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ウイルスなどの外敵を防御する人のイラスト

疲れやイライラ、不安、集中力の低下、不眠など、さまざまな不調の原因となる自律神経の乱れ。放っておくと心身の病気のもととなるほか、最近ではがんの原因になることもわかってきました。今回は、順天堂大学医学部教授の小林弘幸先生の新著『結局、自律神経がすべて解決してくれる』から、自律神経の最新研究についてお伝えしていきましょう。

監修
小林 弘幸

「がん」と「自律神経」の関係性

ウイルスと闘っている女性

岡山大学の神谷厚範教授などの研究グループは2019年、「自律神経ががんの増殖や転移に関係している」ことを明らかにしました。この研究は世界最高峰のイギリスの科学誌「ネイチャーニューロサイエンス」に掲載されました。

そのポイントとは、
・自律神経が乳がん(研究では乳がん細胞で観察)組織内に入り込み、がんの進展や予後に強く影響すること
・ストレスなどによる交感神経の緊張ががんを進展させうること
そのうえで、
・自律神経を操作する神経医療(遺伝子治療など)が、がんの新規治療戦略になる可能性があることが示唆された、の3点です。

「特に交感神経の緊張ががんを進めてしまう可能性があることを、ぜひよく覚えておいてください。自律神経を整えることの大切さは、自律神経失調症を防ぎ、直すためだけではありません。なぜなら自律神経が乱れると、私たちの体のなかの免疫系と呼ばれるシステムの働きが悪くなってしまうのです」(小林先生)

がん細胞をやっつける白血球は自律神経と密接な関係があります。白血球のなかには「顆粒球」、そして「リンパ球」と呼ばれるものがありますが、前者は交感神経が優位になると増え、後者は副交感神経が優位になると増える特性があります。そして、両者のバランスがとれていることがとても大切です。つまり、自律神経が整っていてこそ、白血球は本来の機能を発揮できるわけです。

自律神経が整っている地域、 乱れている地域とは?

自然のなかでリラックスする人

みなさんは、「自律神経が整っていそうな地域は?」と質問されたら、どの地域を思い浮かべるでしょうか。

小林先生の研究チームは、自律神経の総合力を意味する「トータルパワー」をもとに、都道府県を8グループに分類して、多重比較を実施しました。その結果、トータルパワーがいちばん高い地域は「四国」という結果に。

「四国が“日本でいちばん元気に過ごせる地域”であることが、研究結果からわかりました。四国は中央部を東西に四国山地が走り、北と南の2つの地域に分けられます。北側の地域は年間を通じて降水量が少なく、南側の地域は太平洋の黒潮の影響で年間を通じて降水量が多いという特徴がありますが、どちらの地域も自律神経が乱されにくい温暖な地域であるということは共通しています」

一方で、トータルパワーがいちばん低い地域は、関東です。

「関東はほかの地域と比べて、疲労ぎみの人が特に多いと研究結果からわかっています。これはほかの大都市圏にも見られる傾向ですが、高層ビルが立ち並ぶオフィス街が多く、感神経が常に優位となり、その状態がキープされてしまっている人が多いからと考えられます。その結果、トータルパワーが全国でいちばん低い状況を生み出してしまっているのでしょう」

日本人は総合的に見て交感神経優位の人がとても多い傾向にあるそう。そして、特に大都市圏に住んでいる人ほど、残念なことに自律神経が乱されやすい環境がそろってしまっています。

自律神経はちょっとしたことで驚くほど簡単に乱れます。
「怒るだけで交感神経は急上昇しますし、ゆっくり深呼吸をすれば副交感神経がぐんと高まります。私たちにいちばん必要なのは、自律神経を乱さないことでなく、“たとえ乱れても整えられる方法を知っておくこと”なのです」と小林先生。

1日1回でも自律神経を整える方法をとり入れたら、不調や病気を遠ざけることができるかもしれません。次回は自律神経の整え方をご紹介していきます。

文/庄司真紀

参考書籍

『結局、自律神経がすべて解決してくれる』(アスコム)

 

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小林 弘幸

小林 弘幸

順天堂大学医学部教授。日本体育協会公認スポーツドクター。1960年、埼玉県生まれ。87年順天堂大学医学部卒業。92年同大学大学院医学研究科修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属医学研究センター、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、順天堂大学小児外科講師・助教授を歴任する。自律神経研究の第一人者として、プロスポーツ選手などのパフォーマンス向上指導に関わる。また、順天堂大学に日本初の便秘外来を開設した"腸のスペシャリスト"でもある。『医者が考案した「長生きみそ汁」』(アスコム刊)、『最高の体調を引き出す 超肺活』(同)などの著書のほか、メディア出演も多数。

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