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CATEGORY : ヘルスケア |オーラルケア

20代と40代ではケアの方法が違う! プロが選ぶ口腔ケアグッズ

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歯ブラシ、糸ようじなど画像

歯周病や虫歯対策には、歯科医のケアだけでなくセルフケアも欠かせません。最近ではドラッグストアの店頭にさまざまな口腔ケアグッズが並び、どれを選べばよいのか悩んでしまいますよね。そこで昨年『えっ⁉︎ まだ始めてないんですか? お口からの感染予防』(ギャラクシーブックス)を出版された歯科医師の宮本日出先生に、プロがオススメする口腔ケアグッズについて伺いました。

監修 : 宮本 日出 (歯科医師・歯学博士)

みやもと・ひずる 歯科医師、歯学博士、幸町歯科口腔外科医院・院長。
日本顎関節学会・代議員・指導医・専門医、厚生労働省歯科医師臨床研修指導医、その他、大学・学校の教官職等多数。国内外に160篇以上の論文を発表、複数のメディアにも登場している。

Contents 目次

20代では虫歯対策中心の口腔ケアを、40代では歯周病対策がマストに

歯ブラシしている女性

「歯周病菌にかかるのは18歳〜20歳ごろですが、歯周病の症状が出るのは40歳を超えてからです。20年以上の間、歯周病菌は歯の表面の薄い菌膜(バイオフィルム)の中で、少しずつ成熟します。症状が出てから手を打つのではなく、症状が出る前からしっかりとケアをしておくことが大切です。

また虫歯は、歯の表面のエナメル質を溶かして、歯の内部へと侵入し破壊する歯の感染症です。虫歯はどの年齢でも発生しますが、虫歯の発生には虫歯菌の繁殖状況だけでなく、歯の質も影響します。歯の生え始めは歯の表面が弱く虫歯になりやすい状態ですが、時間が経つと固くなり虫歯になりにくくなります。タケノコが成長して、かたい竹になるようなイメージをしていただけるとわかりやすいと思います。ちなみに歯が完全にかたくなるのは18~20歳頃です。

これらのことを考えると、20代の頃には虫歯対策を中心とした口腔ケアを、年齢が上がるにつれて歯周病対策へシフトしていくのがよいでしょう。40代になったら、歯周病の症状があろうとなかろうと、歯周病対策としての口腔ケアを行うのはマストです」(宮本先生)

目的意識をはっきりもって口腔ケアを行うのが大切なんですね。
では具体的に、虫歯対策と歯周病対策とでは、ケアの方法はどのように異なるのでしょうか。それぞれのケアについて、オススメグッズを交えて伺いました。

年代別、おすすめ口腔ケアアイテムの選び方

歯ブラシなど画像

●20代――虫歯予防を第一に考えた口腔ケアを
歯の表面につき、エナメル質を溶かして歯の内部へと侵入する虫歯菌。こうした虫歯対策には、虫歯菌への効果があるものと、歯質強化の働きがあるものを使うのがよいでしょう。

虫歯菌には塩化セチルピリジウム(CPC)が効果的です。うがい薬には2種類あり、歯みがき前に行う液体歯磨きと、歯磨き後に行う洗口液があります。

<宮本先生オススメの液体歯みがき(歯みがき前に使用)>

G・u・m(サンスター)
ディープクリーン(花王)
ピュオーラ(花王)

 

<宮本先生オススメ洗口液(歯みがき後に使用)>

モンダミン(アース製薬)
リステリン(ジョンソン・アンド・ジョンソン)
Systema SP―Tメディカルガーグル(ライオン)

 

歯質強化には、フッ素入りのものがオススメです。大人では1,500ppmまで、子どもでは500ppmまでの濃度が配合されます。歯みがき粉を使う場合も、配合成分を見て選びましょう。

歯ブラシは平たん型にカットされた「ラウンド加工」のものを使用します。「ラウンド加工」は歯の表面の汚れ落しが得意なので、虫歯対策にうってつけです。力が入りすぎないよう、やわらかめのものを選び、ヘッドの大きさは奥まで届く“小さめ”がおすすめです。

ラウンド加工歯ブラシ画像
毛先が平たんにカットされたラウンド加工の歯ブラシは、虫歯予防に有効

●30代――そろそろ歯周病対策も気にしたい時期
虫歯予防を考えた口腔ケアに、歯周病対策もプラスしましょう。まずは歯ブラシ、朝は虫歯予防に有効な「ラウンド加工」のものを。夜は細切りカットされた「テーパー加工」の歯ブラシがおすすめです。テーパー加工は歯ぐきの細かいところに届く毛先なので、歯周病対策に使います。

