中に何度も目が覚めるようになります。正常な睡眠の場合、寝つくまでの時間は10分±2分です。ベッドに入って5分以内に寝落ちしたり、寝つくまでに30分以上かかるのも、疲れがたまっているシグナルといえます」

心あたりがあったら、疲れをほうっておかずに、ブレイクタイムをとりましょう。

取材・文/海老根祐子

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