ニンニクは、イタリアンや中華をはじめ、料理の香り付けに重宝する香味野菜。今回は、香り成分の特徴や、生と炒めた場合の栄養の違いについて解説します。
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特有の香りも栄養成分
ニンニクの香りのもとはアリシン。これは、アミノ酸の一種であるアリインという無臭の成分が、空気に触れて変化したものです。
アリシンの特徴
1.刻んだり、すりおろしたりすると発生する
ニンニクを切り刻んだり、すりおろしたりして細胞が破壊されると、アリナーゼという酵素が活発になり、アリインが素早く分解されてアリシンが発生します。
2.ビタミンB1の吸収を高める
アリシンとビタミンB1を一緒に取ると、ビタミンB1がより体内に吸収されやすくなります。豚肉など、ビタミンB1を含む食品と合わせて食べるとよいでしょう。
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通常ビタミンB1は、腸から1日5~10mgしか吸収されず、3時間程度で尿中へ排泄されます。ところが体内でアリシンと結合すると、ビタミンB1の効力は変化せずに長時間血液中に残存するため、ビタミンB1の吸収率が高まるという研究発表があります。
3.加熱に弱いが、油と一緒に調理すると分解されにくい
ニンニクをシチューなどの煮込み料理に使う場合、水から入れて煮込むよりも、油で炒めてから加えた方が効果的です。
匂いを抑えるには?
ニンニクの香りが気になる場合、レンジ加熱で手軽に抑えることができます。皮をむかずに丸ごとラップで包み、600Wで1分30秒加熱した後、水にさらして冷ますと良いでしょう。さらに香りを弱めたい場合は、牛乳やすりおろした生のリンゴ、リンゴジュースなどに浸します。
食べ過ぎに注意!
ニンニクを食べすぎると胃腸への負担が大きいため、1日の摂取の分量は、生で5~7g、加熱したもので10~15gまでにしましょう。特に、空腹時に生のニンニクを食べるのは胃の粘膜への刺激が強過ぎるため、加熱したものを少しずつ食べるのがおすすめです。
生と、油で炒めたニンニクでの栄養の違い
生のニンニクと油で炒めたニンニクで栄養はどう違うのでしょうか。比較できるよう下のグラフにまとめました(可食部100g当たり。炒めたものは縦に2分割し、1mmの薄切りでなたね油を使用)。
生のニンニクは、ビタミンB6 1.53mg、葉酸93μg、食物繊維6.2gと豊富で、カリウム510mgを含みます。油で炒めると、グラフのように増加します。これは、使用する植物油の成分にもよりますが、炒めることで生よりも水分が減るためと考えられます。油で炒めることは、ニンニクの栄養を効率的に摂るひとつの方法と考えることができます。
最後に
ニンニクの香りや栄養の特徴を知って、炒め物などの料理に生かしてください。