香ばしい風味で料理を引き立ててくれる「ごま」。いりごま、すりごま、ねりごま、ごま油……。どれも、日常の食事に欠かせない存在ですが、加えてごまがスゴイのは、栄養分が豊富なこと! 古来より、健康にいい食材として親しまれてきましたが、実際どんな働きがあるのでしょうか。ここでは、「ごま」が秘める、強力なパワーをご紹介します。さらに、ごまの新たな魅力に出会える、café & izakaya「goma to(ゴマト)」にも潜入してきました。
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強力な抗酸化作用を持つ「ゴマリグナン」が、体の「サビ」を防ぐ!
古来より、健康や美容にいいと言われている「ごま」。小さな粒の中には栄養成分がギュッと詰まっていますが、なかでも注目をしたいのが、ごまだけがもつ有効成分「ゴマリグナン」です。
「ゴマリグナン」は、ごまにたった1%程度しか含まれていない希少な成分なのですが、わずかな含有量ながらも、強力な「抗酸化作用」(酸化から体を守る働き)を発揮してくれることがわかっています。また、ビタミンEの抗酸化作用を高める働きもあり、老化予防やさまざまな健康機能が報告されています。
ところで、「ごま」の栄養成分といえば、「セサミン」が思い浮ぶ人は多いのではないでしょうか。じつは、ゴマリグナンにはいくつかの種類があり、セサミンもその一種。セサミンは、肝臓の働きを助けてアルコールの分解を促すほか、コレステロールを減らしたり、血圧を下げたりする作用もあります。
こういったゴマリグナンの働きこそが、ごまが「健康や美容にいい」と言われる最大の理由です。
ごまの油は、酸化に強く、体にもやさしい!
ごまの主な栄養成分は約50%が脂質ですが、その多くは「不飽和脂肪酸」です。
不飽和脂肪酸は、魚や植物の油に多く含まれていて、血中のコレステロールを上げにくくするなど、健康によい作用が期待できます。
脂質に次いで多いのが約20%を占めるたんぱく質。他にも、カルシウム、食物繊維、鉄分など、私たちの体に必要な栄養素が凝縮されています。
また、ごま油は、なたね油やサラダ油などの食用油と比べて「酸化に強い」という特徴もありますが、これも「ゴマリグナン」のおかげ! ゴマリグナンはごまの脂質に含まれている成分なので、ごま油になっても失われることはありません。ごま油も、ごま同様、高い抗酸化作用が期待できる食品です。
165年以上にわたってごま一筋の老舗が手掛ける、ごま専門café & izakaya「goma to」
ごまは、大さじ約1.5~2杯程度(15~20g)の摂取が目安。
和えたり、まぶしたり、かけたり……と、さまざまな使い方ができるうえに、和食や中華はもちろん、エスニック料理などとも好相性です。そんな「ごま」や「ごま油」を使った多彩なメニューが楽しめるお店が東京・自由が丘にあるとのことで、うかがってきました。
自由が丘駅から徒歩5分程度の場所にあるcafé & izakaya「goma to」は、「ごま油」と聞けば、誰もがパッと思いつく、ごまの総合メーカー・かどや製油が手掛けているお店。
かどや製油は、1858年に創業。165年以上にわたり、ごま油をはじめとした、ごま製品を世に送り続けてきた「ごま」一筋の老舗。黄色いキャップの「かどやの純正ごま油」は、どの家庭にもある!と言ってもいいほど、おなじみではないでしょうか。
そんな、かどや製油が2022年にオープンした「goma to」。老舗が手掛ける店舗ですが、自由が丘の街の雰囲気ともマッチした、モダンで洗練されたデザインの内外装。
ランチも人気ですが、今回は夕方17:00以降の居酒屋タイムにおじゃましてきました!
