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かむ音が大きいとお腹いっぱいになりやすい?! 歯科医オススメ“せん切りキャベツダイエット“
すっかり生活の一部となったマスク。マスク生活によって肌荒れが…といったトラブルはよく耳にしますが、じつは、歯並びにも悪影響があるといわれています。また自粛生活による“コロナ太り“も気になるところ。歯並びも、ボディラインもくずれてほしくないですね。美しい歯とボディを手に入れるためにできる生活のコツについて、歯科医師の宮本日出先生に伺いました。
Contents 目次
歯並びに大きく影響する「口呼吸」
子どものころに、やわらかいものばかり食べていると、あごが成長せずに歯並びが悪くなることは知られていますが、じつは大人になってからも思わぬ生活習慣が歯並びに影響してきます。その中のひとつが、マスク生活による口呼吸の増加です。
「あまり意識されていませんが、じつは舌や唇などの周囲の組織が歯並びに影響します。
正常に口を閉じた場合、舌の先端は上の歯の裏側にあり、舌の腹(上)は口蓋(上あご)にしっかりついて、舌の力、唇の力、ほおの力のバランスがとれた位置に歯が並びます。
しかし口呼吸になると、舌の先が下の歯の裏に位置して、舌は口蓋につかずに、いわゆる“低位舌“となります。ほおの軟膜の力が強く働いて、歯は内側に押され移動するため、歯が重なり合い歯並びは乱れます。
口を開けていると、下あごは奥へ、下へ行くので、上の歯ばかり目立つようになり、いわゆる“出っ歯”に見えるのです」(宮本先生)
マスクをつけると口呼吸になりやすくなりますが、これは若い女性ほど顕著なので特に注意して口を閉じ、鼻で呼吸をしてほしいと宮本先生は言います。
40代過ぎたら要注意! 「歯周病」が歯並びを乱す
歯周病が歯並びに影響することも少なくありません。
「40歳を超えると歯周病の症状が出て、歯がグラつく人が出てきます。歯がグラつき始めても、痛みがないので自覚症状はなく放置されるケースが多いようです。
しかしそのままだと、のちのち後悔することになるかもしれません。
歯周病によって歯がグラついても、かむ力は変わらないので、それまで通りグイグイとかんでしまいます。するとかみ合わせが狂って、歯が傾いてきます。前歯では、下の歯が上の歯を押し上げて、上の歯は前に突き出すようになります。これが出っ歯です。とくに、歯周病で奥歯を失った場合、かみ合わせが深くなり、出っ歯になるケースが多く見られます。奥歯は目立たないからとそのまま放置する人が多いのも原因です。
歯を1本でも失ったら、早いうちに必ず歯科医による治療を受けてほしいですね。知らないうちにかみ合わせが狂い、気がついたら歯並びが乱れてしまっているケースがとても多いのです」
コロナ太り解消に効果的な食生活
コロナ禍による自粛生活は、運動不足やカロリー過多な食生活を招きがち。ここ1年で体重が増えたという人も多いのではないでしょうか。
さらに自粛生活ではストレスを抱えることも少なくなく、若い世代に強いストレスを感じている人が多いといわれています。
そのため、コロナ禍のダイエットは、できるだけストレスのかからないものがオススメだと宮本先生は言います。ただでさえストレスのある生活を送っているところへ、さらにさまざまな食事制限を施してストレスをかけてしまっては、反動で過食…といったことにもなりかねません。
そこで、先生オススメの手軽にできるダイエット方法をご紹介します。
静かな環境で、かむ音が大きな食べものを! “せん切りキャベツダイエット”
食事を食べる環境と、食べる食事の量には関係があります。
アメリカユタ州ブリガムヤング大学が、音と食事の量の関係を明らかにしました*1。
人が大勢で話していたり、音楽が流れていたりする環境での食事と、静まり返った環境での食事とで、食事量に差が出るかどうかを調査したところ、静かな環境で食事をしたほうが、食事量が少なくなることが判明。
また、食べものをかむときの音(咀嚼音)と、食事の量の関係も調べました。すると、「バリバリ」や「サクサク」の咀嚼音がする食材をとったときのほうが、食べる量が少なくなったのです。
つまり、静かな環境で、咀嚼音のある食材を食べると、最も食事量が減るということになります。研究では、食事量は約3割少なくなりました。咀嚼音のある食材といえば、たとえばキャベツ。キャベツをかむ音は、けっこう頭に響きますよね。実際に、コロナ禍の緊急事態宣言で自粛生活のなか、1日1食だけ主食をキャベツに置き換えた調査がありますが、約1か月後には、1人平均3kgの体重減少の結果が出たのです*2。
