「夕方になると目がしょぼしょぼする」「スマホやパソコン画面を長時間見ると目が乾く」…そんな、疲れ目のサインを放置していませんか? 日常生活で目を酷使すると、見る力が低下するだけではなく、体と心の不調にもつながります。疲れ目の対策には、生活の中でどんなケアをすればいいの? 『眼トレ』など目の健康習慣の本を数多く執筆されている、医師の日比野佐和子先生(医療法人社団康梓会 Y’sサイエンスクリニック広尾 統括院長)に、疲れ目をケアする方法を教えていただきました!
Contents 目次
しょぼしょぼ、乾燥、肩コリ…目の疲れのサインを放置しないで!
目が疲れやすくなる原因について、「まず、現代人はスマートフォンやパソコン画面の“近くを見つめる”時間が長くなっていることがあげられます」と日比野先生。
「また、加齢によってピントを調節する機能が低下すること、食生活の乱れ、ストレスを溜めることや睡眠不足によっても目が疲れやすくなります。
目で“見る”ということは、脳に視覚の情報を伝えること。目を酷使することで脳も疲れ、自律神経が乱れて、肩コリや首コリ、頭痛、イライラなど、体と心の不調を招いてしまうのです」(日比野先生)
「生活の中で意識的に目の疲れをケアすることは、体と心の健康に通じます」と、日比野先生は話します。
「まずは、次の【疲れ目チェック】を行ってみましょう。3つ以上当てはまる人は、眼精疲労の可能性があり、疲れ目のケアが必要です」
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【疲れ目チェック項目】
□毎日、スマホやパソコン画面を長時間見ている
□仕事で手元を見ながら細かい作業をしている
□コンタクトレンズをつけている
□近くを集中して見ているとき、まばたきの回数が少なくなりがち
□目の乾燥が気になり、目薬をよく使う
□夕方から目がしょぼしょぼする
□月曜日に比べて、金曜日のほうが目が疲れている
□近くを見たあとに遠くを見ると、ぼやけることがある
□肩コリ、首コリ、頭痛がある
□ストレスが溜まっている
□甘いもの、脂っこいものをよく食べる
□就寝時刻が24時を過ぎることが多い
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あなたは、いくつ当てはまりましたか?
3つ以上当てはまる人は疲れ目の可能性が!
それでは、
●目の筋肉の緊張をほぐす「眼トレ」
●目元の血流をよくする「ホットタオル」
●目の疲れと老化を防ぐ「食事&サプリ」
この3つについて、お伝えしていきます!
見る力をアップ! 目の筋肉の緊張をほぐす「眼トレ」
「毛様体筋」は、近くを見るときに収縮し、遠くを見るときにゆるんで水晶体の厚みを変え、ピント調節する筋肉です。
「パソコンやスマホ画面など、近くを見つめている時間が長いと、毛様体筋が硬くこわばってピントを調節する機能が低下してしまいます。
また、近くを凝視していると、まばたきの回数が減って目を守る涙の量が減少。目が乾燥しやすくなって、ドライアイになることもあります。
仕事の合間にできる『眼トレ』で目の筋肉をほぐし、見る力を回復させましょう」
眼球を動かして血流をよくする「8点ぐるぐる体操」
「パソコン作業などを長時間すると、眼球の運動が少なくなり、目の血流が低下します。顔を正面に向けたまま(顔を動かさず、目だけを動かすように)、時計まわりに眼球を動かす目のストレッチを行うと血流がアップ。血液にのって酸素や栄養が目に届きやすくなり、疲れ目が改善します」
《やり方》
顔を動かさないで、目だけを動かし、真上、右斜め上、右横、右斜め下…と、8点を時計回りに1秒ずつ見る。
遠近のピント調節力をつける「指スライド」
「指スライドは、手の親指を立てて爪をじっと見つめながら前後に動かし、近く、遠くを見ることをくり返す眼トレ。爪にピントを合わせるために、目の毛様体筋が収縮したり、ゆるんだりするので、緊張をほぐすことができます」
《やり方》
【1】顔の前で、片手の親指を立てる。手を顔から20cmほど離し、爪を1秒ほどじっと見る。
【2】爪をじっと見つめたまま、腕をゆっくり前に伸ばす。
【3】爪をじっと見つめたまま、手を【1】の位置に戻す。これを30回くり返して。
ほかにも…
・パソコン作業の合間に、ちょっと離れたところの観葉植物や時計を見る。
・電車での移動中、スマホをずっと見ているのではなく、中刷り広告の文字を読む、窓の外を見る。
というように、近くばかり見つめないよう、意識的に遠くのものを見るようにしてもいいですね。
