冬のシーズンに入って新型コロナウイルス感染症が世界的な増加傾向に。あらためて対策の重要性が確認されています。そうしたなかで、海外の研究によると、感染と紫外線の減少との関係があるのではとの報告が。ただし、季節の影響はありそうであるものの、ソーシャルディスタンスのほか、マスクや消毒などがそれを上回って大切だと説明されています。
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冬になると変化が?
新型コロナウイルス感染症の第二波、第三波に見舞われている今、日本でも外出自粛があらためて求められています。新型コロナウイルス感染症のほかにも、冬になると感染症は増えやすい場合があります。これまでに新型コロナウイルス感染症についても気温や湿度との関係について研究が行われ、そうした気象条件との関係が報告されたこともあります。
このたび米国ハーバード大学の研究グループが注目したのが紫外線との関係です。紫外線については、一般的にウイルスの消毒効果があることが知られています。そのため、新型コロナウイルス感染症は日照のなかの紫外線とも関係しているのではないかと疑われました。そこで170か国以上、3000以上の地域で毎日の新型コロナウイルス感染症の状況と、気象データを分析して、感染症に対する紫外線の影響について調べることになったのです。
紫外線が強まる地域で感染は減少
こうして判明したのは、紫外線が強まると、次の週の新型コロナウイルス感染症の広がりが低下することでした。冬から夏にかけての紫外線の増加によって感染症の増加率が7%落ちるということです。計算すると、紫外線の増加によって1日の感染者の増加率が半減するようなインパクトが出てくる可能性もありました。研究グループによると、気温や湿度の関係について詳細が解明し尽くされたわけではないものの、何らかの可能性はありそうだといいます。
もっとも研究グループによると、紫外線が強まったからといっても、それよりもソーシャルディスタンスをとったり、マスクをしたり、手指の消毒をしたりする対策のほうが感染症の広がりを止める効果は高いとのこと。天候がどうであれ、感染症の拡大を防ぐための対策は欠かせないといえそうです。
なお、研究グループは、ウイルスに対する紫外線の効果について想定されるメカニズムについても指摘。紫外線によってウイルスが破壊される可能性のほか、肌で紫外線を受けると、ビタミンDが作られて、免疫機能が高まる可能性があるといいます。今後のウイルス対策にこうした研究が活かされてくるとよさそうです。
<参考文献>
COVID-19 spread increases when UV levels decrease
https://www.seas.harvard.edu/news/2020/12/covid-19-spread-increases-when-uv-levels-decrease
Carleton T, Cornetet J, Huybers P, Meng KC, Proctor J. Global evidence for ultraviolet radiation decreasing COVID-19 growth rates. Proc Natl Acad Sci U S A. 2021 Jan 7;118(1):e2012370118. doi: 10.1073/pnas.2012370118. PMID: 33323525.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33323525/
https://www.pnas.org/content/118/1/e2012370118