お酒を飲んで盛り上がったあとはお風呂に入ってサッパリしたくなりますが、一般的に「飲み過ぎたあとの入浴は避けるべき」とも言われているようです。お酒と入浴の関係、そして、飲み過ぎた時の正しい入浴方法について、医学博士の前田眞治先生にお話を伺いました。
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体はフラフラ、血液ドロドロ、飲んだ後の入浴はかなり危険!?
アルコールを摂取した状態での入浴を避けるべきと言われているのには理由があります。
「酔っぱらって湯船で寝ると溺れてしまうから?」…もちろんそれもありますが、医学的な見方をすれば、3つの大きな“危険”が潜んでいるようです。
「私たちが摂取したアルコールは脳の中枢神経に作用するため、一時的に脳が麻痺したような状態になります。この状態で風呂場に入れば、ふらついて転倒する危険性が挙げられるでしょう。
また、アルコールを飲むと一時的に血圧が下がります。もしもそのまま浴槽で眠ってしまえば、血圧はさらに低下して脳に血液が行かなくなり、意識障害が起こる可能性もあるのです」(前田先生)
また、アルコールは体内の水分を排出させる働きがあるため、湯船につかって汗をかけば脱水状態となってしまい、血液がドロドロになるそう。
「こうなると、心筋梗塞や脳梗塞などの重大な病気を招くことにもなりかねません」(前田先生)
悪酔いの原因を排出すれば、お酒を飲んだあとのお風呂も大丈夫!
さまざまな危険が伴う飲酒後の入浴。しかし、多少の飲酒程度であれば、安全にお風呂でサッパリできる方法があるようです。カギを握るのは、アルコールが体内で分解される際に作られる「アルデヒド」という毒性の高い物質だそう。
「これが私たちの体に悪さをして、頭痛やめまい、二日酔いなどを引き起こすといわれています。しっかりと水分を補給してアルデヒドを尿と共に体外へ排出することが、危険な入浴を避けるポイントとなるのです」(前田先生)
では、実際にはどのように入るのがいいのでしょうか。
「まず、入浴前には摂取したアルコールの分量に見合った水分を補給しましょう。たとえば同じお酒でも、ロックより水割りにすると体内に入る水分量が増えますよね。水分をしっかりとれば、脱水状態になることなくアルデヒドを効率的に排出できるので、悪酔いを避けることができます」(前田先生)
また、お風呂の湯の温度や入浴時間にもポイントが。
「お風呂のお湯は、交感神経を刺激して体を覚醒させる高温&短時間入浴で。酔っている態で入浴すると正しい温度を認識しづらくなるため、41度くらいの湯でも十分に熱く感じられるはず。安全面からも、41度で5~8分くらいがいいでしょう。
一度の入浴で、私たちの体内からは平均200~300mlの水分が失われます。そのことも考慮して、入浴中はもちろん入浴後も多めに水分をとってください」(前田先生)
お風呂は面倒だけどサッパリしたい! という人は、服を脱がずに温まれる足湯や手浴もおすすめです。
「水分補給後、少し熱めのお湯で足や手を温めることで血液が全身に巡り、早めにアルデヒドを体外に排出することができます。トイレの回数は増えてしまいますが、二日酔いの防止には効果的ですよ」(前田先生)
前田先生がおすすめする方法なら、つい飲み過ぎてしまった夜も安心してお風呂に入ることができ、翌朝もスッキリ。ただし、過度な飲酒で泥酔している場合は、この限りではありません。自身の体調を考慮して、安全な入浴を心がけてください。
文/ほそいちえ