梅の酸っぱい成分であるクエン酸が疲労回復に効果的なのはよく知られていますが、実はダイエットの助けにもなるのをご存知ですか? 梅酒や梅干しなどの保存食を仕込むのにピッタリな季節に、クエン酸のエネルギー代謝についてご説明します。
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6~7月は保存食を仕込むベストシーズン
じめじめとした天候が続き、体調を崩している人もいるのではないでしょうか。気分も重くなるこの時季ですが、料理が好きな人、食に関心の高い人にとっては楽しみな季節のひとつ。なぜなら、6~7月はさまざまな保存食を仕込む時季だからです。
新しょうがを甘酢漬けにしたり、酢漬けらっきょうを手づくりしたり、山椒の実を佃煮にしたり。どれも期間限定で出回る材料だから、時季を逃すと来年までお預けに。うっとうしい時季ではありますが、こうした保存食を仕込むと、「体にいいことをしているな」と少しテンションが上がりますね。
日本に伝わる保存食は数々ありますが、この時季に仕込む代表的な食材といえば、何といっても「梅」でしょう。梅酒を漬けたり、梅ジュースをつくったり、梅干しを仕込んだり。梅を使った保存食はいろいろあります。実は、この梅には、ダイエットの助けにもなるうれしいパワーが隠れているのです。
そのパワーの正体は、梅の酸っぱい成分であるクエン酸です。クエン酸は、細胞内で行われるエネルギー代謝に不可欠な存在。運動の際にクエン酸をとれば、エネルギー代謝の効率UPが期待できます。梅でスッキリボディを目指すなら、エネルギー源となる糖質と、エネルギー代謝を促すビタミンB群を合わせてとり、しっかり体を動かすことが必要。「運動しているのになかなか結果が出なくて…」という方は、ビタミンB群が豊富な豚肉や納豆などと組み合わせて食べるのはおすすめです。
夏の「渇き」をおさえる働きも
薬膳では、梅の酸味には「収渋(しゅうじゅう)作用」があるとされています。「収渋」とは。「引き締めて止める」という意味。汗の出すぎや尿もれ、下痢、不正出血など、本来、体内に留めておきたいものが漏れ出てしまうとき、酸味がそれを止めてくれると考えるのです。梅干しやレモンなど、酸味の強いものを食べると、顔も筋肉も毛穴も、キューッと緊張しますよね。そんなイメージで、緩んだところを引き締めてくれるのが、酸味のもつ「収渋作用」なのです。
こうした酸味の性質は、これから来る夏に欲しいもの。なぜなら、体力が低下しているときに厳しい暑さの中で活動すると、汗が止まらなくなり、それが夏バテにつながるからです。室内に入っても汗が引かないときや、暑い日にスポーツをして消耗したときには、梅干しの酸味の力を借りるのが得策。漏れを止める作用によって汗の出すぎが抑えられ、気血の消耗を食い止めることができます。その結果、上手に疲労回復を図れるというわけです。
このほか、梅には潤いを与えて渇きを癒す働きや、殺菌作用で食べものの腐敗を防いでくれる働きも。梅雨時以降の健康な生活に、大いにパワーを発揮してくれるでしょう。梅が出回る時季は、7月上旬くらいまで。夏のキレイと元気のために、今年は手づくり保存食に挑戦してみてはいかがでしょう。
続いては、梅を使ったレシピをご紹介します。