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美容皮ふ科医に聞いた! 快適な睡眠&翌日のパフォーマンスアップのためにとり入れたい「夜ボディリペア」

昨今、睡眠中の肌や髪、体などをケアしてくれるアイテムを睡眠前にとり入れることで、睡眠環境をサポートするナイトケアのニーズの高まりにより、夜美容に関連するアイテムが増えています。さらに、質の高い睡眠のニーズ、気持ちのいい朝を迎えたいなど休養リテラシーの向上もますます注目されると予測。そこで、FYTTEの『ヘルスケアトレンド2025』では、キーワードのひとつに「夜ボディリペア」を発表!
今回は、快適な睡眠&翌朝のいい目覚めに導く夜の過ごし方やアイテムの選び方などを、医療法人社団健麗会もこスキンクリニック吉祥寺本院 院長の高畠 唯先生に教えてもらいました。
Contents 目次
約7割が睡眠の質を高めるナイトケア・アイテムを活用!
近年、睡眠環境をサポートするナイトケアアイテムの活用や質の高い睡眠のニーズ、気持ちのいい朝を迎えたいなど休養リテラシーの向上が注目されています。
そこで今回、FYTTEのファンコミュニティ「Fan!Fun!FYTTE」のメンバー約110人(20代〜50代/男性15人、女性95人)に対して「夜ボディリペア」(睡眠の質を高めてくれるスキンケアやボディケアアイテム)に関する調査を行いました。
「睡眠の質を上げてくれるスキンケア・ボディケア・バスアイテムの使用」に関しては、現在使用している、または使用したいという回答が約7割という結果に。
夜のスキンケア・ボディケアを選ぶ際、どんな効果を期待しているかという質問に対しては、1位「保湿力、乾燥対策」が75%、2位「香りのよさ、リラックス作用」が70%、3位「肌へのやさしさ」が46%でした。
バスアイテム(ボディソープやシャンプー・トリートメント)に期待している効果については、1位「保湿力、乾燥対策などの肌への美容効果」が57%、2位「心地よさ(さっぱり・しっとり)」と「香りのよさ、リラックス作用」が55%、3位「肌へのやさしさ」が50%でした。
また、「1日の睡眠時間」に関しての質問では、「6〜7時間くらい」と答えた方が全体の7割で、しっかり睡眠時間を確保していることがわかりました。
さらに、「睡眠前に行なっている美容習慣」では、マッサージやストレッチ、保湿ケア、ハーブティーや白湯を飲むなどのインナーケアをとり入れているコメントが多く、「睡眠の質を高めるためにとり入れているアイテム」では、枕やアイマスク、寝具、アロマや音楽、サプリメントなど、寝る直前のリラックス感を高めるアイテムに関心があることがわかりました。
[調査概要] FYTTEのファンコミュニティ「Fan!Fun!FYTTE」調べ調査対象者:20代〜50代の男女110名(男性15人/女性95人)
調査期間:2025年3月1日(土)〜3月15日(土)
調査方法:インターネット調査
続いては、医療法人社団健麗会もこスキンクリニック吉祥寺本院 院長の高畠 唯先生にお話を伺った「睡眠と美容の関係」についてや「快適な睡眠&翌朝のいい目覚めに導く夜の過ごし方やアイテムの選び方」をお届けします。
いい睡眠と美容の関係。寝ることで得られる美容効果
FYTTE:昨今、質の高い睡眠を得るための情報や商品が続々と登場しています。その日の疲れをケアし、体を休めて翌日また元気に過ごすために睡眠は大事だと思いますが、美容面ではどんな効果が得られますか?
