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カレーのPFCバランスを徹底分析! ひと皿で栄養バランスよく食べるには?

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カレーのPFCバランスを徹底分析! ひと皿で栄養バランスよく食べるには?

老若男女問わず、多くの人に愛されるメニューのひとつであるカレー。野菜やお肉と具材もたっぷり入っていますが、その栄養バランスについて気になったことはありませんか? 今回は、食品成分表マニアの管理栄養士・藤原朋未さんにPFCバランスを元にカレーの栄養バランスを徹底分析していただき、理想的な1皿にするためのアドバイスを教えていただきました。

監修 : 藤原 朋未 (管理栄養士)

保育園栄養士として勤務し、給食管理や調理、栄養相談などに携わる。現在は㈱エミッシュに所属し、各種出版・WEB媒体にレシピ・コラムを掲載する他、食品成分表データをもとにレシピの栄養価計算に従事。ブログ:「ママ楽ごはん」

Contents 目次

栄養バランスのよいカレーを食べるアドバイスをお伝えします

カレーといえば、どのようなイメージを持たれていますか? カロリーが高そう、早食いになりがち、たくさん食べ過ぎてしまうなど、健康食やダイエット食としては不向きな印象でしょうか。「バランスのよい食事をとるなら、カレーを食べましょう!」
あまり聞きなじみのないフレーズですが、今回は日本の国民食ともいえるカレーを、みなさまがポジティブに食べられるようなご提案をしたいと思っています。
「ルウは使わずにスパイスから手作りしましょう」「サラダを添えましょう」「ゆっくりとよくかんで、食べ過ぎないようにしましょう」「適度に運動も…」今回はそのようなアドバイスはいたしません。カレーの栄養バランスを徹底的に分析してお伝えいたします。

理想的な食事バランスとは?~PFCバランス~

まずは食事バランスという曖昧な表現を数値化して確認していきましょう。
日本人の理想的な食事バランスの基準値は厚生労働省より「日本人の食事摂取基準(2020年版)」というガイドラインで示されています。基準値をグラフ化したものがこちらです。

主食であるごはんやじゃがいもなどのいも類に多く含まれる「炭水化物(C)」は、摂取エネルギー(カロリー)全体の50~65%をとるのがよいとされています。
肉や魚、卵などに多く含まれるたんぱく質(P)は13~20%(ただし50~64歳は14~20%、64歳以上は15~20%)、脂質(F)は20~30%です。摂取エネルギー(カロリー)に対して、これらの3大栄養素と呼ばれる3つの栄養素がどのくらいの割合を占めるかを示したものが【PFCバランス】です。個々の体格や前後の食事に合わせて調整は必要ですが、健康的な食事バランスはこの割合を大きく崩さないことを意識するのがよいでしょう。

理想的なPFCバランスを具体的な数値に変換したのがこちらの表です。

これに加えて、塩分をとり過ぎないようにするには、食物繊維をアップするには、ビタミン類を補給するには…などのプラスαをお伝えしたいところですが、まずはこのPFCバランスを基準に、カレーの栄養価を分析してみます。

カレーの栄養価

実際にカレーの栄養価を計算したいのですが、無限のバリエーションがあるカレーの“一般的”を定めるのはかなり頭を悩ませました。食品成分表のカレールウは、試料となる製品を公表していないのです。そこで今回は多くの方が想像しやすいであろう、“りんごとはちみつが溶けた、カレールウ中辛”を試料といたしました。

パッケージ通りに作った場合の材料はこちら。

【材料】(※12皿分)
・肉(各種):500g
・たまねぎ(中4個):800g
・じゃがいも(中3個):450g
・にんじん(中1本):200g
・サラダ油:大さじ2(24g)
・ごはん:適量(200g/人)

