夫が家事を手伝ってくれなくてイライラ。職場では上司に嫌味を言われイライラ。満員電車で押し潰されてイライラ......。これらの日常生活の中で感じる怒りの感情は、自分でコントロールすることが難しいですよね。ですがストレスが溜まり過ぎて暴飲暴食をしてしまったり、人間関係に悪影響が及んだりと怒りから生まれるものはマイナスなものばかり。日々を忙しく過ごす皆さんのなかには、すぐにイライラしてしまう自分をどうにか変えたい! と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
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怒りのピークは6秒間
日本アンガーマネジメント協会の安藤俊介さんによると、怒りのホルモンであるアドレナリンの影響を最も受けると言われているのは、怒りを感じてから最初の6秒間。この6秒間の間に行動してしまうと、相手を攻撃したり、反論してしまったりと後悔することが多くなってしまうのだそう。
では、怒りがピークに達する6秒間を乗り切り、ストレスを減らすにはどうしたらよいのでしょうか。安藤さんに、怒りのメカニズムと実践的な対処法を学ぶアメリカ発祥のアンガーマネジメントのメソッドを基にした、怒りをコントロールする6つの基本テクニックを教えていただきました。
1:怒りにレベルをつける
「明日はものすごく寒くなる」より「今日より5度寒くなる」と言われたほうが、寒さを実感でき、服装を選びやすいもの。私たちは、数値に換算したほうがものごとを実感しやすくなるのです。怒りを感じたら「この怒りは、10段階でいえばどの程度?」とレベルをつけてみましょう。ひと呼吸おけて、怒りを客観視できます。
また、数値化を続けることで自分の“怒りの段階”を把握でき、「このレベルの怒りなら、この対応策を」と応用できます。
2:目の前のものをじーっと観察する
怒りを感じると、人は「こんなことがあった」と過去を考えるのと同時に「また同じ目にあったら、こうしてやろう」と、未来の仕返しを考えるため、「現在」がお留守になります。怒りの解消には、意識を「今いる場所」に戻すことが大切。
その手段として有効なのが、“もの”の観察です。スマホでもペンでもいいので、怒りが込み上げてきたら、それらをじっと観察してみましょう。形は? 色は? 傷の数は? じっくりと観察するうちに、怒りが静まっていきます。
3:その場をいったん離れる
頭がヒートアップする場面にあうと「なぜそんなことをするの?」と不満や反発でいっぱいになり、会話に集中できません。そんなときは思いきってその場を立ち去りましょう。
黙って立ち去らず「今、ちょっと落ち着いて話せないからトイレに行ってくる。戻ってきたらまた話そう」など、必ず戻ってくると伝えることが大切です。荒々しくドアを閉めたりすると、よけいにイライラするので注意。深呼吸や軽いストレッチで体をリラックスさせて。
4:思考をストップさせる
人は怒りを感じると、原因と解決策を同時に考えてしまいがち。イライラしているため、頭が嵐のように混乱して、思考がどんどん悪いほうに向かいます。
「そういえば、前にも同じことがあった」「私のこと、バカにしているのでは」などと、よけいなことを考え、怒りがどんどんふくらむことに。この悪循環を防ぐために、思考をいったんストップしましょう。怒りを感じた瞬間、頭の中で「ストップ!」と宣言。頭の中を真っ白にしてしまうイメージです。
5:自分に魔法の言葉をかける
ムカッとするできごとに遭遇したとき「その気持ち、わかる」「大丈夫よ」「怒るのも無理ないね」などと言われると、気持ちが落ち着くもの。心がおだやかになる言葉には、怒りの気持ちを和らげ、冷静さをとり戻す力があるのです。
自分で自分に声をかけても、同じような効果があります。ムカッとしたとき自分にかける言葉を5つ用意しておきましょう。大切な人の名前や好きな言葉もオススメ。声に出しても、心の中でつぶやくだけでもOKです。
6:楽しいことを思い浮かべる
「怒っているときに楽しいことなんて思い出せない!」というあなた、では怒っていないときには思い出せますか? 実は、感情のマネジメントの上達にとても大切なのが、楽しいことを記憶して、いつでも思い出せるようにしておくこと。
料理がおいしくできた、仕事で成功したなど、「よっしゃ!」というできごとを前もって用意しておくのがコツ。怒りでカッとしたら、怒りを深めたり忘れようとするのではなく、楽しいことに頭を切り替えて。
そのときの体の状態も一緒に思い浮かべて!
気持ちのコントロールは、体のコントロールに通じています。楽しかった記憶を、頭だけでなく五感を使って思い出しましょう。
何を見ていた? どんな香りがした? 顔の表情は? など、実感をともなうほど、心も体もポジティブな状態になります。
怒りの感情は自分が信じている“べき”から生まれる!
「6秒間を乗りきるテクニックと同時にとり組んでほしいのは、自分の中の〝べき〟を自覚すること。私たちは、自分が信じる『~するべき』『~するべきではない』という〝べき〟が裏切られたとき、怒りを感じます。自分が怒る原因は、自分の中にあるのです。
困ったことに、この〝べき〟は、人によって違います。自分の〝べき〟にしがみつくだけでなく『まぁ、例外もあるか』『この人の言い分もわかる』と、少しゆとりを持って周囲の人やできごとを受けとめるようにすると、イライラが減っていきます」(安藤さん)
いかがでしたか? どうでもいいことでもイライラしてしまい、心身ともに疲れてしまうなんて、なんだか勿体ないですよね。今回紹介した6つの基本テクニックを少しずつでもとりいれて、ストレスフリーな生活で怒りに悩まされる自分を解放してあげましょう!
文/FYTTE編集部