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「から揚げの下味にレモン」のひと手間で老化予防! AGE量を減らす調理テク

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レモンの画像

たんぱく質と糖が結びつき、こげついた末にできるAGE。体の中にたまるとお肌のハリつやがなくなったり、さまざまな病気の原因になったりといった厄介な老化現象を引き起こします。では体の中にAGEをとり込まないためにはどうしたらよいのでしょうか。「AGE」研究の第一人者・山岸昌一先生に、日常でできるちょっとした工夫や知っておきたい知識を教えてもらいました。

監修 : 山岸 昌一 (昭和大学医学部糖尿病・代謝・内分泌内科学教授)

昭和大学医学部糖尿病・代謝・内分泌内科学教授。
総合内科専門医、糖尿病学会専門医、循環器学会専門医。高血圧学会専門医。日本抗加齢協会理事。平成元年金沢大学医学部卒。金沢大学医学部講師、ニューヨーク留学をへて、久留米大学医学部教授を10年間勤め、平成31年より昭和大学医学部教授。糖尿病と心臓病の研究から老化の原因物質AGE(エージーイー)に着目。AGEに関する最新データを次々と発表し、その英文論文数は600編を超える。世界で最も精力的に老化、AGE研究に取り組んでいる医学者の一人。AGEに関する研究で、アメリカ心臓病協会最優秀賞、日本糖尿病学会賞、日本抗加齢医学会奨励賞など多数の医学賞を受賞。最近では、「ためしてがってん」、「あさイチ」、「たけしのみんなの家庭の医学」、「夢の扉」「林修の今でしょ講座」「主治医が見つかる診療所」「羽鳥慎一モーニングショー」などの多くのテレビ番組や5大新聞で研究成果が大きく取り上げられる一方、「AGEを抑え、老化を防ぐ食養生」について一般向けに広く啓蒙活動も行っている。

Contents 目次

いつから始める? AGE対策

赤ちゃんの画像

40歳から差が出る老化スピード

老化のスピードは、40歳を過ぎると差が出るといわれています。それまでの生活の影響がはっきりと現れてくるからです。そのため、できるだけ若いときからAGEをためない生活を送ることが大切です。
40歳を過ぎていても遅くはありません。どの年代でもAGEが高い人は、将来的に病気にかかりやすく、寿命が短いというデータがあります。今や人生100年時代。できる限り若々しく健康でいるためにも、気づいたときからAGE対策を始めていきましょう。

子どものAGE

子育て世代では、子どものAGEも心配です。アメリカの研究では、AGEの高いお母さんから生まれた赤ちゃんは同じくAGEが高いという報告があります。おそらく、胎盤を通してお母さんのAGEが赤ちゃんにも入ってしまうからでしょう。しかも、1年後にAGEの高かった赤ちゃんの血液を調べると、すでにメタボリックシンドロームの徴候があらわれているというのです。

「私も12歳の子どもとお母さんのAGEを調べました。すると、AGEの高いお母さんの子どもはやはり同じようにAGEが高いのです。これは、親の食生活が子どもに影響しているといえるでしょう」(山岸先生)

見方を変えれば、私たちが自分のために行ったAGE対策が子どものためにもなるということ。家族の健康にもつながるエイジングケアの方法をさっそく見ていきましょう。

AGE対策 基本の2つ

AGE対策の基本は2つ。
1 AGEの高い食べ物や飲料をなるべく避けること
2 AGEを体の中で作り出さないこと

2については、のちの回で説明しますが、まず大切なのは1です。
なぜなら、飲食物に含まれるAGEのうち約7%が体内に吸収されるからです。それだけの量のAGEが毎日の食事からとり込まれ、体の中にたまっていくと考えると、食生活の改善がとても大切だということがわかるでしょう。ちなみに、体内に存在するAGEの約1/3は食事由来のAGEだといわれています。

