「すぐに疲れてしまう」「手足が冷える」「足がむくみやすい」「便秘になりがち」……、こんな「なんとなく不調」に悩まされていませんか。病院に行くほどではないし、とそのままにしていたら、症状は悪くなるばかりです。症状が軽いうちに、自分でできる方法で不調改善にトライしてみましょう! 今回は、年間2000人以上の患者さんの悩み相談に答えてきた漢方カウンセラーである大久保愛さんの著書『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)から、あなたの不調のタイプの見分け方と、タイプに合わせた食事で不調を改善する方法を3回にわたってお伝えします。
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女性の体は「7の倍数」で変化する
漢方の古典として知られる『黄帝内経(こうていだいけい)』には、女性の年齢の重ね方について、「女性は7の倍数で変化する」と記されています。
14歳で初潮を迎え、21歳で女性機能が成熟し、28歳で女性ホルモンの分泌のピークを迎え、35歳で卵巣機能が低下し始め、42歳で心身ともに衰えが始まり、49歳で閉経が訪れると考えられてきたのです。
女性ホルモンの分泌量がピークを迎える28歳くらいまでは、少々無理をしても肌荒れはしないし、増えた体重も元に戻るし、つらいことがあっても気合いで乗り越えられたかもしれません。でも、28歳を過ぎたら、そうはいかなくなります。体の異変や心の不調、たるんだボディラインを見て見ぬふりをして過ごしていたら、体はどんどん老化していくのです。
あなたが「なんとなく不調」に悩まされ始めたのも、28歳を過ぎたころではないでしょうか。
不調は5つのタイプに分類できる
もちろん、心身の変化が起こるタイミングは人それぞれで、すべての人に同じように不調が出てくるわけではありません。ですが、さまざまな不調は、漢方の『五行説』をベースに考えると5つのタイプに分けることができます。
五行説では人間の体を「肝(かん)・心(しん)・脾(ひ)・肺(はい)・腎(じん)」の五臓に分類し、それぞれが連携して健康を保っていると考えます。そして、面白いことに、臓器によってどのような生活習慣から影響を受けやすいかが異なるのです。
具体的には、「肝」タイプの人は「ストレス」、「心」タイプの人は「血行不良」、「脾」タイプの人は「冷え」、「肺」タイプの人は「便秘」、「腎」タイプの人は「不眠」の蓄積が不調のきっかけになるのです。
体質について、「私は神経質で、もともとストレスに弱いから……」などと思い込んでいる人もいますが、これは大きな誤解かもしれません。というのも、漢方では体質には「2つの要素」があると考えます。
ひとつは両親から遺伝的に受け継いだもので、「先天の精」といいます。もうひとつは、生活習慣によってつくられる「後天の精」です。この後天の精の影響は、先天の精の10倍以上もあるといわれています。
つまり、生活習慣を変えれば、体質は変えることができるということ。そして、生活習慣の中でも、ダイレクトに体をつくる「食事」が体調に与える役割はとても大きいのです。
体質チェックで、自分の傾向&対策を知ろう
では、あなたの現在の体質をチェックする方法をご紹介しましょう。
次のA~Eにある症状の中で、当てはまるものにチェックをつけましょう。当てはまる設問が多かったアルファベットがあなたの体質です。これによって、あなたの不調がどんなことをきっかけに起こっているのかがわかります。
【体質チェック】
A
□頭痛、肩こり、背中の張りがある
□眼精疲労、ドライアイがある
□歯ぎしり、食いしばりのクセがある
□せっかちで短気な性格だ
B
□顔が熱く、下半身が冷える
□ドキドキしたり、息切れを感じやすい
□汗をかきやすい
□手足がむくみやすい
C
□やせやすい、あるいは太りやすい
□唇が荒れたり、口内炎によくなる
□胃もたれ、膨満感を感じる
□筋肉がつきにくい
D
□アレルギー体質である
□体温調整が苦手だ
□乾燥肌である
□のどや鼻が弱い
E
□トイレが近い、あるいは回数が少ない
□生殖器系の疾患になりやすい
□白髪、あるいは抜け毛が多い
□耳鳴りや耳の閉塞感がある
【体質チェックの結果】
Aが多かった人(肝タイプ)
⇒「ストレス」があなたの不調のきっかけに。イライラや気分の落ち込み、PMSや生理不順などが起こりやすいです。
Bが多かった人(心タイプ)
⇒「血行不良」があなたの不調のきっかけに。疲れやすかったり、不安感に悩まされたり、顔色が悪くなりやすいです。
Cが多かった人(脾タイプ)
⇒「冷え」があなたの不調のきっかけに。手足が冷えたり、雨の日に体調が悪くなったり、肌や体がたるみやすいです。
Dが多かった人(肺タイプ)
⇒「便秘」があなたの不調のきっかけに。下腹部が出っ張ったり、乾燥肌や小ジワが気になったり、風邪をひきやすいです。
Eが多かった人(腎タイプ)
⇒「寝不足」があなたの不調のきっかけに。眠りが浅かったり、太りやすかったり、更年期障害に悩まされやすいです。
チェックの結果はいかがでしたか。いくつものタイプに当てはまって、ガッカリした人もいるかもしれませんね。でも、自分のタイプがわかれば、今日からでも対策は可能です!
体質に合った「食事」を心がければ、次第に体質改善をすることができます。
さらに今回は、食事を通じて五感(嗅覚・視覚・味覚・触覚・聴覚)を刺激することで、より効果的に女性特有の不調の解消を目指していきましょう。実は、この五感も五行説に基づいて分類することができ、タイプごとに積極的に癒したい感覚があるのです。
実際にどんな食事がおすすめなのかは、第2回(A~Cの体質)・第3回(D・Eの体質)でご紹介しますので、お楽しみに。
文/出雲 安見子
【参考図書】
『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)
監修/大久保 愛
薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。秋田県出身。地元の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室を卒業し、薬剤師になる。その後、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍中。