空腹の時間をつくる「プチ断食」の健康効果に注目が集まっています。「断食=苦行」のイメージがつきまといますが、ガマンやムリは禁物、と『「空腹」こそ最強のクスリ』(アスコム)の著者であり、糖尿病などを専門とする医学博士・青木厚先生は言います。「〇kgやせる!」「断食をガマンしたら〇〇を食べよう!」といった目標設定も反動を招く恐れがあり、逆効果。では、空腹時間にものを食べたくなったら? プチ断食中の運動は? 今回は“プチ断食に関する”素朴な疑問に答えていただきました。
Contents 目次
どうして、目標体重や期間を設定してはいけないの?
プチ断食は、続けることが大切です。「2週間だけ頑張る」「3キロやせるまで続ける」など目標を決めると、ムリをしたり、ガマンすることが出てきてしまい、かえってその反動でドカ食いを招いてしまうこともあるからです。空腹時間をつくることは、健康によいことです。便秘が解消され、体も軽くなるでしょう。そうした快適な状態を空腹の時間が招くということを、感覚として体が覚えることを目指しましょう。
空腹の反動で、ドカ食いしてしまいそうで心配。どうしたらいい?
空腹の反動で食べてしまうのは、どこかでムリをしているからです。空腹時間に、ナッツやヨーグルトなどは食べてもOKです。ゆるっとした気持ちで行ってください。
ナッツやヨーグルトを食べてもいいのは、なぜ?
空腹時間は、水以外のものをとらないのが理想です。しかし、お腹がすいて仕方ない、というときもあるでしょう。そんなときは、低糖質のものは食べてもOKとしています。たとえば、素焼きのナッツ、ヨーグルト、生野菜、根菜以外の具を入れたみそ汁、スープなどです。おすすめは、ナッツ。腹持ちもいいため、少量で満足感がありあります。また、栄養価も高く、不足しがちなビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富です。
たとえば、ピスタチオ、クルミ、カシューナッツ、マカダミアナッツ、ヘーゼルナッツには食物繊維、抗酸化作用のあるビタミンE、脂肪の燃焼を促すビタミンB2、亜鉛、カリウム、マグネシウムなどのミネラルが豊富です。アーモンドにも、食物繊維、ビタミンE、鉄分が多く含まれています。ナッツに含まれる不飽和脂肪酸がオートファジーを活性化させることが研究でわかっています。ナッツやヨーグルトをじょうずにとり入れて、“食べない時間=ガマンする時間”にならないように工夫しましょう。プチ断食に慣れてくれば、こうしたお助けフードも必要としなくなってきます。
プチ断食が終わった時間帯は何を食べてもいいの?
何を食べるのも自由です。ケーキやお菓子はNGといった制限はありません。まずは、空腹の時間を習慣にすることが大事。ムリやガマンをすると続かなくなってしまいます。
月経前になるとイライラして食べてしまう。そんなときはどうすればいい?
女性ホルモンの影響で、女性は体調に波があります。月経前などにイライラを感じて、食べてしまうようなら、その時期はプチ断食をお休みしてもかまいません。体調がよくなって、快適に過ごせるようになってから再開しましょう。
プチ断食中に運動をしてもいいの?
プチ断食の欠点は、食べる量が減ることで、筋肉量が低下してしまうことです。運動はぜひ行いましょう。おすすめは、階段の上り下りです。有酸素運動と下半身の筋トレになります。通勤など移動の際には、積極的に階段を使いましょう。ちょっとした空き時間に、ウォーキングをしたりするのもいいでしょう。ただし、減量効果を高めるには、食後のタイミングで運動するのが最適です。また、空腹中に運動をすると、オートファジーが活発化すること、動かした部分の筋肉にオートファジーが起こりやすくなることがわかっています。
日常の中に「空腹の時間」を作る“プチ断食”。10時間の空腹時間で「メタボリックスイッチ」が発動して脂肪が燃えやすくなり、12~16時間の空腹時間で、アンチエイジング効果もあるオートファジー機能がしっかりと働くということは、今までお伝えした通りです。
ダイエットというと、目標をしっかり設定しすぎてしまい、「今日はできた」「今日はできなかった」と、その日その日の調子で一喜一憂しがちですが、“プチ断食”は、ゆるっとした気持ちを大切にし、空腹の快適さを体得することを目指していきましょう。
取材・文:海老根祐子
参考書籍:『「空腹」こそ最強のクスリ』