睡眠と美容の相乗効果や関係性などを教えてください。
高畠先生:はい。まず、入眠後すぐに成長ホルモン(GH:growth hormon)が分泌されます。成長ホルモンは、たんぱく質構成や細胞組織の修復をする働きがあります。紫外線を受けるとDNA細胞が破壊されて、シミやシワなどの要因になります。そういったダメージを寝ている間に修復してくれる効果があるので、美容においても睡眠はとても大事だと言えます。
また、朝4時くらいからコルチゾールという朝の目覚めを促すホルモンが分泌されて1日のリズムを作ります。睡眠時に分泌される成長ホルモンの働きを十分に行うためにも、夜中1時までには寝るのがおすすめです。
FYTTE:睡眠の質や長さについてはどうですか? たとえば、睡眠時間が短くてもホルモンの分泌や働きは行なってくれるのでしょうか。
高畠先生:そうですね。寝てから3〜4時間でメラトニンというホルモンが分泌されるのである程度の時間を確保しないと、細胞の修復に至らなかったりします。一般的には、すごく短すぎるより6〜8時間程度は確保できるといいですね。
高畠先生がおすすめする、快適な睡眠を導く夜の過ごし方4つ
FYTTE:最近、睡眠と美容に特化したナイトケア商品やアイテムを利用する人が増え、新商品も続々と登場しています。こういったアイテムを活用して睡眠の質を高めたり、翌朝の快適な寝起きにつながるような夜の過ごし方を教えてください。
高畠先生:ホルモン分泌のためには夜中1時くらいまでには寝ること。あとは、深部体温が下がると入眠しやすくなるので、寒い時期は湯たんぽなどで手足の血流をよくすることです。末梢を温かくすることによって深部体温が下がりやすくなるので温活アイテムの活用はいいと思います。
手足のマッサージも同じような効果が得られるのでおすすめです。マッサージで末梢の血流がよくなり体全体の体温が上がると深部体温が下がるので眠りやすくなります。
そして、朝起きて朝日を浴びることです。朝、セロトニンというホルモンが分泌されます。これは光の刺激によって、夜になるとメラトニンというホルモンに変わり、寝ている間に働いてくれます。いい眠りの準備のためにも、朝日を浴びましょう。
<いい眠りのための夜の過ごし方4つ>
1.ホルモン分泌のために夜中1時までには寝ること。
2.深部体温を下げて、入眠しやすい状態を作る「湯たんぽ」の活用。
3.手足のマッサージも効果的。寒い時期は末梢を温めよう!
4.朝起きたら朝日を浴びること。セロトニン→光の刺激でメラトニンに変化。
FYTTE:反対に睡眠の質を下げたり、翌朝のコンディションが下がるような、おすすめしない過ごし方はありますか?
高畠先生:そうですね。寝る直前にお風呂に入ってしまうと、深部体温が下がりにくくなるので、寝る1時間前に済ませておくのがいいですね。寝る前の激しい運動(筋トレなど)もあまりおすすめしません。
FYTTE:食事についてはどうでしょうか。コロナ禍以降、外出する人が増え、夜遅くに帰宅し、食事する人も多いのかな、と思うのですが。
高畠先生:私の専門でニキビについてお話しすると、血糖値が上がってしまうとインスリンが分泌され、それにより皮脂の分泌が多くなります。そうすると、肌荒れやニキビの発生や悪化の要因になることもあります。
たとえば、お仕事で帰宅が遅くなり、夕飯の時間が遅くなってしまう場合。お昼を食べてから夕食の時間まで空腹状態で過ごして、夜遅くにガッツと食べてしまう。こういった人は、血糖値が急上昇して、肌荒れが起こりやすくなります。
おすすめなのが分食です。夕方4〜5時くらいにおにぎりを1個食べておいて、帰宅したら、野菜サラダやスープだけにすると血糖値の急上昇を防いで、ゆるやかにコントロールしてくれます。
<気をつけて!睡眠の質低下や肌荒れを招く夜の過ごし方>
・寝る直前のお風呂はNG。お風呂は寝る1時間前までに。
・寝る前の激しい運動や筋トレはNG。ヨガや瞑想、ストレッチがおすすめ。
・夜遅くのガッツリ食はNG。血糖値が上がると肌荒れやニキビの要因。分食がおすすめ。
「夜ボディリペア」が叶う。アイテムの選び方&とり入れ方
FYTTE:ここではナイトケアアイテムについてお伺いします。スキンケアやボディケア、バスアイテムなどの選び方やとり入れ方を教えてください。
人それぞれだとは思いますが、話題の成分で選んだり、新商品で選ぶ人もいます。高畠先生はどんなアイテムを選び、使っていますか?
