日本では、お店で氷水が出てくることを、中国人はとっても驚くのだそう。それほどまでに、冷たい飲みものは体によくないとされ、中国に長く伝わる健康法では「お湯飲み」が推奨されています。現地、中国在住のライターより、その事実をレポートしてもらいました。
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「とにかく、お湯を飲みなさい」が口ぐせ。
「喝水(フーシュエ)!」 ― さあ水を飲んで、中国人の口癖ではないかと思うほど頻発される言葉です。
ここで言う水とは、冷たい水ではなく沸かしたお湯のこと。中国では風邪のひき始めや、体調がよくないときはとにかく「お湯を飲むといい」とされ、医者からも同じ助言を受けることも少なくありません。わりと熱めのお湯を「飲んで、どんどん飲んで!」とすすめられるのです。お湯は飲み慣れないし、熱い飲み物ならばコーヒーやお茶でもいいのでは?と思うのですが、純粋なお湯であることが重要だそう。
なるほど中国ではレストランやカフェでも、季節に関係なくお湯、または室温程度にぬるい水が出てきます。また、公共の場所には必ずと言っていいほど給湯器があり、冷水器は見かけません。給湯器ではこれまで、即席麺にお湯を注いでいた人が多くいましたが、最近は自分専用の保温ボトル(日本製が特に人気)にお湯を注ぎ、飲用に持ち歩く人たちが主流です。日本を訪れた中国人が一番驚くことは「飲食店で提供される氷水」、という話も今では定説ですね。キンキンに冷たい飲み物は、身体によくないとして抵抗があるそうです。
なんでもかんでも「お湯飲み」で片づける魔法瓶彼氏なるものも登場!?
お湯を飲むと内臓が温まり、代謝のアップやデトックス効果が期待できるそう。中国の人たちが「お湯を飲んで!」とすすめるのも、一理ありそうですね。風邪かな、と思ったときに熱いお湯をたっぷり飲むように心がけると、こじらせる前によくなる、朝飲む一杯のお湯がお通じを改善するなど、効果を実感する人も多く、実は現地在住の外国人にも浸透している健康法なのです。また最近は、体調不良を訴えても「じゃ、お湯飲んで」とくり返すばかりの恋人を指し「魔法瓶恋人」という言葉がネット上で流行中。「具体的なアドバイスをくれず頼りない」「相手を思う気持ちが足りない」と恋人に対する不満を込めた呼称は、イマドキの草食系若者の冷めた恋愛観を象徴する言葉でおもしろいですね。
お湯を飲むことは手間も費用もあまりかからず、今日からすぐ始められる健康習慣。一日の摂取量は多くても1リットル弱がおすすめ。朝食前、または就寝前に熱めのお湯を冷めないうちにゆっくりとコップ一杯、まずは一週間試してみると効果を実感できるそう。慣れないとただのお湯は飲みにくいと感じますが、徐々に体が内側から温まり、すぐに冷たいお水よりも飲みやすくなる不思議な習慣です。さっそく試してみませんか?
写真・文/伊勢本ゆかり、ホリ・コミュニケーション