男性に多い病気として知られる痛風。しかし、女性がまったく痛風にならないかというとそうではありません。実際にこれまで、痛風が起こりやすくなる要因に男女で違いがあるのかはっきりしていませんでした。そしてこのたび英国からの報告で、男女それぞれに特化した危険因子があるのではないかという仮説が提案されました。男性、女性、それぞれ何に気をつけたらよいのでしょうか。今回の調査から見えたことは?
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男性と女性は違う要因で痛風になる?
男性のほうが圧倒的に多い病気、と聞いてすぐ思い浮かぶ病気のひとつは、痛風かもしれません。しかし一方で、女性にまったく発症しないわけではないのも事実です。
そもそも痛風は、血液の中の「尿酸」と呼ばれる物質が増えて、あるとき突然関節が痛み出す病気です。よく痛みが出るのは、足の親指のつけ根などです。公益財団法人痛風・尿酸財団は、1992年の東京女子医科大学の調査を引用し、男性が98.5%で、女性は1.5%という男女差があることを説明しています。女性は痛風の原因になる尿酸が少ないからだといいます。
このたび英国、キール大学の研究グループが、これまでに実施された痛風の危険因子に関する研究結果を整理し直し、痛風には一方の性に特化した危険因子があるのか調査しています。研究グループは、痛風は圧倒的に男性に多い病気であると指摘しつつ、それでも男女それぞれの性別に特化した危険因子が存在するという仮説を調べました。
じつは魚介類好きの女性も危ない!?
研究グループは、これまでに報告された痛風の危険因子に関係する研究結果を系統的に吟味し、痛風が起こりやすくなる要因に性別による違いがあるのかを調べています。
するとわかったのは、痛風のリスクを高める要因には男女で共通の傾向があるけれども、それぞれに特化した要因もあるということでした。
今回の研究グループが再調査した研究のうち、痛風の危険因子を男女間で比較した研究は33件(60.6%)で、男性のみを対象とした研究は10件(30.3%)、女性のみを対象とした研究は3件(9.1%)でした。
男女間の危険因子の違いを比較した研究では、ほとんどの危険因子(年齢、人種、アルコール摂取量など)で同じように痛風になるリスクが高まっていました。しかし、男性には危険因子としてメタボリック症候群が挙げられていたのに対し、女性にはそれはみられませんでした。一方で、魚介類を多くとる女性は男性に比べると、痛風になるリスクが36%高まっていました。
「結果としては、痛風になりやすくなる要因に男女間で大きな違いは見られず、性別に関係なく同じような予防法が必要である」と研究グループはまとめていますが、もう少し研究も必要性がありそうだということ。いずれにせよ、ウエスト周りがちょっと気になる男性や、無類の魚介類好きの女性は、用心に越したことはないかもしれません。
<参考文献>
Adv Rheumatol. 2019 Jun 24;59(1):24. doi: 10.1186/s42358-019-0067-7.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31234907
文/星良孝