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肺を鍛えると全身がよみがえる! ドクターが解説、感染対策にもなる「肺活」の4つのメリット

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深呼吸する女性

新型コロナウイルスの感染拡大で見直したいのが肺の健康。加齢とともに呼吸筋が衰えると、肺の機能も低下していきます。すると自律神経のバランスが崩れ、不調や疲労感のもとに。そして肺の健康は免疫力とも大きくかかわっています。今回は、小林弘幸先生の新著『最高の体調を引き出す超肺活』から、肺を最大限に活かすとどのようなよいことがあるのかについてまとめていきます。

Contents 目次

肺活のメリット4つ

ゆっくり呼吸をする女性

1.肺活で自律神経が整う
深い呼吸は副交感神経の働きを高めます。

「呼吸をするときに上下に動く横隔膜の周囲には、意識しなくても呼吸ができるように自律神経が密集しています。ゆっくりと深く呼吸をすると、横隔膜が上下に大きく動きます。横隔膜の動きが大きくなればなるほど、副交感神経の働きが高まります。その反対で、速くて浅い呼吸をしていると、副交感神経の働きは低いままです。つまり、ふだんしている呼吸をゆっくりと深いものに変えていけば、副交感神経のレベルが上がり、自律神経のバランスを整えることにつながるわけです」(小林先生)

また、肺を収めている胸腔には「圧受容体」という場所があり、息を吐く時間が長ければ長いほど、この圧受容体に圧力がかかり続けます。圧受容体には静脈の血流量をコントロールする働きがあり、圧力のかかる時間(息を吐く時間)が長ければ長いほど、血流量が増え、副交感神経の働きが高まるというシステム。深い呼吸はゆっくりと息を吐く時間が大切ということです。

2.肺を鍛えると腸内環境もよくなる

お腹に手を当て、ハートマークをつくる女性

肺を鍛えて自律神経が整うと、腸内環境まで良好に。

「腸には『輪走筋』と『縦走筋』という2つの筋肉があり、この2つがリズミカルに収縮運動することで食べものや老廃物を移動させています。この腸の動きを『ぜん動運動』と呼びますが、ぜん動運動をコントロールしているのが自律神経なのです。
そのため、自律神経と腸の働きは相関関係にあるといっていいほど、密接にかかわっています。
腸のぜん動運動をうながす2つの筋肉の収縮は、交感神経と副交感神経がいずれも高く働いているときに最も活発になります。つまり、自律神経のバランスがいい人は腸内環境もよく、自律神経のバランスが悪い人は腸内環境も悪い、といえるのです」

小林先生は順天堂大学医学部附属順天堂医院に日本で初めて「便秘外来」を開設し、治療を続けています。便秘外来を訪れた患者さんは自律神経のバランスが大きく崩れていることが多く、自律神経のバランスを整えることで便秘が解消することが少なくないそうです。

3.免疫力もアップ

腕の筋肉を示して力強い雰囲気のマスクの女性

腸内環境を整えることで免疫力も高まります。
「すべての免疫細胞は、血液をつくり出している骨髄から生まれ、血流にのって全身に派遣されていきます。血流や血液の質が悪く不健康な人ほど、免疫細胞も不健康になり、正常に機能しません。なかでもレギュラトリーT細胞は、腸に多く集まっている免疫細胞です。腸内環境が悪化している人は、もともとレギュラトリーT細胞の数が少なく、新型コロナウイルス感染症に感染するとサイトカインストームを起こしやすいと考えられます」

4.血液の質もよくなる
肺活力を高めると、「血液の質」そのものがよくなります。

「自律神経のバランスが整って、腸内環境が健全に保たれていると、血流がアップするだけでなく“血液の質”そのものがよくなります。実際、血液を顕微鏡で見ると、その人の自律神経のバランスの良し悪しがわかります。
自律神経のバランスが悪い人は、きれいな円形をしているはずの赤血球が変形したり、くっついてしまったり、完全に壊れてしまったりするのです。赤血球は、酸素を運ぶ役割をしています。そのため、赤血球の状態が悪いと、細胞に届けられる酸素量が減ってしまいます。
また、変形したり、くっついてしまったりした赤血球は、細い毛細血管を通過することができません。俗にいう“血液ドロドロ”の状態です。この点からも、自律神経のバランスや腸内環境が悪い人の血液は、充分な酸素を運ぶことができない質の悪いものだといえます。そんな状態の血液だと、免疫細胞をスムーズに運ぶことが叶いません。血液の質を高めるためにも、肺の力を高めて自律神経を整えることが重要になってきます」

肺を意識することで、体のさまざまな不調が解消されていきます。デスクワークなどで前屈みの姿勢が続くと、呼吸筋が衰え、深い呼吸がしにくくなる原因に。次回は、肺活トレーニングをご紹介していきます。

参考書籍

『最高の体調を引き出す超肺活』(アスコム)

著者/小林弘幸

順天堂大学医学部教授。日本体育協会公認スポーツドクター。1960年、埼玉県生まれ。87年、順天堂大学医学部卒業。92年、同大学大学院医学研究科修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属医学研究センター、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、順天堂大学小児外科講師・助教授を歴任する。
自律神経研究の第一人者として、プロスポーツ選手、アーティスト、文化人へのコンディショニング、パフォーマンス向上指導に関わる。また、順天堂大学に日本初の便秘外来を開設した”腸のスペシャリスト”でもあり、みそをはじめとした腸内環境を整える食材の紹介や、自律神経と腸を整えるストレッチの考案など、様々な形で健康な心と体の作り方を提案している。『医者が考案した「長生きみそ汁」』、『自律神経を整える長生き呼吸法』(アスコム刊)などの著書のほか、『世界一受けたい授業』(日本テレビ)や『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』(TBSテレビ)などメディア出演も多数。

監修者/末武信宏

1962年、岐阜県生まれ。さかえクリニック院長。医学博士(順天堂大学大学院医学研究科博士課程修了)。トップアスリート株式会社代表取締役。日本美容外科学会認定専門医としてアンチエイジング診療を行うかたわら、順天堂大学医学部非常勤講師としてスポーツ医学の研究を行っている。また、オリンピック日本代表選手、プロ野球主力選手、ツアープロゴルファー、格闘家、ト
ップアイドルなどのトレーニング指導、コンディショニングも行うなど、多方面で活躍中。

文/庄司真紀

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