ドライアイを防ぐ「グーパーまばたき」
「目の乾燥が気になる人は、次のグーパーまばたきを行いましょう。目を閉じたり、開いたりすることで、目の周りの筋肉(眼輪筋)をストレッチ。ドライアイや目元のクマを防ぐ効果も期待できます」
《やり方》
【1】目を思い切りギュッと閉じて、そのまま2秒キープする。
【2】目をパッと大きく開いて、2秒キープする。これを5回くり返す。
目は閉じているだけでも休ませることができます。パソコン作業の合間に目を閉じたり、電車での移動中にちょっと目をつむったりして目を休ませてもいいですね。
帰宅後の疲れ目ケアに! 目元を温める「ホットタオル」
「目を閉じてホットタオルをのせ、目元をじんわり温めることで筋肉のこわばりをほぐしましょう。血流がよくなると目の細胞に酸素や栄養が運ばれ、疲れが回復しやすくなります」
《やり方》
【1】フェイスタオルを水にぬらし、水気をしっかり絞る。
【2】タオルをおしぼりのように丸め、電子レンジ(500W)で1分ほど温める。
【3】加熱直後はタオルが熱くなっているので少し冷ます。目を閉じてホットタオルをのせてリラックスする。
「紫外線を浴びて目に炎症を起こしている場合、目元がむくんでいる場合は、冷たいタオルでクールダウンをしましょう」
目や体の老化を防ぐ! 抗酸化&抗糖化の食事
「食生活の乱れ、強いストレス、紫外線などによって、活性酸素が体内で増えると目の老化につながります。栄養バランスのとれた食事を基本に、体のサビつきを防ぐ抗酸化成分が豊富な食品を摂りましょう。
たとえば、ビタミンA・C・E(略してエース)を合わせて摂ると抗酸化力が高まり、目や体の老化防止をサポートします」
●ビタミンA
働き/網膜で光を感じる細胞「ロドプシン」の構成成分になる。粘膜や皮膚の健康を維持する。
多く含まれる食品/レバー、うなぎのかば焼き、卵、モロヘイヤ、にんじん、ほうれん草、かぼちゃ、など。
●ビタミンC
働き/皮膚や血管の老化を防ぐ。免疫力を高める。白内障を予防する。
多く含まれる食品/ピーマン、ブロッコリー、カリフラワー、キウイフルーツ、いちご、など。
●ビタミンE
働き/細胞の老化を防ぐ。末梢血管を拡張して血流をよくする。
多く含まれる食品/さけ、うなぎのかば焼き、かぼちゃ、モロヘイヤ、アボカド、アーモンド、など。
「また、糖質の多い食事をとっていると、AGEs(終末糖化産物)という老化物質が体内でつくられ、目の水晶体がにごりやすくなります。目の健康には、白米を玄米に代えるなど、血糖値を上げにくい低GIの食品を選ぶことも大切です」
疲れ目対策には、アントシアニン配合のサプリを摂るのもおすすめ
「目の健康によい栄養成分には、ブルーベリーやカシスなどに含まれるアントシアニンのほか、ほうれん草、かぼちゃなどの緑黄色野菜に含まれるルテインなどがあります」
●ブルーベリーのアントシアニン
目を酷使する生活を送ると、網膜で光を感じるロドプシンというたんぱく質の再合成が滞ります。ブルーベリーのアントシアニンは、このロドプシンの再合成を活性化させる働きがあります。
●カシスのアントシアニン
カシス由来のアントシアニンは、末梢血管の血流をよくしてピント調節をサポート。また、緑内障の進行を抑える効果も期待されています。
●ルテイン
ルテインは、紫外線、スマホやパソコン画面のブルーライトから目を守る働きがあるカロテノイドの一種。加齢黄斑変性という眼病を予防する効果が期待されています。
「アントシアニンは、ブルーベリーなどに豊富ですが、毎日たくさん食べ続けるのは大変ですよね。目の健康のためには、アントシアニンなど抗酸化成分が凝縮されているサプリメントを摂るのも効率的です」と、日比野先生。
『ブルーベリーアイ』(わかさ生活)は、ブルーベリーの中でもアントシアニンが豊富な「北欧産野生種ビルベリー」を使用したサプリメント。ビルベリーエキス、ルテイン、カシスなどの瞳の健康成分に加え、アスタキサンチン、ビタミンACE(β-カロテン、ビタミンC、ビタミンE)などを1日1粒で摂ることができます。
「日中、目を使うことで夕方に疲れが出やすいので、朝食のタイミングでアントシアニンのサプリをとり、目の疲れの対策をしてもいいですね」(日比野先生)
「目が疲れやすいという人は、眼病が隠れている可能性もあります。眼精疲労、充血、かゆみ、痛みなど気になる症状があれば、早めに眼科に受診をすることも大切です」と、日比野先生は話します。
疲れ目のサインを放置せず、早めにケアすることで体と心の健康を作っていきたいですね。
取材・文/掛川ゆり マンガ/あきばさやか