テーパー加工歯ブラシ画像
毛先が細切りにカットされたテーパー加工の歯ブラシは、歯周病対策に有効

歯ブラシはいずれも、毛先は”やわらかめ”、ヘッドは奥まで届く”小さめ”がオススメ。みがくときは鉛筆を持つような手つきで。こうすると、力が入りすぎるのを防ぐことができます。まじめな人ほど力を入れてみがいてしまい、歯がすり減ったり、歯ぐきを傷めたりしますので要注意です。
歯ブラシの効果的な使い分けについては、あとに紹介する表も参考にしてみてください。

さて、歯周病菌は歯ぐきの下の菌膜の中に潜んでいます。この菌膜は強力で、基本的には歯科医院ではぎとるしか、治療方法はありません。しかし一部の歯みがき粉では、菌膜に浸透する効能があるものがあります。

イソプロピルメチルフェノール(IPMP)がそれです。菌膜に入り込み、菌膜の中で殺菌作用を施しますので、歯周病菌を減らすのに有効です。IPMPは、液体歯みがきよりチューブの歯みがき粉に含まれている場合が多いです。

<宮本先生オススメ歯磨き粉>

デントヘルス薬用ハミガキSP(医薬部外品)(ライオン)
ルシェロ 歯みがきペーストP(ペリオ)(ジーシー)
システマハグキプラスプレミアムハミガキ(医薬部外品)(ライオン)

 

●40代――歯周病対策が必須に
40代になると、歯周病の症状のあるなしにかかわらず、歯周病対策をしっかり行う必要があります。30代で紹介した歯周病対策を行ったうえで、必ず夜の歯みがきでは、フロスや歯間ブラシを使って歯間清掃を行ってください

●歯並びが悪い人は…?
歯並びが悪い人は、念入りなケアが必要です。特に歯が重なっているところは、みがき残しが多くなります。普通の歯ブラシだけではなく、細く先の尖った「ワンタフト歯ブラシ」を使って、歯の間をていねいに、キレイにしましょう。フロスも欠かせません。

虫歯対策と歯周病対策の両方を行う必要がある30代以上の人は、歯ブラシを1日3回、使い分けて総合的なケアをすると、さらに効果的です。下の表を参考にしてみてください。

●おすすめの電動歯ブラシは…?

電動歯ブラシ画像

電動歯ブラシは、大きく2種類に分かれます。
(1)電動歯ブラシ
(2)音波歯ブラシ

(1)はモーターによる歯ブラシの回転で歯をこすり、汚れをとる歯ブラシです。(2)は振動(水流)により、直接歯ブラシが届かないところの汚れまで落とします。歯科医師は圧倒的に、(1)より(2)を使用します。

(2)のタイプは「オーラルB(ブラウン)」と、「ソニッケアー(フィリップス)」が有名ですが、清掃効率のよさや使いやすさで、後者を愛用する人が多いです。ただし「ソニッケアー」は歯ブラシの刺激が強いため、唾液の飛散が大きく、感染の原因となる可能性があるのが難点とされていました。

そんななか、最近「ハイドロソニック プロ(CURAPROX)」が登場しました。清掃効果はハイクオリティの「ソニッケアー」と同等でありながら、刺激がマイルド(段階調整可能)で、唾液の飛散がとても少なくなったので、周囲への感染対策も可能だと評判の製品です。

今回、見てきた口腔ケア。少し前までは、虫歯・歯周病対策としてのみ考えられてきましたが、最近では、感染症対策という役割としても注目されています。

「口の中の環境が悪いと、インフルエンザなどのウイルス感染や肺炎などの細菌感染にかかりやすいことがわかっています。細菌が出すプロテアーゼという酵素は、ウイルスを体内に侵入しやすくしますし、誤嚥(ごえん)性肺炎は、口の中の菌が原因となります。こうしたウイルスや細菌を減らすためにも、ていねいな口腔ケアがとても効果的なのです」(宮本先生)

ちなみに宮本先生は、1週間に1度は、使用している歯ブラシを「全とっかえ」するそう。
「毛先が開いたら歯ブラシをとり換えましょう、とよくいわれますが、歯ブラシの毛先は、使っていくうちに摩耗していくものです。毛先が開いたか開かないかわからないうちに新しいものにとり換えたほうが、すみずみまでていねいなケアができるのでおすすめです」

取材・文/内藤真左子

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