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Zoom画面の前でポーズを決めてくれる佐伯さん。何かをお祈りしているような写真になりました。(本人提供)
本企画は、ひとりでいるのが好きな人も、ひとりでいるのが寂しいと感じる人も、“おひとりさま生活”について思いのたけを語るインタビュー連載。インタビュアーは、婚活・恋愛の記事を多数手がけ、さまざまなメディアで活躍中のフリーライター・大宮冬洋さんです。
今回登場するのは、Web編集者として働く39歳のアラフォー女性。新型コロナウイルスの影響で完全リモートワークになり、家族、友人、恋人にもほとんど会わない日々を送っているそう。そんな中、”ひとり時間”が好きだったはずの彼女にある変化が…。
- Writer
- 大宮冬洋 (おおみや・とうよう)
コロナ禍で完全テレワーク。実家には帰らず、友人にも恋人にも会わない日々
この1年でテレワークが「普通の働き方」になった。フリーライターである僕はもとからずっとテレワークなので仲間が増えたようで嬉しい。眠いときは自宅のソファで横になって眠れる気楽さ。成果を出さないと誰からも評価されない苦しさ。でも、それらはオンラインではなくリアルで酒を飲み交わしながら共有したいと感じてしまう。
Webメディアの編集者をしている佐伯史恵さん(仮名、39歳)も昨年の春先からフルリモートで働いている。会社の方針で出社は一切なし。実家にも帰らず、友だちはおろか、恋人にも昨年11月に一度会ったきりだ。三食を自炊しており、ほとんど外出はしない日々が続いている。
「直近では仕事以外の記憶がありません。暇な時間はネットサーフィンをしたりYouTubeを見たりしていました」
都内で独身・ひとり暮らしをしている佐伯さん。仕事内容もWeb関係であるため、リアルよりもオンラインのほうに実体があるような日々である。それでも、「私ってこんなに弱かったっけ?」と自分でも驚くほどの寂しさや孤独を感じていると明かす。佐伯さんの話を聞いてほしい。
***佐伯史恵さん(仮名、39歳)の話***
ひとりの時間が好き。ひとり飲みもひとり旅も平気なタイプです
実家も都内にありますが、私はずっと家を出たいと思っていました。もともとひとりの時間は好きで、ひとり飲みもひとり旅も平気なタイプです。でも、父が「結婚するまでは出たらダメ」だと女のひとり暮らしに反対。家族とは仲がいいほうだとは思いますが、息苦しさもあって以前は会社に泊まっていたりしました。
今は姉の家族が実家で一緒に住んでくれています。私は「部屋が足りなくなったから」という言い訳ができたので、5年前からひとり暮らしをしています。1Kのマンションで居心地は普通です。コロナ前までは「寝に帰るだけの場所」でした。
仕事は会社からも持ち帰り、駅前にある24時間営業のファミレスで続きをやるのが習慣でした。忙しいときは「朝までここで仕事するか!」と自分の中で盛り上がります。でも、今は一切行っていません。地下にあるお店なので換気がされにくいのが気になります。
始業はSlackで報告。仕事中はZoomをつなぎっぱなしにしておくのがルール
昨年、緊急事態宣言が出る前に職場が入居しているビル内でコロナの感染者が出ました。ツイッターなどの情報も見すぎて、最終的にはインドに住んでいる人のnoteまで読んだりして、とても怖くなったのを覚えています。
今、完全にテレワークです。朝は8時ごろに起きて食事をします。仕事は好きなので9時頃から働いていますが、始業は10時です。Slackで上司に挨拶することがタイムカード替わりになっていますね。終業時間は19時ですが、たいてい終わりません。21時か22時ぐらいまでは働いていることが多いです。
営業時間中はZoomをつなぎっぱなしにしておくのがルールになっています。こちらの画像や音声はオフにしておいていいのですが、急に声をかけられたりすることがあるので気は抜けません。
以前はほぼしなかった料理を日常的にするようになりました。深夜に作っておいた常備菜が役立ちます。白菜のマリネやもやしのピリ辛もずく和えなどです。ずっと家にいるので、少しでも居心地よく過ごすためにアロマディフューザーを置いたりしています。
バツイチ・子ありで結婚願望がない彼。今はもう「会いたい」とは思えない
30代に入ってからまともに恋愛をしていなかったので、リハビリのつもりで3年前から交際を始めました。行きつけのバーでバーテンダーと話しながら飲んでいたら声をかけてきた人です。
私より2歳上の彼はバツイチ・子ありで、おそらく結婚願望なし。それは私も同じだったので気楽と言えば気楽でした。お酒と演劇という共通の趣味もあります。月に2~3回会うにはちょうどいい相手でした。
でも、違和感もありました。外から帰ると手洗いやうがいをする前に私にふれようとすることなどです。しかも爪が長いんです。コロナ禍でもそれは改まらず、誘われても会う気になれなくなりました。一緒に食事をするのも、家に招き入れるのも嫌だなと思ってしまって…。今でも電話をもらったら嬉しくなります。でも、会いたいとは思いません。
