少女のようなはかなさと揺るぎない強さをあわせ持ち、コメディから社会派まで幅広い作品で活躍する女優・吉岡里帆さんが、2020年1月に開幕する舞台『FORTUNE』に出演決定。3年ぶりの舞台に挑む心境を舞台の見どころとともに教えていただきました。
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■私自身の弱点も包み隠さず見せていきたい
吉岡さんが出演する舞台『FORTUNE』は、悪魔に魂を売った男の顛末(てんまつ)を描く『ファウスト』を、大胆かつ斬新に現代のロンドンの映画業界に置き換えた作品。この舞台で吉岡さんは、森田剛さん演じる主人公の映画監督・フォーチュンと運命的に関わるプロデューサー・マギー役を演じます。
「マギーはまっすぐで知的な女性です。そんな彼女が、芸術を愛し、夢や欲望に忠実であるがゆえに悪魔にとりつかれてしまうフォーチュンにひかれ、やがて彼を愛してしまいます。マギーとフォーチュンの関係が愛に変わる過程が興味深いですし、見てくださる方も、共感する部分がきっとあるのではないでしょうか」(吉岡里帆さん)
清廉潔白なイメージのマギーがフォーチュンとの関わりのなかでみせる変化に、吉岡さん自身も思うところがあるようです。
「野心であったり、欲深い部分がまったくない人間はいないんじゃないかなと思います。マギーにおいても、どれだけまっすぐで愛情深い女性であっても、やっぱり人間なんだと感じさせるところに私は魅力を感じます。愛する人にひきずられて堕ちていくさまを通して、人間の業がにじみ出るようなマギーを演じたいですね。
それには、自分のイヤなところやダメな部分もしっかり見せたほうがおもしろくなる気がするので、私自身の弱点もヘンに隠したりせず、自分のなかに渦巻くエネルギーを舞台上で包み隠さず見せられたらいいなと思います」
■『FORTUNE』は今を生きる私たちに近い作品
『ファウスト』と聞くと、芸術作品としてやや敷居の高さを感じる人も多いはず。しかし、吉岡さんは、本作はその点をも軽やかに乗り越えているといいます。
「たとえば田畑智子さんが演じる悪魔のルーシーも、角が生えたまがまがしい存在ではなく、実体のある女性として登場し、実生活のなかで悪魔がどんなふうに人間の弱い部分につけ入ってくるかがリアルに描かれます。それは、じつは身近にいる人間がそばでかけてくれる言葉こそ悪魔的な力を持っているんじゃないか、というメッセージのような気もして…。そういう怖さも感じてもらえるのかなと思います。
そんな部分も含め、『FORTUNE』は人間の業を感じさせながらも軽やかに描かれていて。来てくださるお客さまが、自分の人生経験と照らし合わせながら観られる距離感の近い作品になっていると思います」
近年はドラマや映画での活躍が際立つ吉岡さんですが、久しぶりの舞台を前にどんな準備をしているのでしょうか。
「小劇場で舞台出演していた頃に教わった発声や滑舌のトレーニング法があるので、それはルーティンでやっています。主演の森田さんをはじめ、役者として大先輩の皆さんとの稽古や本番に向けて、体調を万全に整えておきたいです。運動や食生活を含む体作りも、自分自身の大事な仕事のひとつだと思うので、ひとりでこっそりがんばります!」
ふんわりとした見た目の印象とは反対に、演じることに対して熱い想いを内に秘めた吉岡さん。2020年1月13日に幕が上がる舞台『FORTUNE』では、吉岡さん演じるマギーにも注目が集まります。
次回のインタビュー後編では、吉岡さんが実際に試したダイエット法や、今とり組んでいる体作りについて紹介します。
<Profile>
吉岡里帆(よしおかりほ)
1993年1月15日生まれ。京都府出身。連続テレビ小説「あさが来た」(2015年)に出演し注目を集める。主な近作に主演ドラマ「健康で文化的な最低限度の生活」(2018年)、「パラレルワールド・ラブストーリー」(2019年)、主演映画「見えない目撃者」(2019年)、声の出演をした映画「空の青さを知る人よ」(2019年)など。10月クールドラマ「時効警察はじめました」が現在放送中。
(舞台情報)
『FORTUNE』
東京公演2020年1/13~2/2(東京芸術劇場 プレイハウス)、松本公演2020年2/7~9、大阪公演2020年2/15~23、北九州公演2020年2/27~3/1
●公演チケットは、11/30よりチケットぴあ、イープラス、ローソンチケット他にて販売
ドレス¥58000 (税抜)
ヴァネッサブリューノ(ユグランス) 03-5725-3280
撮影/田辺エリ ヘアメイク/Mifune (SIGNO) スタイリスト/Eriko Suzuki 取材・文/浜野雪江