正しい洗顔方法の大切さを学んだ前回の続編となる今回は、肌にやさしいコスメのオフの仕方と、敏感肌向けの化粧品についてです。新しく買い換えた春物のコスメ、きちんと落とせているのか心配。敏感肌向けのアイテムは本当に肌にやさしいの? スキンケアの疑問をかずのすけ先生に教えていただきました。
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メイク残しのチェック法と、コスメに合わせた洗顔料の選び方は?
前回も説明したように洗いすぎもよくありませんが、メイクをしっかり落とすことは重要です。メイクが肌に残っていないかを簡単に判別する方法としては、コットンに化粧水もしくは乳液をたっぷり含ませて、洗顔後の肌を拭いてみてください。メイク汚れがつかなければ落ちている証拠。新しいコスメに買い換えたあとや、新しい洗顔料やクレンジングを使い始めたときなど、ちゃんと落とせているかを確認することはとても大切です。
ちなみに、昨今人気のミネラルコスメに関して、「ミネラルコスメ=洗顔料で落とせる」と単純に思い込んでいる人をよく見かけますが、ミネラル系であればすべてが洗顔料だけで落ちると考えてはいけません。「石鹸で落とせる」といった意味の文言が入っている製品はクレンジング不要で石鹸のみで落とせるようになっている場合が大半です。しかし、ミネラルコスメであっても落としにくい構成になっているものは多くあります。その場合はクレンジングが必要です。
洗顔料の選び方については、肌にやさしい処方のものを使うと肌に負担がかかりにくくなります。クレンジング後のW洗顔に石鹸などの高い洗浄力のものを使うと肌が乾燥してしまいがちなので、W洗顔にはアミノ酸系などの洗浄力のやさしいものを選ぶといいです。ただし、アミノ酸系洗顔料は洗浄力が非常にやさしいので「石鹸で落とせる」と書いてあるコスメでも落としきれないケースが多いです。石鹸とアミノ酸系は洗浄力が大きく異なるので、上手い使いわけが必要です。
具体的には、石鹸落ちコスメ用やしっかり洗いたいときには石鹸を、W洗顔用や肌が敏感なときや、やさしく洗いたいとき用にアミノ酸系を用意するのがいいでしょう。
「敏感肌用」と記されている化粧品は本当に肌にやさしいの?
化粧品に「敏感肌用」や「敏感肌向け」と記載するのには、じつは特に試験やデータの提出が必要なわけではなくメーカーの判断でいくらでも記載することができます。そのため、中には特に肌にやさしい構成になっていない製品でも「敏感肌用」等と記載されているケースもあります。なので、敏感肌用とあるからと言って必ずしも肌にやさしいわけではないことには注意して欲しいと思います。
そもそも「敏感肌」という言葉は化粧品業界特有の業界用語であり、医学的な定義が存在しないため化粧品広告では自由に使える用語なのです。似たような表現でも例えば「肌の弱い人用」「低刺激な化粧品」という表現は基本的に使えません(前者は肌が弱い人を限定する表現のためNG、後者は客観的に低刺激性を証明する事実がある場合のみ可)。
ただし、多くのメーカーは「敏感肌向け」と銘打っている製品ではそれ相応の工夫をしている場合が多いです。炎症を抑える有効成分を配合した薬用化粧品になっていたり、成分の基剤(高濃度で配合され化粧品のベースになる成分)に低刺激なものを使ったりなど。必ずしも肌にやさしいと言えるわけではないものの、比較的やさしいものになっている場合が多いのは事実なので成分を詳しく読めない場合は「敏感肌用」の表記をある程度頼ってもいいかもしれません。
「低刺激なケアの徹底」それだけでほぼすべての肌悩みに対応できる
かずのすけの提唱するスキンケアの基礎理念はとてもシンプルだと思います。「とにかく低刺激なケアを徹底すること」それだけです。じつはこれだけで基本的な肌トラブル(炎症やニキビ、乾燥など)のみならず一般に何らかのプラスαの美容ケアが必要とされている美白やシミ、シワ、たるみ、毛穴などを含めたほぼすべての肌の悩みに対応できると言えます。
元々これらの肌悩みの原因は「皮膚刺激」にあります。肌が黒ずんだりシミができる原因と言われる「メラニン」は、主には紫外線の影響で発生していますが、これは紫外線が強力な皮膚刺激物質であり、その刺激に対してメラニンが生まれているからです。実際には、皮膚を擦り続けるとその部分が黒ずんでいくように、メラニンは単なる皮膚刺激でも生じるのです。他にもシワやたるみも同じく皮膚刺激が主な原因になっていることが最近分かってきています。毛穴やニキビ、乾燥や炎症も全て肌に刺激を与えることが根本的な原因です。
このため、化粧品そのものの刺激もさることながら、化粧品を付ける際に過度に擦ったり叩いたり、肌がこわばっているからとムリにピーリングなどの刺激の強いケアを行うと、余計に肌はあれ、老いていく原因になります。
これを考えれば紫外線や摩擦を避けることも含めてすべてにおいて低刺激なケアを徹底することで肌はあれにくくなり、メラニンやシワが生成されにくくなり、より若々しい肌を維持できやすくなると考えられます。
あれこれプラスのケアを執拗に行うよりも、不要なケアを極力やめてシンプルケアで低刺激に徹することが美肌を維持する何よりの秘訣となります。
『オトナ女子のための美容化学 しない美容』(ワニブックス)
取材・文/渡部玲