まずは商品パッケージ通りの分量で、肉の種類を牛肉・豚肉・鶏肉の3種それぞれの栄養価を比べてみました。各種の結果はこのようになりました。

肉の部位はすべて、もも肉に統一しています。肉の種類による差はほとんどないことがわかります。比較のために豚肉はばら肉でも計算しましたが、脂肪分の多い部位になればなるほど、エネルギーが高く、脂質の量が増えていきます。

それでは、ビーフカレー(牛もも肉使用)のPFCバランスをグラフ化してみます。

炭水化物:65%
たんぱく質:11%
脂質:24%
一見バランスがよさそうですね。もう一度、理想的なPFCバランスを確認してみましょう。

かなり理想に近いですが、たんぱく質が不足していることがわかりますね。
そこで理想値に近づけるため、たんぱく質量を増やす2つの方法で計算をしました。
1:肉の量を増やす
2:トッピングをする
の2点です。

1:肉の量を増やす
12皿分で500gの肉ということは、1人分は約42g(鶏ささみ1本分)。これは明らかに少ないのではないでしょうか? 自宅で作るのであればもっと肉の量を増やしたいところです。
例えば、4人分で300g(鶏もも肉1枚分)、1人分あたり75gの肉で計算をしてみました。

肉を増量したビーフカレーのPFCバランスをグラフ化してみます。

炭水化物:58%
たんぱく質:14%
脂質:28%

肉の量を増やすことで、たんぱく質13%以上をクリアできました。脂質の割合も増えますが、基準値の範囲内です。3つの栄養素すべての数値が範囲内に収まるには、肉の量は1人分あたり55g~90gの間がよいことが判明しました。

②トッピングをする
次に、肉の量はパッケージ通りの1人分42gに戻した状態で、たんぱく質をUPするためのトッピングを2つのパターンで計算をしました。
<1>ゆでたまご:1個
<2>納豆:1パック
某カレーチェーン店のトッピングを参考にしています。定番のとんかつやハンバーグ、チーズなどはたんぱく質と同時に脂質の割合もかなり増えると想定できるので除外しています。

ゆでたまご(1個)をトッピングした場合の栄養価一覧

ゆでたまご(1個)をトッピングしたビーフカレーのPFCバランスをグラフ化してみます。

炭水化物:56%
たんぱく質:14%
脂質:30%

3つの栄養素すべての数値が範囲内に収まりました。ですが、脂質は30%と上限ギリギリですね。

納豆(1パック)をトッピングした場合の栄養価一覧

納豆(1パック)をトッピングしたビーフカレーのPFCバランスをグラフ化してみます。

炭水化物:57%
たんぱく質:15%
脂質:28%

3つの栄養素すべての数値が範囲内に収まりました!
納豆カレー…わたしはどうしても違和感があるのですが、みなさんはいかがでしょうか?
たんぱく質を増やし、カレーのPFCバランスを整えるには、トッピングにゆでたまごも納豆もどちらもおすすめできるといえます。簡単さを重視するのであれば、まずは肉の量を増やしてみることからお試しください!

いつものカレーにビタミンACEをプラスしよう

簡単にひと皿でバランスよく栄養がとれるカレーですが、気になる点はビタミン類が不足しているということ。とくに抗酸化作用のあるビタミンACEが1日分の20%以下でした。これらのビタミンは免疫力を高めたり、エネルギー代謝を助けたりと、バランスよくとれた3大栄養素をうまく働かせ、健康を維持するために欠かせない栄養素なのです。いつものカレーにほうれん草やかぼちゃなどの緑黄色野菜を加えるだけで、ビタミンの含有量をぐんと高めることができます。ぜひ色の濃い野菜をもう1種類プラスして、「栄養バランスのよいカレー」を食べましょう!

<参考>
・日本食品標準成分表2020年版(八訂) 文部科学省
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_01110.html

・日本人の食事摂取基準(2020年版) 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html

栄養価計算ソフト
・栄養価計算エクセル「楽らく栄養ちゃん 2020(八訂)」 エミッシュ
https://ticket.tsuku2.jp/eventsDetail.php?ecd=01202120060456

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