健康によいと注目されるドライフルーツやナッツ類。手にとることが増えた方もいると思いますが、こうした食品が、どこでどのように生産されたものなのか、考える機会はなかなかないかもしれません。今回ご紹介するのはナチュラルなドライフルーツとナッツを提供する「Ziba Foods(ジバ・フーズ)」。その品質の高さやSDGsの観点から、多くのアメリカのセレブシェフや、ミシュランの三ツ星を獲得したレストランで使用され、話題になっています。魅力の秘密は、生産地、そして生産方法にあるようで…?
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ナチュラルなドライフルーツとナッツを提供する「Ziba Foods(ジバ・フーズ)」は、アメリカを拠点とする食品会社です。その品質の高さやSDGsの観点から、多くのアメリカのセレブシェフや、ミシュランの三ツ星を獲得したレストランで使用され、話題になっています。
Ziba Foodsで提供しているドライフルーツとナッツは、アフガニスタン産です。なぜ、アフガニスタンのドライフルーツやナッツに着目したのでしょうか。まず、人工的に品種改良されたりせず、先祖代々引き継がれてきた品種が守られていることです。現在、私たちが食べているスーパーマーケットなどで販売されている野菜や果物。これらの農産物は、大量生産、大量供給のために、強い品種ばかりが作られるようになり、その結果さまざまな品種が激減しました。一方アフガニスタンでは、これらの品種、種が何世紀にもわたって代々守られてきています。このためアーモンドひとつでも100種類以上もあり、さまざまな味が楽しめます。「それぞれ全く違った味や食感が楽しめますよ」。こう話してくれたのは、広報担当のクラウディア・セリーニさんです。
じつは、1970年代にアフガニスタンは高品質なドライフルーツとナッツの生産の世界的なリーダーでした。しかし、戦争や不安定な経済で、世界の需要に応えられる技術に投資ができなかったという背景がありました。そこで、Ziba Foodsは、2015年にアフガニスタンをベースに創業。HACCP(Hazard Analysis《危害分析》and Critical Control Point《重要管理点》の頭文字の略で、食品の製造や管理の過程におけるさまざまな危害要因を分析し、その危害要因を除去、低減するのに特に重要な工程を管理することで食品の安全を確保する手法)に認可された施設を作り、アフガニスタンの雇用を促進し、家族経営の農園に安定した収入を提供しています。
また、野生のドライフルーツやナッツが提供されていることも、大きな特徴です。たとえばマルベリーはアフガニスタン郊外の、人間の手が加えられていない野生で育てられ、とてもシンプルな灌漑(かんがい)方法が採用されています。そして収穫時期になると地元のコミュニティが収穫に行くといったシンプルなオーガニック農法です。現段階では政治情勢などによりオーガニック認証が難しいのですが、化学肥料や農薬、成長調節剤、添加剤、遺伝子組み換えの使用は一切ありません。
こうして育ったドライフルーツやナッツは、栄養価が高いのも大きな特徴のひとつ。たんぱく質や良質な脂質、鉄分、ビタミン、ミネラルが豊富です。また、糖分や炭水化物は、ほかの商業的な農園の作物と比較すると少ないのも利点です。
ほかにもエコな点があります。それは大量の水を必要としないこと。フルーツやナッツを育てるときには大量の水が必要になります。たとえば現在、世界で消費されるアーモンドの80%は、商業的な農園で大量に育てられるカリフォルニア産のアーモンドです。しかし、カリフォルニアは乾燥した気候のため、収穫までに大量の水を必要とします。それに比べて、周囲を山や谷に囲まれ多くの雨が降るアフガニスタン郊外で育つフルーツやナッツは、そこまでの水を必要としません。水の供給面でとてもサステナブルといえるのです。
商品の入ったパッケージは、現在、改良中。2022年の終わりまでには、100%堆肥可能で、生物分解でき、リサイクルできるパッケージになる予定なので、期待されるところです。
商品を見れば、消費者にどの農園から購入したものかも明記。こうした透明性も現代の消費者に支持される理由です。150g9.99ドル(約1278円)で販売されています。
取材・文/滝口真理 写真/zibafoods