「茗荷(みょうが)」の旬は、春から秋にかけて。今はハウス栽培で一年中手に入りますが、これから出回るものはとくに「秋みょうが」と呼ばれ、ぷっくりと大きいのが特徴です。個性的な香りとシャキシャキした食感は、薬味にはもちろん、和製ハーブとして料理の香りづけに使うのにもぴったり。料理の影の立役者でありながら、その香りや味、食感にやみつきになる人が多いのもまた、みょうがの特徴といえるでしょう。
実はみょうがが大好きなんだけど、薬味以外に使いどころがわからない。という隠れファンのために、和食のみならず洋風アレンジもまじえ、“みょうがが主役”となるレシピを紹介しましょう。教えてくれるのは、料理家の上島亜紀さんです。
Contents 目次
みょうがで夏バテした体調を立て直す
そうめんや冷奴(ひややっこ)などに添える薬味として定番のみょうが。普段、わたしたちがよく目にする部分は花蕾の部分で、たけのこのようにニョキニョキと地面から顔を出したところを収穫します。日陰で湿り気のある場所を好み、害虫にも強いので、家庭菜園での栽培にも向いています。
「みょうがには夏のイメージがありますが、秋口にぜひ食べるのをおすすめしたい食材です。夏は水分や塩分過多にをなりがちですが、みょうがに含まれるカリウムが改善してくれますし、クーラーで冷えた体の血行促進をする働きもあります。また、みょうがに含まれる香り成分のシネオールは免疫を高め、森林の空気にもたくさん含まれているα-ピネンにはリラックス効果があるといわれているなど、実は健康効果にも優れているんです」(料理家・上島亜紀さん、以下同)
みょうがの正しい取り扱い
そのみょうが、買ってきたら保存や下処理はどうすればいいでしょうか? 香りが飛ばないうちに、なるべく早く使いきるのは当然として、いくつかのコツを教えていただきました。
「まず、軸の部分が汚れていることがあるので、付け根を薄く切り落とします。それから切るのですが、繊維に沿って切るとシャキシャキした食感になりますし、断ち切るように切ると風味をより強く楽しめます。お料理によって切り方を変えてみてください。また、薬味として生で使う場合は、さっと水にさらしてから水気を切って使います。すぐに使いきれそうにない場合は、刻んで冷凍保存しておけば、パッと何にでも入れられて便利。でも、冷凍したものは香りが少し飛んでしまったり、食感が変わってしまったりするので、餃子や肉団子のタネに入れるのがオススメです。あるいは、これからご紹介する『はちみつビネガー漬け』にしておけば1週間は持ちますし、漬けたものを冷凍しておくのもいいですよ」
みょうがのおいしさが際立つ! 絶品レシピ4
それではさっそく、上島さんに4つのみょうがレシピを紹介していただきましょう。1品目は、保存もきいて使い勝手もいい「みょうがのはちみつビネガー漬け」。それを使ったお稲荷さんの作り方も教えていただきました。続いて「サーモンとみょうがのクリームパスタ」。みょうがはクリームやチーズ、バターともよく合うんですよ。そして最後は、これぞ“みょうがが主役”の「みょうがの肉巻き」。電子レンジの加熱であっという間に手間なしで完成します。
1. 保存食としても冷凍にしてもOK!「みょうがのはちみつビネガー漬け」
はちみつの甘さがみょうがのおいしさを引き立ててくれる酢漬け。冷蔵庫にあれば、そのまま食べるのはもちろんアレンジも手軽です。「おつまみなら、これを生ハムに巻いたり、クリームチーズと合わせてバゲットにのせたりしてはいかがでしょう。漬け汁は酢の物に使うとみょうがの香りがふんわりしておすすめですよ」
【材料(作りやすい分量)】
みょうが……6本
酢……1/2カップ
はちみつ……50ml
塩……小さじ1
【作り方】
1. みょうがは付け根を薄く切り落とし、縦に3cm切れ目を入れる
「包丁を入れておくと味馴染みがよくなります」
2. 保存容器に調味料を入れてよく混ぜ、みょうがを加える
「瓶であれば消毒をしてから使います。みょうがを入れたら瓶ごと軽く振り、漬け汁を馴染ませましょう」
3. 冷蔵庫で一晩以上置く
「一時間くらいたったら、もう一度瓶を振って混ぜましょう。少量なら保存袋で漬けると楽ですよ」
この「みょうがのはちみつビネガー漬け」を使ったアレンジレシピを、次のページで教えていただきます。