主食をせん切りキャベツに置き換えるだけならば、加熱調理などの手間なくできラクチンです。ストレスなくとり組めるのではないでしょうか。気になる人は、ぜひ今晩からチャレンジしてみてください。
ダイエットホルモンをコントロール!“レモンでダイエット”
過去にレモネードダイエットが流行りましたが、健康を損ねるという理由で下火になりました。ただし、このとき注目を浴びたのが食材である「レモン」です。レモンには、食欲を抑え、ダイエットホルモンをコントロールする成分が含まれています。レモンのダイエットにおける有効性と、レモンを使ったダイエット方法をご紹介します。
【レモンがダイエットに向いている3つの理由】
(1)食欲を抑える
レモンを口に含むと、味覚のなかでも苦味に敏感になります。苦味は、食べものに含まれる毒性を知らせ、体の生体防御機構を働かせるので、自然に食欲を抑えられるようになります。
(2)血糖値の上昇を抑える
レモンは食後の血糖値の上昇を抑える働きをします。特に日本の主食である米飯に対して、その効果が高いことが証明されました*3。レモンを食前にとると、食後45分まで20%以上の血糖上昇を抑えます。血糖値がゆるやかに上昇すれば、体に脂肪をためこむのも防ぐことができます。
(3)ダイエットホルモンをコントロールする
レモンには、ダイエットに欠かせない3大ダイエットホルモンをコントロールする効果があります。
・グレリン:食欲ホルモンといわれるグレリンの血中濃度が高いと食欲が出て、低いと食欲はなくなります。レモンはこのグレリンの分泌を抑える働きをします。
・リプチン:満腹ホルモンといわれるリプチンは、強力な満腹シグナルを出し、エネルギー消費を増大させ、肥満抑制や体重増加の制御の役割を果たします。レモンはリプチンをたくさん分泌するように働きます。
・アディポネクチン:脂肪燃焼ホルモンといわれるアディポネクチンは、運動したときと同様の脂肪燃焼効果があります。レモン摂取量が多いほどアディポネクチンの分泌が多いことがわかっています。
このように見ていくと、レモンはぜひダイエットにとり入れたい優秀な食材だということがわかります。レモンの成分を十分にとり入れるには、レモン果汁を大さじ2杯、レモン水などにして、食前に飲むのが手軽でおすすめです。
本来は、レモンの皮に含まれる成分もぜひとり入れたいところなので、国産、無農薬のレモンなどを見つけたら、よく洗い、うすくスライスしてレモンティなどに使って、皮ごと食べてみるのも手です。
ただし、レモンは酸性なので、歯を弱くする可能性があります。まずは歯医者さんで虫歯の治療をしっかり行ってから、レモンをとりましょう。
ファストフードは食物繊維とセットで
外食も控えがちな自粛生活で、手軽なファストフードや冷凍加工食品は、時間がないときや気分転換したいときの強い味方です。
ところが宮本先生によると、こうした食品は、全体的に食物繊維が不足している傾向があるそう。
「ファストフードや冷凍加工食品は、食感をよくするために食物繊維がとりのぞかれている場合もあります。食物繊維は体内に炭水化物が吸収されるのを抑え、血糖値の上昇をゆるやかにするという重要な働きをしてくれるものです。ですから、ファストフードや冷凍食品を利用するときは、一緒に食物繊維が多く含まれている大豆などの惣菜もとりましょう。酢も血糖値の上昇を抑えるのでオススメです」
今回は自宅で手軽にできるコロナ太り対策も多くとりあげました。コロナ太りや歯並びが気になっている人は、できることから新しい習慣をとり入れてみてはいかがでしょうか。
<参考文献>
*1 The crunch effect: Food sound salience as a consumption monitoring cue
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0950329316300271?via%3Dihub
*2 Effect of the postprandial blood glucose on lemon juice and rice intake.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gsr/7/2/7_174/_pdf
*3
『えっ!? まだ初めてないんですか? お口からの感染予防』(宮本日出著 ギャラクシーブックス社)
取材・文/内藤真左子