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内臓脂肪はなぜいけない? ドクターが伝授! 内臓脂肪を落とす&ためこまないための「スロースクワット」
前回、ぽっこりお腹になってしまう内臓脂肪は、脂質よりも糖質のとり過ぎが原因になるということをお伝えしました。今回は、内臓脂肪がついてしまうプロセスとそのリスクについて見ていきましょう。栗原クリニック東京・日本橋院長の栗原 毅先生の監修『眠れなくなるほど面白い 図解 内臓脂肪の話』から、お伝えします。
Contents 目次
皮下→内臓→異所性の順に蓄積する
脂肪には内臓脂肪と皮下脂肪、異所性脂肪の3種類がありますが、とり過ぎた分が、最初に蓄えられるのは、皮膚のすぐ下にある皮下脂肪。
「皮下脂肪として蓄えきれなかった中性脂肪は、内臓のまわりなどにつく内臓脂肪として蓄えられます。さらに、内臓脂肪にも蓄えきれず余った中性脂肪は、異所性脂肪として蓄えられることになります。異所性脂肪とは、肝臓やすい臓、筋肉など本来たまるべきではない場所にたまってしまうもので、第3の脂肪とも呼ばれています」(栗原先生)
異所性脂肪は、外見ではやせて見える人にもたまっている場合が多いそう。特に自覚症状はなくても異所性脂肪がたまった臓器や筋肉は、本来の機能が低下してしまいます。
放っておくと怖い内臓脂肪の脅威
内臓や筋肉などにつく脂肪「異所性脂肪」ですが、とりわけ肝臓にたまり過ぎると、「脂肪肝」の原因に。脂肪肝は糖尿病や心筋梗塞、脳血管障害などあらゆる生活習慣病のはじまりといわれています。
「肝臓にはさまざまな働きがあるのですが、脂肪肝とかかわりが深いのは体にとり込まれた栄養素を体に役立つ形に変える働き (代謝)です。肝臓はこのブドウ糖をグリコーゲンに合成して蓄え、血液中のブドウ糖が不足するとグリコーゲンをブドウ糖に戻して血液中に放出し、血糖値を安定させる働きを担っています。蓄えられるグリコーゲンの量には限界があり、貯蔵量を超えると肝臓はブドウ糖を中性脂肪に変えて蓄え、血糖値が下がるとブドウ糖に戻して血液中に放出します」
さらに、中性脂肪の貯蔵量にも限界があり、一定以上になると中性脂肪が血中にあふれ出し、血糖値や中性脂肪値を急上昇させて生活習慣病を引き起こすとのこと。脂肪肝になると、肝臓の代謝機能が低下して糖代謝や血糖値を安定させる働きが悪くなり、結果的に脂肪がたまりやすくなるため、やせにくい体になってしまいます。
内臓脂肪を落とすスロースクワット
内臓脂肪を減らすためには、食事とともに運動も大切。
先生のオススメはスクワットです。
「筋肉が多いほど基礎代謝が増えるので、筋肉を増やすことでやせやすい体になっていきます。とりわけ有益なのは、太ももやお尻といった大きな筋肉がある部位を鍛えること。大きな筋肉が鍛えられればエネルギーの消費量が増え、より多くのブドウ糖をとり込めるようになります。
私がオススメしているのは、大腿四頭筋、ハムストリングス、大殿筋といった大きな筋肉が鍛えられる“スロースクワット”です」
やり方は簡単。朝晩5セット、計10セットで効果を実感できます。
(1)まず背すじを伸ばして直立した状態で腕を胸の前で交差させます。もしくは両手を前に伸ばしてもOK。
(2)5秒かけて息を吐きながら、お尻を少しだけうしろに突き出すようにしつつ、ひざを曲げていきます。ひざがつま先より前に出ないように気をつけながら太ももが床と平行になるまで曲げます。
(3)5秒くらいかけて息を吸いつつ、ゆっくりと立ち上がります。
以上で1セットです。立ち上がったときにひざが伸び切らない状態のまま、再び曲げる動作に入りましょう。
「正しいフォームで筋肉に負荷がかかる場所を意識しながら行えば、すぐに効果を実感できるはずです」と栗原先生。
食事も運動も、あまり負担にならない程度に気長に続けることが大事ですね。お腹まわりが気になる人は、前回の糖質ちょいオフと合わせて、自宅でのトレーニングで取り組んでみてはいかがでしょう。
参考書籍
『眠れなくなるほど面白い 図解 内臓脂肪の話』(日本文芸社)
文/庄司真紀