「敏感肌」といわれるように、メイクをすると肌がかぶれてしまうと悩んでいる人は少なくないかもしれません。その原因になる成分はいろいろですが、アレルギーが関係しているようです。しかし、そうしたかぶれがなぜ起こるのかよくわかっていない部分も。このたび、化粧品によるかぶれの秘密について新発見がありました。対処を考えるヒントになるかもしれません。
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メイクで肌が荒れてしまう理由とは
植物や薬品に触れたとき、肌にヒリヒリした痛みや赤みが出るのが「かぶれ(接触皮膚炎)」です。肌にかぶれを起こす原因としては、植物の漆の樹液などがよく知られています。そんな肌のかぶれは化粧品を使ったときにも起こる場合があります。最近でも海外では、保湿剤やクリームのほか、ナチュラルやヴィーガンをうたっている商品によるかぶれが報告されており、気をつけたい症状といえるでしょう。
アレルギーを起こす成分はさまざまなものがあるのですが、化粧品のかぶれがどうして起こるのかはっきりしない場合も多かったようです。原因がよくわからないために、防いだり、治したりする手段が限られているという問題がありました。このたび米国コロンビア大学の研究グループが、化粧品やクリームを使ったときにどうしてかぶれることがあるのかについて新発見を報告しました。
かぶれの引き金を引くのは…
こうしてわかったのは、化粧品やクリームによるかぶれの原因につながるカギを握るのが化粧品の香り成分などであることでした。具体的には、香料などになるペルーバルサムやファルネソールといった成分が自然のリピッド(脂質成分)を変換させ、通常は起きないような肌のかぶれを引き起こしやすくする可能性が示されたのです。敏感肌とひとくくりにされがちなかぶれですが、背景にはこうした免疫反応の変化が隠れているようです。
研究グループは対処を考えるヒントになる可能性を指摘しています。というのも、研究グループは、問題になる成分の働きを止める、別のタイプのリピッドをすでに見つけているからです。従来ならば化粧品の使用をやめるほか、場合によってはかぶれを止める薬を使う必要があったのですが、この場合には副作用も心配されていました。今後、研究が進んでくれば、より安全で効果的な方法が登場して、化粧品などによるかぶれをもっと防いだり、簡単に治せたりできるようになるのかもしれません。
<参考文献>
薬剤による接触皮膚炎(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1a17.pdf
Study Explains Why Some Creams and Cosmetics May Cause a Skin Rash
https://www.cuimc.columbia.edu/news/study-explains-why-some-creams-and-cosmetics-may-cause-skin-rash
Human T cell response to CD1a and contact dermatitis allergens in botanical extracts and commercial skin care products
https://immunology.sciencemag.org/content/5/43/eaax5430
Dermatitis. 2019 Nov 1. doi: 10.1097/DER.0000000000000536. [Epub ahead of print] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31688136
Contact Dermatitis. 2019 Dec 4. doi: 10.1111/cod.13449. [Epub ahead of print] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31802502
Contact Dermatitis. 2019 Dec 15. doi: 10.1111/cod.13454. [Epub ahead of print] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31840261