調理法で変わるAGE量

鍋など調理器具の画像

まず知ってほしいのは、調理方法でAGE量が変わるということです。
たとえば、蒸し鶏とから揚げ、どちらがAGE量が多いと思いますか?
答えは、から揚げです。

キーポイントになるのは、温度と油。AGEは、たんぱく質に糖がこびりついた「焦げつき」です。温度が上がれば上がるほど、糖とたんぱく質はくっつきやすくなり、AGEは増えていきます。しかも油を使うと、食材は高温になるだけではなく、揚げることで水分が抜けていき、逆に油を吸い込みます。油は、糖とたんぱく質を糊のようにくっつける役割があるため、さらにたんぱく質と糖との距離が縮まり、AGE化しやすくなるのです。
このことから、AGEの量と調理方法の関係は以下のようになります。

調理法とAGEの関係の図

同じ「焼く」でも、油を使い、高温で加熱すればするほどAGE量は増えます。中華鍋やオーブンを使った調理、直火焼きも、かなり高温になるので要注意です。

同じ食材でこれだけ変わる! 知っておきたい肉と野菜の調理法

肉と野菜画像

肉は‶蒸す″か‶煮る″がベスト

多少の差はあっても、ほとんどの食品には、たんぱく質と糖が含まれているので、熱を加えなくてもAGEは存在しています。とくに、さばやさんまなど脂質の多い魚や肉は、もともとAGE量が多いので要注意。AGEを増やさないためには、焼いたり揚げたりするよりも、‶蒸す″‶煮る″といった調理法を選ぶことがポイントです。
ただし、同じ蒸し料理でも電子レンジを使うと、高温になるためAGEが増えるので注意しましょう。煮るときは水からゆっくり熱を加えていくと、AGE化を抑えることができます。

野菜は揚げると一気にAGE化

野菜はもともとAGE量が少ないのですが、揚げものにすると一気にAGEが跳ね上がります。気をつけたいのが、いもやサツマイモ、かぼちゃといった穀物系の野菜。もともと糖質が多いため、揚げるとさらにAGE化が進みます。たとえばフライドポテトは、こふきいもの約50倍ものAGE量があります。とくに、てんぷらやポテトチップスのように薄くスライスして揚げる調理法は、熱が通りやすく油を多く吸い込む分、AGEの量は多くなります。

また、卵も目玉焼きにすると生の状態での59 exAGE(食事から入ってくるAGEを数値化したもの)から1,988 exAGEと30倍にもなります。目玉焼きをつくるにしても、油を少なめにし、蒸し焼きでじっくり焼くとよいでしょう。

下に身近な食材について、調理法によってどのようにAGEの量が変わるのかあげてみました。調理法と関連づけながら見てみると、どんな料理のAGEが高いのか、少しずつ判断がつくようになってくると思います。

食品の調理方法によるAGE量の違いを表した図表
「AGEデータブック」より作成

AGEの量は下ごしらえでこれだけ減らせる!

肉と柑橘類、ハーブの画像

「それでもやっぱりから揚げや焼き肉が食べたい!」という人には、おすすめのAGEを減らす方法があります。それは調理する前に、お肉を酢やレモン汁、ワインビネガーなど酸性の調味料で20~30分間マリネすること。こうすることで、糖とたんぱく質がくっつきにくくなり、加熱したときにつくられるAGEを半分くらいに抑えることができます。

では、でき上がったから揚げにレモンをかけたり、焼き肉と一緒にマリネを食べたりといった対策はどうなのでしょうか。

「高温で揚げたり焼いたりした時点で、すでに肉のAGE量は跳ね上がっていますから、そこにレモンや酢をかけたところで効果的だとはいえません。やはり熱を通す前のひと手間が大事です」(山岸先生)

食べたいものを絶対に食べてはいけない!というのでは、食事の楽しみがなくなってしまいます。下ごしらえでAGE化を抑えたり、食べる頻度を少なくしたりするなど、あまりムリせずにAGEを減らしていきましょう。

次回は食べものに含まれるAGEについて、さらにくわしく見ていきます。

取材・文 大内ゆみ

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