冷え性に悩む人にとっては、これからのエアコンの季節もつらい時がありますよね。それを乗り切るために活用したいのが"お風呂"。毎日の入浴習慣に少し工夫を加えることで、つらい冷え性とさよならできるかもしれません。医学博士の前田眞治先生に伺った、冷え性に効果のあるお風呂の入り方をご紹介します。
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冷えた体を温める条件は「熱を作って、運んで、温める」
冷え性とは、手足が温まらず冷えた感覚が続いている状態をさします。その原因には、体温調節をする「自律神経」の乱れや血液循環の悪化などがあげられますが、ほとんどの場合は冷たい外気などに手足が触れることで“冷え”を感じているだけとも言われているのです。
「糖尿病などが原因で手足の末梢の血液循環が悪くなっている場合は、医師にかかるなどの処置が必要ですが、冷え性という人の多くは単に皮膚表面が冷たくなっているだけで、血行に問題のない人がほとんど。少しだけ血流を促して手足に温かい血液が行き届くようにすれば、体全体が温かくなり、冷え性の症状が楽になりますよ」(前田先生)
では、血流を促して体を温めるにはどうしたらよいのでしょう。前田先生いわく、必要な要素は「熱を作る・熱を運ぶ・保温する」の3つ。これを実行することが、冷え性改善への近道になるようです。
「まず“熱を作る”というのは、体が温まるものを食べたり、運動をして筋肉を温めたりすること。“熱を運ぶ”は、温かくなった血液が体を巡って手足の指先まで熱を到達させること。そして、冷えて血管が収縮してしまわないように、厚手の服を身に着けて温めたい部分を“保温する”のです。この3つの要素を一度に満たせるのがお風呂。温かいお湯に浸かって熱を作り、その温かさで広がった血管の中を血液が巡って熱を全身に運び、風呂から出た後も、すぐにタオルで拭いて暖かい衣服を早く身に着けて保温するということですね。」(前田先生)
毎日の入浴にひと工夫をプラス これで冷え性は改善できる!
体を温めるのに最適な“お風呂”。しかし、いつもの入浴にプラスαをすることで、冷え性改善にさらなる効果が期待できます。前田先生が勧める6つの工夫、ぜひ試してみてはいかがでしょう?
①やや熱めのお湯で全身を温める
やや熱めに感じる41~42℃のお湯に入ると血行がよくなります。少し長めにお湯に浸かれば、血管が拡張している時間も長くなります。41℃なら15分、42℃なら10分程度が良いでしょう。
②入浴剤を用いる
保温系の入浴剤を使えば温かさがアップ。やはり少し長めにお湯に浸かり、血管を拡張させましょう。
③熱めのお湯で手浴&足浴
湯船に浸かってさらに、手浴や足浴をするのも効果的。やや高めの42~43℃のお湯で10分程度、手や足を温めてください。バケツや足浴用の小さな浴槽はお湯が冷めやすいので、途中でお湯を足して温度を確保しましょう。
④入浴後にストレッチ
入浴後に簡単なストレッチをすると、筋肉が動かされるため、熱が作られ、さらに体が温まります。足であればふくらはぎや太もも、手なら肩から上腕部(二の腕)までを動かすのが効果的です。
⑤入浴後にマッサージ
入浴後のマッサージも血流量を増やすには有効です。足なら膝から足首までの下腿部や足部、手なら上腕・前腕・手部のマッサージがオススメですよ。
⑥足指と手指の曲げ伸ばし
手足の指先や、手首・足首の曲げ伸ばす運動です。入浴中や入浴後に行いましょう。
「①~⑥のうちできそうなことを続けていけば、それまで縮んでいた血管が日に日に拡張され、冷えた手先や足先に温かい血液が行き届くようになります。そうなれば、手足を直接温めなくても冷えを感じにくくなり、冷え性も改善されますよ」(前田先生)
誰でも手軽に実行できるお風呂タイムのひと工夫。楽しく続けて、寒い季節を乗り切りましょう!
文/ほそいちえ