ところで「ごま油」というと、茶色で香ばしいイメージが強いですが、じつは、焙煎の違いなどによって、色や香り、風味も違ってきます。深く煎るほど色が濃く、香りも強くなるそう。
写真はこちらの店舗とオンラインでのみ販売している、オリジナルのごま油「goma to SESAMI OIL」3種(各100g 650円)と「ごまの実オイル」(180g 2300円)。それぞれ焙煎等が異なりますが、色にもはっきりと差があります。風味も異なるので、料理によって使い分けると、ごま油の奥深さをより堪能できそうです。
写真左の「01 LIGHT」は、甘くほのかな香ばしさがあるライトな味わい。料理の仕上げのちょい足しにも最適。「02 MILD」は、香ばしくまろやか。さまざまな料理に使えます。「03 STRONG」は濃厚でパンチのある風味なので、中華料理とも好相性です。
「ごまの実オイル」は、種皮を丁寧に磨き上げて、ごまの“実”だけを焙煎して絞った希少なオイル。ナッツのようなコクと上品な風味が特徴。
café & izakaya「goma to」では自然派ワインも充実していて、ごま油の風味に合わせたワインを提案してくれます。例えば、ライトな風味のごま油は、白ワインと相性がいいそう。その他、「ごまの焼酎」を使ったオリジナルの茶割など、15種類以上のアルコールメニューがラインナップしています。
料理ももちろん、すべての料理にこだわりの「ごま」を使用していますが、ひとくちに、ごまといっても、いり、すり、ねりごま、ごま油など多種多様。それぞれ、風味も触感も違うので、多彩なごま料理を楽しむことができます。
こちらは、低温調理されたジューシーなヒレカツ。衣の代わりに、中東で食されている麺の1種であるカダイフが巻かれたオリジナリティあふれる一品を、ピンクソルトとごま油でいただきます。4種類のごま油を食べ比べてみると、香りも風味もまったく異なり、オイルの違いで味わいの幅がぐっと広がります。また、ヒレカツというとソースのイメージですが、ごま油と塩で食べるこのメニューは、ワインにもよく合いそうです。
クリームチーズと合わせたイワシのコンフィに、アクセントとなる奈良漬け、たっぷりのすりごまを加えたリエット。濃厚なリエットと、瑞々しいきゅうりのバランスが絶妙。
炙りなすとねりごまのディップ。仕上げに「ごまの実オイル」が使われています。
こんにゃくを濃厚なブルーチーズソースであえ、胡桃をプラス。仕上げにすりごまをかけることで、香ばしい風味に。
ごまの香ばしい風味が漂う、「黒ごま担々麺」も人気メニュー。黒すりごまと、黒ねりごまがたっぷり入っていて、口に入れると、さらにごまの風味が広がります。
デザートにも、ごまをふんだんに。濃厚な黒ごまのエスプーマ(泡状のムース)と、抹茶のセミフレッド(軽い触感の冷たい菓子)が織り成す、華やかデザート。口の中で、しゅわっと溶けていくような軽やかな口当たりを楽しめます。
ごま尽くしの、メニューに大満足。ごまのおいしさを改めて実感できることはもちろんですが、「ごまって、こんな食材とも相性がいいんだ」「ごま油って、こんな使い方ができるだ」などと、ごまの新たな可能性にも出会うことができました。
【店舗情報】
café & izakaya「goma to(ゴマト)」
〒152-0034
東京都目黒区緑が丘2-24-8 arbre自由が丘
営業時間 11:00 ~ 21:00(ラストオーダー20:00)
電話番号 03-6459-5959
定休日 不定休
https://www.kadoya.com/gomato/
https://www.instagram.com/gomatocafe/
おいしく食べて、健康にも美容にもいい効果を得られる「ごま」。とても身近な食材であることも、うれしい点です。改めて、ごまの風味と味わい、料理の幅を広げる可能性、そして、すぐれた健康・美容パワーに注目してみませんか?
協力/かどや製油 取材・文・撮影/柿沼曜子