ダイエット中、なにかと誘惑はつきもの。一生懸命ダイエットに励んでいても、街を出歩けば、いろんなお店からおいしそうな匂いが......。特にパン屋さんから香る焼きたてのパンの匂いなんて嗅いだらもう、ガマンできなくなってしまうのも仕方がない。しかし逆にいえば、ダイエット向きの香りもあるのかも? 香りの研究に日々取り組んでいる熊谷千津先生によれば、「香りによってはダイエット効果も期待できます」とのこと。熊谷先生がオススメする、ダイエットにオススメの香りとは?
Contents 目次
まずは知っておきたい、香りがもたらすメカニズム
香りを嗅ぐと、私たちにどのような影響がでるのでしょうか?
「香りは、鼻腔内の粘膜【嗅上皮(きゅうじょうひ)】にある嗅細胞で受容され、電気的信号(インパルス)に変換されて脳へと伝わります。香りの嗅覚刺激は、脳の中でも大脳辺縁系という記憶・情動などをつかさどる領域や、自律神経系、食欲、性欲、呼吸などを支配している視床下部などに伝わるため、快・不快の感情、食欲、内分泌機能などに影響をもたらします。ワッフルなどの焼ける甘く香ばしい匂いが漂ってくると、思わず食べたくなったりすることがあるでしょう。香りの嗅覚刺激は、インパルスとなってダイレクトに視床下部、大脳辺縁系などに伝わるため、自律神経機能や感情に影響が表れるのです」(熊谷先生)
つまりは、おいしそうな香りを嗅ぐと、食欲につながる視床下部にすぐに伝わってしまうということ。それだと香りはダイエットとは縁遠そうなイメージがあるけど……?
「うまく香りを利用して自律神経系の活性化を促せば、エネルギー代謝の促進、脂肪分解の促進、←食べ過ぎを抑えるなどの効果が期待できます」と熊谷先生。
「自律神経系(交感神経・副交感神経)は、循環、呼吸、体温調節、消化機能などを制御しています。脂肪の貯蔵庫である白色脂肪組織では、交感神経活動が活性化すると、中性脂肪がグリセロールと脂肪酸に加水分解され脂肪分解が起こります。熱産生を行う褐色脂肪組織では、交感神経活動の活性化によりエネルギー消費が促されます。つまり、香りによって、脂肪分解や代謝の促進、食べ過ぎを抑えるなどの効果が期待できます。そのため、これらの自律神経系の活性化を、香りによるダイエット効果が期待できるのです」(熊谷先生)
ズバリ、ダイエット効果のある香りとは?
「それは『グレープフルーツ精油』です」(熊谷先生)
「グレープフルーツ精油の香り刺激は、白色脂肪組織の交感神経活動の活性化(=脂肪分解の促進)、褐色脂肪組織の交感神経活動の活性化(=エネルギー代謝の促進)、胃の副交感神経活動の抑制が見られ、対照の水と比較して、摂食量の低下、体重の減少がみられたとの報告があります」(熊谷先生)
グレープフルーツ精油は、グレープフルーツそのものの皮から香りをしぼり取っているので、グレープフルーツの香りそのものにダイエット効果があるとも考えられると熊谷先生。
「ただし、グレープフルーツを食べた場合には、さまざまな栄養素、カロリーも関係してきますので、香りを嗅ぐのと効果は同じとはいえません」(熊谷先生)
『グレープフルーツ精油』の効果的な取り入れ方は?
グレープフルーツの精油は、ネットショップなどでも売られており、だいたい10mlで2000円弱くらいが相場。精油を購入したらどのように使用するのがよいのか、トリートメントオイルのつくり方も含めて、熊谷先生に聞きました。
お部屋に香りを広がらせる
電気式またはテラコッタ(素焼き)製の簡易ディフューザーなどを利用して、グレープフルーツ精油を数滴落とし、香りを楽しみます。簡易ディフューザーは100円ショップなどでも手に入ります。
香りを身につける
運動するときに、ティッシュやコットンに数滴落とし、香りを嗅ぎながら運動するのもオススメです。
お風呂で楽しむ
お風呂では、グレープフルーツ精油をそのまま浴槽のお湯に入れると、皮膚を刺激してヒリヒリする場合があるので、市販の入浴剤でグレープフルーツ精油がブレンドされているものなどを活用するとよいでしょう。
オイルやクリームでボディケア
グレープフルーツ精油がブレンドされたボディークリームなどを活用して、お風呂上がりに気になる部分にマッサージをしながらボディケアするのもおすすめです。
ボディケア用のトリートメントオイルは手づくりで簡単にできますので、以下を参照してください。
トリートメントオイルのつくり方
精油を植物油で希釈してつくるトリートメントオイルは、体に塗ることができます。ただし、グレープフルーツ精油には肌につけて日光に当たるとシミなどのトラブルを引き起こす光毒性があるので顔への使用は控えたほうが無難です。また、日光に当たらないよう気をつけたほうがいいでしょう。
グレープフルーツ精油のトリートメントオイルは、リラクゼーション効果のほかにも、保湿、血行促進、筋肉をほぐしたりと、さまざまな効能がありますが、やはり期待したいのはダイエット効果。ぜひともお試しを。
準備するもの(出来上がり量30ml)
- グレープフルーツ精油 ボディ用(合計1〜6滴)
- 植物油 30ml
つくり方
- 植物油30mlを容器に入れ、精油(ボディ用1〜6滴)を香りの好みや強さを確認しながら加える。
- よく振り混ぜ合せる。
※肌トラブル回避のため、必ずパッチテストを行ってから使用しましょう。
(パッチテストは、二の腕の内側に夜少しだけ塗って、24時間様子をみて赤みや腫れがないかを確認)
※使用する精油は、開封後、時間とともに成分が変化するため、開封後半年以内のものを使用しましょう。
関連リンク
文/辻めぐみ