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女性の口もと画像

以前は子どもが行うものという認識があった歯列矯正。最近は大人世代でも施術する人が増えています。歯並びはかみ合わせと深くかかわってくるので、見た目だけでなく健康そのものにも大きな影響が。そんな理由からも、大人になってから歯列矯正にチャレンジする価値も十分にあるそう。日々、進化を続ける歯列矯正事情を歯科医師の宮本日出先生に伺いました。


歯列矯正には歯並びだけを治す方法と、あごの骨(顎骨=がっこつ)から矯正する方法があります。
まずはポピュラーな、歯並びだけを治す方法についてご紹介しましょう。

歯並びだけを直す方法2つ

現在の歯列矯正治療法を大別すると“マウスピース治療“と“針金治療“に分かれます。

●マウスピース治療

マススピ-ス治療画像

「“マウスピース治療“とは、透明なマウスピースを使って歯並びをキレイに整える矯正治療です。透明なので、治療装置が目立たないというメリットがあります。針金やブラケット(ボタン)を歯につける必要がありません。

イベントなどがあるときは、自分で着脱ができるので、とても人気の方法です。事前にご自身や友人の結婚式、就活といった大事な場面が想定される場合は、この方法を選択される方が多いです。ただし1日20時間以上の装着が必要ですので、はずしてもすぐに入れ直すことになります。

この方法でうれしいのは、虫歯や歯周病の対策がしやすいところ。歯をみがくときにとりはずせるため、口内の衛生状態をキレイに保ちやすいのです。

治療は、基本的にマウスピースを作り変えることで進めます。歯の模型があれば、患者さんがいなくてもコンピューターでマウスピースが作成できるため、1回の治療時間が短縮できます。お仕事や子育てなどで忙しい人には、向いているといえるでしょう。

逆に、この治療法のいちばん難しいところは、自分でマウスピースの管理をしないといけないことです。1日20時間以上、装着する必要がありますが、自由にとりはずしできるため、つい、つけていない時間が長くなってしまい、予定より治療期間が延長になることも少なくありません。

また、歯並びによっては、抜歯が必要なケースもあります。マウスピース矯正の場合は、長い距離の歯の移動ができないため、抜歯を伴う治療にはオススメできません。したがって、マウスピース矯正は、歯並びが比較的整っている人に向いている方法だといえます」(宮本先生)

●針金治療

針金治療画像

「“針金治療“とは、歯にブラケット(ボタン)をつけて、ブラケット同士を意図的に曲げた針金で結び、針金がもとに戻ろうとする力を利用して歯を動かすという、昔からある治療方法です。矯正歯科専門医が直接治療を施すので、患者さん自身で管理する必要がありません。そのため、治療期間が長引くリスクが少ないことが特徴です。

歯並びがどんなに悪くても、針金のゆっくりと持続した力が歯を確実に動かしてくれるので、治療が安心して受けられます。一方、ブラケットが目立ちますし、唇で歯に装着したブラケットの感触がわかり、気になる人も少なくありません。

この治療法はブラケットとの間に食べ物がはさまりやすく、ていねいにブラッシングしないと、すみずみまでキレイにできないのが難点です。しっかり歯のケアをしなければ、せっかく歯並びがよくなっても、虫歯になってしまうことがあるので注意が必要です。

ブラケットには、金属製と透明なプラスティック製があります。見た目は目立たない透明なほうがよいのですが、耐久性は金属製のほうが上です。
また、歯の外側ではなく、内側にブラケットをつけて、目立たなくする方法もあります。この方法は、歯の裏にブラケットをつけるスペースが確保できない場合や、強い矯正力が必要な治療ではできないことがあります」

針金には、シルバーの金属色だけでなく、カラフルな色のバリエーションもあり、最近は楽しんで治療を受けている人も増えているのだそうです。

あごの骨から矯正する「顎骨(がっこつ)外科矯正治療」

歯並びを整える際には、歯だけではなくあごの骨を医学的にしっかり見て判断する必要があると先生は言います。もともと、あごの骨(=顎骨)がとても小さかったり、あごの位置が前過ぎたりうしろ過ぎたりする場合、そのまま歯並びを整えようとしてもよい治療にはなりません。そのような場合は、口腔外科医が顎骨の手術を行う矯正治療が必要になるのです。

「基本的に手術は口の中から行いますで、顔に傷あとが残る心配はありません。事前に、歯並び担当の矯正医と、手術を行う口腔外科医が十分な打ち合わせをし、わずかなかみ合わせの狂いもないように、両医の確認のもとに手術を進めます。あご全体を手術する方法もありますし、かみ合わせによっては、歯並びの一部だけを手術する方法もあります。

矯正治療をするときに、顎骨から直すのか、歯並びだけを直すのか、それによって治療の方法や歯の並べ方などが大きく異なってきます。事前に専門の先生とよく相談することが大切です」

矯正で歯は抜く? 抜かない?

歯科医の画像

必要に応じて矯正で歯を抜く場合があります。どんな場合に歯を抜くのでしょう?

「歯の幅の合計と、顎骨(がっこつ)の歯が並ぶスペースを比べて、歯の幅の合計のほうが大きい場合は、物理的に歯が並びません。その場合は、歯の本数を少なくして、限られた骨のスペースに歯並びが整えてそろうようにします。その計算は、術前の画像検査(レントゲン)でシミュレーションして、決定します。

抜く歯は、いちばん、かみ合わせに影響がなく、目立たない歯を選びます。
かみ合わせに影響がないという点では、歯のサイズが大きい奥歯は避けたいところです。けれども目立たないという点から考えると、前歯ではなく奥歯のほうが目立ちません。この両方の条件を満たしているのが、通常前から数えて4番目の“第一小臼歯”という歯になります。

一般的には、上下左右の“第一小臼歯”の合計4本を抜きますが、ケースによっては上下の歯のどちらか一方の左右2本だけを抜くこともあります。ただし矯正治療では、左右対称が治療の基本となるので、右だけや左だけといった、左右どちらか片側だけの歯を抜くことはありません」

八重歯が外に出て目立つ人がいますが、八重歯を抜くこともほとんどないそう。八重歯は「Key Tooth(鍵の歯)」と呼ばれ、かみ合わせにとても大切な歯なので、歯は抜かずに整えます。
“過剰歯”と呼ばれる、よぶんな歯がある人もいます。これも、矯正治療で抜歯の必要があると医師が判断した場合のみ、抜歯します。

「最後に、歯の矯正治療を考えるにあたって忘れないでほしいのは、歯列矯正は保険治療ではないということです。矯正治療に伴う抜歯なども、自費治療の一部。保険はききませんので、気になる人は事前に治療費をよく確認してから検討するようにしましょう」

取材・文/内藤真左子

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宮本 日出 (みやもと ひずる)

宮本 日出 (みやもと ひずる)

歯科医師、歯学博士、幸町歯科口腔外科医院・院長。
日本顎関節学会・代議員・指導医・専門医、厚生労働省認定歯科医師卒後臨床研修指導医教官、その他、大学・学校の教官職等多数。国内外に160篇以上の論文を発表、複数のメディアにも登場している。

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