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野菜の栄養、キャッチできてる? 食べ方次第では“吸収ロス”をしてるかも! 管理栄養士が教える、栄養の吸収効率アップ術
「野菜をしっかり食べよう」と、よく言われます。健康や美容のために、生野菜をたっぷり食べている人も多いのではないでしょうか。じつは、野菜の栄養をしっかりととるためには、「食べる量」に加えて「食べ方」がとっても大事。とくに緑黄色野菜の栄養素として代表的なカロテノイド類(リコピン、β-カロテン、ルテイン)は、油に溶ける「脂溶性」のビタミンなので、油と一緒に摂取しなければ吸収率は10%未満になるとか?! 女子栄養大学・栄養クリニック教授で管理栄養士の蒲池桂子先生に、手軽に効率よくカロテノイドを摂取する方法を聞きました。
Contents 目次
緑黄色野菜に含まれる「カロテノイド」。不足すると老化が進む?!
健康や美容のために、ふだんから意識して野菜を食べている人も多いことでしょう。でも、「意外と1日に必要な量を食べられていません」と、蒲池先生は話します。
「野菜は1日に350g以上とるのがよいとされています。目安は、生野菜なら両手いっぱい分、ゆで野菜なら片手握りこぶし程度です。しかし、令和元年の国民健康・栄養調査では、女性の野菜摂取量の平均は約273gで、80gも足りていません。緑黄色野菜には、美容と健康の維持には欠かせない栄養素が多く含まれていますが、推奨量120gに対して摂取量は87gです。特に20~40代の女性の食べる量が少ないことが指摘されています」
そもそも緑黄色野菜とは100g中にβ-カロテンが600μg以上含まれている野菜のことで、にんじん、かぼちゃ、ほうれん草、トマト、ケールなどです。このβ-カロテンはリコピンとルテインなどとともにカロテノイドと呼ばれ私たちの体で大切な働きをしています。そのひとつが「抗酸化作用」です。
「『抗酸化作用』とは、『酸化』から体を守ってくれる作用のことです。私たちは生きるために呼吸によって体内に酸素をとり込んでいますが、体内に入った酸素の一部は『活性酸素』に変化します。体の中で、この活性酸素と反応したところが炎症を起こしたり、老化してかたくなるなどの変化を起こします。これが『酸化』です。活性酸素が抗酸化作用を上回った状態は『酸化ストレス』とも言われます。酸化ストレスは、たんぱく質や脂質などの細胞を傷つけ、老化を早める原因になります。美容面でいえば、肌にはシミ・シワ・たるみができやすくなり、白髪や脱毛も多くなっていきます」
『酸化ストレス』はさらに、病気を引き起こしたり、免疫力の低下などにつながったりもするといいます。動脈硬化も『酸化ストレス』が深刻化したものとも考えられます。
「動脈硬化は、さまざまな生活習慣病の原因になります。カロテノイドは、血液中でリポタンパクという物質と結びつき、脂肪の酸化を抑え、LDL(悪玉コレステロール)が増えないように働くことで動脈硬化を予防するといわれています。若い世代にも脳血管系疾患や心疾患が増えているので、酸化ストレスによる動脈硬化には注意が必要です。また、白内障や黄斑変性症といった目の病気も、ルテインの減少で老化が早まることが関係します」
活性酸素はカロテノイドの不足に加え、ハードなスポーツ、ストレス、紫外線、質の悪い睡眠といった外部環境によっても増えてしまいます。「酸化ストレスによる美容、健康へのリスクを抑えるには、カロテノイドといった抗酸化作用のある食べものをきちんととることが大切ですが、ふだんからストレスを感じやすい人、よくアウトドアでスポーツをする人は、特に意識して摂取したいですね」
食べているのに足りないことも!? 大切なのは食べる量と栄養吸収の効率!
美容と健康のために、毎日のカロテノイドの摂取は欠かせません。緑黄色野菜をしっかりとりたいものです。日頃から栄養指導をする蒲池先生は、「野菜をたくさん食べるようになって、肌のくすみが消え、ハリ・ツヤが出てくる人も多いです」と話します。ただし、食べ方にはちょっとしたコツがあります。食べる量だけではなく、吸収率にも注目する必要があるからです。
「野菜は生のままサラダでとることが多いという人は要注意。カロテノイドは、油に溶ける栄養素で、また、少し熱を加えたほうが体内での吸収力がアップする特性があります。例えばβ-カロテンは油を使わなかったり加熱処理せずに食べると、その吸収率は10%未満とも言われます。カロテノイドの吸収効率を高めるには、緑黄色野菜は生で食べるよりも、油と一緒にとる、軽く加熱調理するという2つが大切なポイントです」
カロリーコントロールを意識して、脂質をカットするような野菜の食べ方では、せっかく食べているのに「吸収ロス」を起こして、カロテノイドを十分に摂取できていない可能性があります。キレイになりたいと思って食べていたのに、逆に酸化ストレスを招き、肌や髪の老化を早めていたら残念ですよね。
そこで、カロテノイドを手軽に摂取できる緑黄色野菜の食べ方を蒲池先生に教えてもらいました。
「手軽なのは油で炒める、焼くといった調理法です。油は、抗酸化作用のあるオリーブオイルや米油、紅花オイルなどを使います。にんじんをせん切りにして、オリーブオイルで炒めた“ラペ”はおすすめです。今の季節なら、菜の花をさっとゆで、パスタの具材に加えてもいいでしょう。スナップえんどう、さやえんどうなどさやつきの豆も今が旬です。加熱は電子レンジでもOK。ゆでる、蒸すといった調理なら手間もかかりません。かぼちゃのスライスをレンチンして、カリカリに炒めたベーコンをかけるとおいしく食べられますよ」
買った野菜を使い切れないというお悩みには、「野菜のスープ煮を」とアドバイスします。「たとえば、にんじんやパプリカなど冷蔵庫にある野菜を刻んで、コンソメなどでスープ煮にします。ふたつきのカップに入れて冷凍しておけば常備食にも。野菜を刻むことで細胞壁が壊れ、栄養の吸収率もアップします。使い切りサイズのカット野菜や冷凍野菜を利用するのも手です。冷凍野菜はブロッコリーやほうれん草などさまざまな種類が出ていて、忙しいときや調理がめんどうなときにも重宝します」
また、「野菜を調理しなくても緑黄色野菜を、脂質を含む食品や料理と一緒に食べるだけでもカロテノイドの吸収率はアップする」そうです。
「生野菜をオイルドレッシングやマヨネーズをかけて食べたり、ナッツ類、サラダチキンといった料理と一緒に食べたりしてもOKです。ヨーグルトもおすすめ。ヨーグルトの乳酸菌が作る多糖類(EPS)もカロテノイドの吸収を高めることがわかっています」
いかがでしたか。効率のよい食べ方を知って、野菜の栄養をしっかりとりたいものですね。
監修/蒲池桂子先生
管理栄養士、栄養学博士、日本病態栄養専門管理栄養士、女子栄養大学栄養クリニック教授、埼玉医科大学非常勤講師。
各種栄養相談や講座のほか、企業向け栄養コンサルティングを展開しており、減塩みそ・減塩スープなど食品の監修や、著書も多数。
取材・文/海老根祐子 イラスト/鳥居志帆 取材協力/明治