とはいえ、誰にも会わない生活には限界を感じています。ひとりの時間が好きだと言っても、それは手が届く範囲に他人がいる中でのひとりであって、本当に誰とも会えない世界とは次元が違うんだなと実感しているところです。
今だったら結婚というものにきちんと向き合えそうな気がする
彼との関係にキリをつけて、「楽だな」ではなく、「好きだな」「幸せだな」と感じられる関係を築きたいと思っています。この年齢になって初めて、そう考えるようになりました。少なくとも「会いたい」と思える相手と巡り合いたいです。
私は自己肯定感が低いのか、もしくは超傲慢なのかわかりませんが、「私の隣にいて楽しいと感じるはずがない」「私のような者と一緒にいるなんて気の毒に」などと思ってしまいます。「私と付き合いたがるような異性は自分と同じレベル=たいした人じゃないんだろうな」とも。失礼な話ですよね。
だから、周囲の勧めでお見合いのようなことをして、相手に気に入られても、毎回「いやいやいや、ご迷惑でしょ」「こんな私と結婚したらあの人が後悔するから申し訳ない」「〇〇さんはいい人そうだから、幸せになれる相手を選んだほうがいいよ」と断っていました。
この感覚はまだ薄れていないけれど、なぜか最近になって、「そういうふうに思わなくてもいいんじゃないかしら?」という気持ちが芽生えました。なので、今だったら結婚というものにきちんと向き合えそうな気がします。共に生きてくれる人、一緒にいることで幸せを感じられる人が欲しいです。

***大宮より佐伯さんへ***
「手が届く範囲に他人がいる中でのひとり」と「本当に誰とも会えない世界」の違い
ピンチはチャンスだという言葉をやる気のある人から聞くことが多い昨今です。働き方をはじめとしていろんなことが変わらざるを得ない状況なので、新しいことを始めやすい環境になってきていると僕も感じます。ちなみにこの連載もほとんどがZoomでのインタビューです。オンラインでの取材なんて1年前までは考えつきもしませんでしたし、僕だけ実行したとしても相手に「Zoomなんて知らない」と断られていたでしょう。
やってみるとさまざまな利点が見つかりました。お話を伺う相手(今回は佐伯さんですね)はたいてい自宅で応じてくれます。リラックスした環境であれこれ打ち明けてもらいやすいのです。僕は愛知県に住んでいますけど、時間を合わせれば海外在住の人でも簡単にインタビューできます。移動時間も交通費もかかりません。いろんな場所に住む方にお話を伺いたいなと思っているところです。
こうした利点はWebメディア(このFYTTEもそうですけど)の編集をしている佐伯さんも強く感じていることではないでしょうか。これから何らかの企画を立てる際は、「リアルの代わり」ではなく、「オンラインでしかできないサービス」を提案することがポイントかな、と僕は思っています。試行錯誤の日々ですけど…。
フルリモートになって自宅時間が充実するのもメリットですよね。常備菜を作って三食自炊なんて素晴らしいと思います。ファミレスで徹夜するよりも、長い目で見ると生産性は向上するのではないでしょうか。
そして、佐伯さんは「手が届く範囲に他人がいる中でのひとり」と「本当に誰とも会えない世界」との違いを体感して、一緒に生きて幸せになってくれる人が欲しいと願い始めています。他人の有難さを知る。これこそがコロナ禍で得られる最大の果実かもしれません。
★出演者大募集!★
取材にご協力いただける方を募集します。「大宮さんに話を聞いてもらいたい!」「いまモヤモヤしているので話すことで頭を整理して何かヒントを得たい」「楽しいおひとりさまライフについて語りたい!」などなんでもOK! ご応募お待ちしております♪
<応募条件>
①現在、独身であること
②あごからウエストあたりまでのお写真をご提供いただけること
③Zoomなどのオンラインツールでお話を聞けること
④1時間程度の取材時間をいただけること
※顔写真やプロフィールなど、個人が特定される情報は掲載いたしません
<応募方法>
メールに応募理由を明記のうえ、fytte@one-publishing.co.jpまでご応募ください。
※取材をお願いする方には、編集部より直接ご連絡させていただきます。
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大宮冬洋 (おおみや・とうよう)
フリーライター。恋愛・結婚に関するインタビュー記事を得意とし、最近は「お見合いおじさん活動」も勝手に遂行中。35歳以上で結婚した「晩婚さん」を160人以上取材した実績を持つ。2012年、再婚を機に愛知県蒲郡市に移住。近著に『人は死ぬまで結婚できる~晩婚時代の幸せのつかみ方~』(講談社+α新書)がある。
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