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美肌に欠かせない三大鉄板とは?
「美肌=いい菌が居心地よい肌のこと。健康で美しい肌を保つには、表皮ブドウ球菌が元気に活動してくれることが何より大事です。菌の宿主である私たちにできることは、菌が心地よく棲める環境を整えてあげることです」(川上さん)
そう話す川上さんが、「美容と健康に欠かせない三大鉄板」として実践するのが、バランスのとれた食事と質の良い睡眠、運動の3つです。
「それさえ意識的にやっておけば、肌荒れしにくいと思います。私の場合、朝は白湯で体を温めたあとにフルーツとヨーグルト、昼はお魚メインのランチを食べ、夜は野菜のとれるメニューで軽めに済ますことが多いです。栄養満点でお肌が喜ぶメニューとしては、あったかいおみそ汁と納豆や卵のついた定食屋さんの煮魚定食や焼き魚定食をイメージしてもらうといいですね。
肌がカサつくときは、亜麻仁油などの良質な油をサラダにかけたり、魚の脂をとるのも効果的です。
睡眠は、睡眠3時間目から成長ホルモンが分泌されるので、どんなに忙しくても最低4時間はとるようにしています。よく寝た翌朝はお肌の調子もいいですが、その理由は、ぐっすり眠ることで汗をかき角質に水分が行き渡り、ハリやツヤ、透明感が出るのと、皮脂や汗が十分に分泌されて、皮膚常在菌が活発に活動しているからです」(川上さん)
ストレッチや掃除で汗をかく習慣を
運動は、朝のウォーキングやジム通いができれば理想的ですが、無理に運動の時間をとらなくても、お風呂上がりのストレッチや、家事をテキパキこなすだけでも効果があるそう。
「私もジムにはなかなか行けないのですが、お風呂上がりに10分ストレッチをやるだけでじんわり汗をかきます。運動をすると血流がよくなるだけでなく、そのじわっとした汗が、寝ている間に皮膚常在菌が皮脂や汗を吸収するのにとても役立ちます。なので、汗で肌がかぶれてしまう体質でなければ、眠る前には少し汗をかくといいでしょう。
汗は抗菌ペプチドという抗菌成分を含んでおり、悪玉菌の繁殖も抑えてくれます。
それと、運動代わりに私がしているのが朝の掃除です。ものを動かしたり片づける動作はけっこう汗をかくし、窓を開けて空気の入れ替えをすることで空気中の雑菌をとりこむこともできます。なにより、家の中がキレイになると気分がいいですよね」(川上さん)
休日に育菌日をつくろう!
さらに、川上さんがすすめるのが、「休日を育菌日にあてること」。
「といっても、特別なことをする必要はありません。休みの日にゆっくり起きてブランチを食べ、そのままDVDを観たり、平日にできなかった家事を片づけているとき、『あ、今日、顔を洗ってないわ』と気づくことがありませんか? その、ちょっとぬるっとした肌の状態が、菌にとっては栄養豊富な好環境なんです。
平日は朝の洗顔で、常在菌と彼らの栄養源になる皮脂や汗を洗い流したり、メイクで菌に試練を与えている人も、休日はその状態をしばしキープしておくだけで育菌ができます。
ただ、前の晩にオイルやクリームを塗りすぎていると、朝起きたときに油分が過多になって毛穴が詰まる場合もあるので、洗顔するかしないかは皮脂の量で判断してください。見分け方としては、ほおを指でぐっと押したときにぬるぬるしすぎず、指の周りにツヤの反射ができれば、皮脂の量がちょうどいい状態です」(川上さん)
より積極的に育菌したい!という方には、ガーデニングで土いじりをしたり、泥つき野菜を使って料理をするのもオススメだそうです。
「年齢を重ねると常在菌の数は減っていきますが、菌と触れ合うことで補充することができます。皮膚常在菌は善玉菌だけがいればいいわけではなく、善玉と悪玉、空気中の雑菌がそれぞれ違う分泌物を出し、その分泌物に肌が対応することで肌は強くなります。そして、肌の免疫細胞を生み出す腸内細菌が、清潔な環境では育ちにくいことなども研究で明らかになっています。
なので、あまり清潔志向にならず、外へ出て、植物の雑菌、土の雑菌、海の雑菌などいろんな雑菌を肌に付着させたほうがいいんです。私は断然おうち派よ、という方も、部屋に観葉植物を飾ったり、ペットを飼うだけでも違いますよ♪」(川上さん)
育菌&美肌づくりのためにできることはまだまだたくさんあります! 次回は、「良い菌を育てるお風呂の入り方」について伺います。
取材・文/浜野雪江