「産後の体型が戻らない」「自然に元の体重に戻ると聞いたけど、戻らない」「出産後の自分の体の変化についていけない」など産後にいちばん多い悩みが体型の変化。出産は女性にとって一大イベントのひとつですが、出産後のほとんどの女性が体重や体型を元に戻したいと「産後ダイエット」を考えています。
今回スタートする新企画「産後ダイエット」では、まず妊娠-出産-産後の体の変化について、正しい知識をお伝えし、出産後のさまざまなトラブルの改善方法や、体型変化に関するお悩みについて、トレーナーで理学療法士である私が解説していきます。
Contents 目次
「産後ダイエット」っていつから始めればいいの?
一生のうち、そう何度もあるわけではない妊娠-出産の機会。妊娠・出産そのものが「奇跡」といえます。本題に入る前に、まずはご出産を終えたすべてのママに伝えたいです。
「ご出産おめでとうございます。これから、多くの幸せに包まれますように」
お産にはマラソンのようなお産もあれば、短距離走のようなお産もあります。どんなお産にしても、体に大きな負担がかかっていることに変わりありません。待ちに待った赤ちゃんとの出逢いのあとは、すぐに子育てが始まり、体を休める間もなく忙しく動き始めます。また、ホルモンバランスの急激な変化により、精神的にも不安定になりやすい時期です。なので、あまりムリをせず、まずは赤ちゃんとの時間を大切に、育児を始めていくことが大切です。
産後の体は、6~8週間かけて徐々に回復していくといわれています。この期間を「産褥期(さんじょくき)」といいます。「産褥期」に、ホルモンバランスがゆっくりと妊娠前の状態に戻っていき、ふくらんでいた子宮は握りこぶし大くらいの大きさに縮小し、膣も収縮していきます。
産後1か月まではムリをせず、ゆっくりと過ごして体と心を休めてあげましょう。
「産後ダイエット」は、産後1か月経ち、1か月検診で医師からの運動許可が出てから、お一人おひとりの体力レベル、生活リズムに合わせて少しずつ始めていきましょう。
「産褥期」のあと、約半年間の「回復期」に産後ダイエットを行っていくのがもっともおすすめです。「回復期」を過ぎると、効果が出るまでに少し時間がかかってしまう可能性があります。しかし仮に「回復期」を過ぎてからこの記事を読んでいる人も、気長に続けることで効果が出てきますので、ぜひあきらめずに取り組んでみてくださいね。
「産後ダイエット」って何をすればいいの?
「出産したら妊娠前の体に戻る」と思っている人は多いです。しかし、実際のところ産後は「授乳婦」に変化するのであって、自然に元に戻るわけではありません。
骨盤は、妊娠後期からお腹の中の赤ちゃんが大きくなり、またお腹周りの皮膚や筋肉が伸びていき、分娩前は開いた状態になります。分娩後は、骨盤と骨盤底筋がゆるんでおり、骨盤底筋は分娩様式(経腟分娩、帝王切開など)に関わらず、妊娠期のゆるみが続いています。産後3~6か月かけて徐々にゆるんだ骨盤と骨盤底筋が回復していきます。この回復過程には個人差があり、もともと筋力が弱いタイプの妊婦さんでは回復に時間がかかります。
また、分娩によって「仙腸関節(せんちょうかんせつ)」という骨盤の関節がゆるみ、症状のひどい人は歩くのが困難になったり、腰痛の原因になったりすることもあります。まずは、分娩時にゆるんだ「骨盤底筋」と「仙腸関節」をケアすることが「産後ダイエット」のファーストステップとなります。
産後太りになってしまった人の中には、いきなり筋トレや腹筋運動などを始める人がいます。産後すぐにボディラインを引き締めようとあせる必要はありません。単に体重を落とすダイエットではなく、妊娠前の骨盤に整え、骨盤底筋などのインナーマッスルを鍛えることから始めていきましょう。
次回は、「妊娠-出産時におこる体の変化」と「骨盤底筋エクササイズ」についてお伝えしていきます。