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男女はわかり合えないといわれることがよくあります。その理由のひとつは男性と女性では興味関心や考え方が大きく違うためとも。でも、それはいったいどうしてなのでしょうか。このたび米国の研究グループが、細胞や遺伝子レベルで差があるという研究結果を報告しました。男女の違いを乗り越えて、理解し合うためのヒントにつながるかもしれません。
性別が違うと脳の細胞が違う?
脳のなかには、神経の働きを担うためのネットワークを構成する神経細胞など、さまざまな細胞が存在しています。今回、研究グループは、男女でこの細胞の働き方に違いがあることを突き止めたのです。研究グループは細胞をピアノにたとえ、「男女ともに同じだけ鍵盤があるけれど、男女で使っている鍵盤の組み合わせが違うようだ」と表現しています。
いったいどういうことなのでしょうか。研究グループは、これまでも脳の「視床下部」と呼ばれる場所に注目して、脳の働きを研究してきました。今回、性別が違うと、この場所で遺伝子レベルでの働きに差が見られるのを確かめたのです。
脳はピアノの鍵盤のよう。男女で使うキーに違い
こうしてわかったのは、脳の一定の領域に17の異なるタイプの細胞があることです。そのうえで、遺伝子レベルの働きが、この17タイプのなかでも、男性で活発なものと、女性で活発なものが明確に分かれていました。つまり、ピアノの鍵盤のたとえのように、使っているキーが違っていたのです。研究グループによると、こうした性別による脳内の遺伝子レベルの差を突き止めたのは世界初。
今回の研究は動物実験ではありますが、人間でも同じように違いが存在している可能性があると見られています。わかり合えないといった問題も、源をたどると、こうした脳の遺伝子レベルの差が影響しているのかもしれません。
<参考文献>
Male and Female Mice Have Different Brain Cells
https://www.caltech.edu/about/news/male-and-female-mice-have-different-brain-cells
Cell. 2019 Oct 17;179(3):713-728.e17. doi: 10.1016/j.cell.2019.09.020.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31626771
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星 良孝 <ステラ・メディックス>
ステラ・メディックス代表取締役社長/編集者 獣医師 専門分野特化型のコンテンツ創出を事業として、医療や健康、食品、美容、アニマルヘルスの領域の執筆・編集・審査監修をサポートしている。代表取締役の星良孝は、東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BP社において「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年に会社設立。https://stellamedix.jp
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