お茶を飲むと健康によい効果があるとはよくいわれます。その効果については、日本から研究が報告されているほか、海外からもさまざまな効果が報告されてきました。そのなかのひとつでは、中国の研究グループが、口の中のがんを防ぐ効果があるという分析結果を報告しています。
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お茶が持つメリットとは
お茶を飲むことによるがんへの影響としては、乳がんを防ぐ効果について研究結果が最近も報告されています。中国の西安交通大学のグループが、緑茶を飲む人は乳がんになりにくい傾向があると報告しました。この研究によると、リスクの減る程度は17%と大きなものでした。
今回は、中国の華中科技大学のグループが、口の中のがんを防ぐ効果について分析をしています。口のがんとは、舌がんのほか、粘膜や歯肉を含めた内部にできるがんのこと。こうしたがんに対して、お茶に含まれるポリフェノールなどの成分が予防効果を発揮するのではないかとの仮説を立て、分析を進めています。
なお、これまでの研究からは、お茶には、乳がんばかりではなく、前立腺がん、胃がん、胆管がん、卵巣がん、肺がん、肝臓がんを防ぐ効果が報告されてきたといいます。一方で、膵臓がんや膀胱がんへの効果はないことも報告されているようです。
グループは、条件にあう過去の14の研究を分析。研究の中では、主に緑茶のほか、烏龍茶、紅茶の効果が調べられていました。
リスクは3割減少
分析の結果、研究グループは、口の中のがんのリスクが3割減ることを確認しています。飲む量との関係を調べると、1日当たりに飲む量が1杯増えるごとに、口のがんを発症するリスクが6.2%減るという関係性にあることもわかりました。ただし、例外もあり、こうした関係は紅茶では見られず、米国の人には確認されなかったとのこと。
さらに研究は続きそうですが、カテキンを含めたポリフェノールの成分にこうした予防効果がある可能性はありそうです。そもそもお茶を飲むとリラックスできるなどのすぐに実感できる効果もありますが、今回のような病気を防ぐ効果も含め、メリットは幅広いといえるかもしれません。日ごろからお茶を飲む習慣をもつのはよいことだといえそうです。
<参考文献>
国立がん研究センター「緑茶摂取と全死亡・主要死因死亡との関連について」
https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3526.html
Medicine (Baltimore). 2019 Jul;98(27):e16147. doi: 10.1097/MD.0000000000016147.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31277115
Medicine (Baltimore). 2018 Dec;97(51):e13611. doi: 10.1097/MD.0000000000013611.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30572470
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6320052/
文/星良孝