アーモンドやカシューナッツなど、ナッツにもいろいろな種類がありますが、ナッツを食べると健康によい効果があるとますます注目されています。中でも健康への効果が評価されているナッツのひとつが、クルミ。炎症を抑えるなどの研究結果が出ています。さらに腸が炎症を起こす「潰瘍(かいよう)性大腸炎」にも効果がある可能性もあるようです。
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クルミは腸にどんな効果があるの?
さまざまな研究からナッツを食事にとり入れると健康によいことが示されるようになっています。中でもクルミは、オメガ3系脂肪酸などの栄養素が豊富で、植物に含まれる成分「ファイトケミカル」を含み、その効果が注目されています。
最近も、米国カリフォルニア大学の研究グループが糖尿病を防ぐ効果があると報告しています。こうした中、新たにわかった効果のひとつが、消化管に炎症や潰瘍(かいよう)が発生する慢性病「炎症性腸疾患」を改善させるというもの。炎症性腸疾患には「クローン病」と「潰瘍性大腸炎」があり、いずれも治りにくい病気として問題となっています。
このたび米国コネチカット大学医学センターなどの研究グループは、マウスを使った動物実験で、クルミを食べることによる潰瘍性大腸炎への効果を報告しています。クルミを加える割合(餌の0〜14%)を変えながら、腸管の炎症や潰瘍への効果を検証したのです。
代謝物の変化も調べた
わかったことは、クルミを多く与えるほど、腸の炎症が抑えられて、病気の回復が早くなるということ。食べ物のうちの14%をクルミとした場合に(人間に換算すると1日当たり20〜25個)、明らかな効果が現れました。
腸の中の分析もしたところ、クルミを与えることで、DHAなどいくつかの多価不飽和脂肪酸が増えていたほか、腸粘膜では抗酸化物質の増えていることが確認されました。研究グループは、クルミを食べることで腸の全体的な新陳代謝が変わって、炎症や潰瘍が発生しにくくなるように腸粘膜の環境が変わったのではないかと説明しています。
研究グループは、さらに人への効果を調べるために1日当たりおよそ60gのクルミを食べてもらって、腸への効果を調べる研究を進行中。「潰瘍性大腸炎の人がクルミをたっぷり食べるといいというわけではなく、どの成分に腸の保護成分があるのかを解明したい」と説明しています。
バランスよい食事をとりながら、クルミのようなナッツをうまくとり入れると、おなかにもよい効果をもたらしてくれるのかもしれません。
<参考文献>
美容のためにも注目される「ナッツ」、そのメリットは病気の予防にも拡大中!
https://fytte.jp/healthcare/64749/
Nutrients. 2019 May 20;11(5). pii: E1118. doi: 10.3390/nu11051118.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?31137456
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6566840/
Walnuts show protection against ulcerative colitis in early study
https://www.sciencedaily.com/releases/2019/08/190812130850.htm
文/星良孝