高畠先生:そうですね。テクスチャーなどは自分の好みで選べばいいと思いますが、睡眠に導く香りとしてはリラックスできるラベンダーやローズ、ヒノキなどがおすすめです。
ナイトケアに限らないのですが、たとえば、スキンケアだったら、ビタミンAが入っているものは使っています。肌の生まれ変わりを促進してくれて、肌荒れ防止や肌質の水分量を増やしてくれる効果があるので、シワ予防にもなります。ヘアケアは、洗い流さないトリートメントを使っています。
FYTTE:バスアイテム(シャンプー・トリートメント、ボディソープなど)を使うときに気をつけることなどはありますか?
高畠先生:ヘアケアに関しては、洗浄力が強いものよりサロン専売品やロフトなどで取り扱っているアイテムで、髪や頭皮にやさしい商品を選ぶのがポイントです。
ボディケアに関しては、肌の乾燥が強い人だったら、ナイロンなどでゴシゴシ洗うと肌を傷つけてしまうので、泡立てた泡で、手で洗うのがいいと思います。
お風呂から出たあとの保湿も、ローションタイプは肌に水分を与えるモイスチャーライザー効果はありますが、ローションだけだと保湿力が弱く、すぐに蒸発してしまうので、エモリエント効果という水分にフタをする効果のあるものを使うといいですね。もしくは、クリームやオイルを使ってもいいと思います。
FYTTE:たとえば、大容量タイプのローションで、セラミド配合の商品だと保湿は足りないでしょうか。
高畠先生:セラミドなどの保湿成分が入っているもので、乾燥が気にならないようならいいと思います。
FYTTE:選び方やとり入れ方、ケアの方法は、秋冬・春夏など、季節で変えたほうがいいですか?
高畠先生:そうですね。保湿をする、という点では変えないほうがいいですが、肌の状態を見て、保湿する製剤を変えてみるとか。冬は重ねづけをしていたなら、夏はアイテムをひとつにしてみるなど、保湿力のあるものであればローションだけでもいいと思います。
気をつけたいのは紫外線を浴びたあとの肌ケアです。紫外線を浴びている時間が長い人や野外活動をしている人は肌が乾燥してしまうし、炎症している状態なので、とくにしっかり保湿はしてあげてください。
また、スキンケア用品を選ぶ際も、なるべく同じ会社のものでそろえて使うことで効果が得られます。いろいろな商品を試したり他社製品を混ぜて使うと、成分同士の相性が悪い場合もありますので、ラインで使うのがおすすめです。
どうしても、複数のアイテムをとり入れたい場合は、今使っているものに、1個だけ追加してとり入れてみてください。肌荒れしたときに、複数のアイテムを使っていると、何が原因だったのかわからなくなってしまいます。
FYTTE:最後に、スキンケアやボディケアについて、FYTTE読者にメッセージがあれば教えてください。
高畠先生:小顔やむくみ解消のために、カッサのようなマッサージアイテムを使って皮ふを引き上げている人がいるのですが、肌の摩擦になりますし、シミや肝斑の原因にもなります。皮ふをグイグイのばしてしまうと、シワの要因にも…。
とり入れるなら、ツボ押しや指圧するようなケアがおすすめです。スキンケアに限らず、体もグリグリするようなマッサージはNGです。
美顔器なども、肌の上をすべらせるという意味では、毎日はおすすめしません。商品によっておすすめの使い方や仕様書があるとは思いますが、2週間に1回程度がよいと思います。
FYTTE:ありがとうございました!
睡眠と美容の関係&いい眠りのための夜の過ごし方、アイテムの選び方・とり入れ方について、とても参考になりました。
取材・文/FYTTE編集部