“脂肪になりにくいオイル”として、最近注目を集めているMCTオイル。しかし、じつはどのようなオイルなのか、よくわかっていない人もいるのでは?
“食べてやせて健康になるダイエット法”で、数々のベストセラー本を執筆した管理栄養士の麻生れいみ先生も、ご自身の著作の中でMCTオイルの活用方法に解説しています。その麻生先生に、MCTオイルの特徴とその上手なとり入れ方についてうかがいました!
Contents 目次
■体内ですばやくエネルギーになるMCTオイル
MCTオイルの主成分は、ココナッツなどヤシ科植物の種子に含まれる「中鎖脂肪酸」と呼ばれる天然成分。この中鎖脂肪酸を100%含んでいるものがMCTオイルです。
MCTオイルの特徴は、体内に入ると小腸から門脈を通じて肝臓に運ばれ、すぐにエネルギーとして分解されること。これが“脂肪になりにくいオイル”と言われているゆえんです。
■糖質オフでも、このMCTオイルは活躍する
麻生先生が考案した麻生式ダイエットのポイントは、これまでとり過ぎていた糖質を減らして、たんぱく質や野菜・きのこ類・良質なオイルをバランスよくとること。そしてMCTオイルは、このダイエットをサポートしてくれる存在でもあります。
「糖質過剰な食生活だった人がこのダイエットを始めると、最初は“頭がクラクラする”と感じるときがあります。糖質の代わりに、脂肪の分解でできたケトン体を燃やしてエネルギーを得る『ケトン体回路』に体がうまく切り替わらず、脳に十分なエネルギーが行き届かないのです。そんなときに、肝臓ですぐエネルギーに変わるMCTオイルをとり入れると、着火剤のような役目をしてケトン体の燃焼を助けてくれます」(麻生先生)
糖質の量やそのとり方を見直すことは、健康を考えたうえでも大切だとか。そんなときもMCTオイルを活用すれば、効果的に糖質コントロールができるようになります。
「空腹時にいきなり大量の糖質をとると、短時間のうちに血糖値が急激に上昇してまた下がる、いわゆる『血糖値スパイク』が起きます。血糖値スパイクを繰り返していると血管の内皮が傷つき、糖尿病、動脈硬化、心筋梗塞、認知症などのリスクを高めることがわかってきました。特に40代以上の人は日頃から糖質コントロールを心がけてほしいと思います。サラダを食べるときもオイルをかけて食べる方が、何もかけないより血糖値の上昇はさらに緩やかになります。そのオイルもMCTオイルのような良質のものにするといいですね」(麻生先生)
■注意!MCTオイルをこんな風にとっていませんか?
そんなMCTオイルも、とり方を間違えると体にはよくないことも。私たちはどのような点に気をつけて食生活にとり入れたらいいでしょうか?
「MCTオイルは“やせ薬”ではありません。お腹の調子が悪くなる人もいるので、決してとり過ぎないようにしてください。最初は小さじ1杯程度。慣れてきたら徐々に増やしてもいいですが、1日にとる量は大さじ1~2杯程度が目安です。いい(良質な)ものは、少しとるだけでいいのですから」(麻生先生)
さらに麻生先生が「気をつけてほしい」と注意を促しているのが、MCTオイルを加熱してしまうこと。
「お料理やお菓子をつくるときにMCTオイルを使う人がいるようですが、MCTオイルは沸点が低いので、加熱すると発火する恐れがあります。飲み物に入れるか、サラダにかけるなど、そのままとるようにしてください。コーヒーに入れる場合は、ミキサーなどで乳化するまでシェイクして飲むと、カプチーノのようにマイルドになって飲みやすいと思います。
最近ではこのMCTオイルをパウダー状にしたものも販売されていますが、これなら加熱できるように処理してあるしお腹も壊しにくいので、こういうものを活用してもいいですね」(麻生先生)
どんな食品でも“これだけ摂取していればいい”というものはありません。MCTオイルもまたしかり。性質や効能をきちんと理解し、ふだんの食事にうまくとり入れるようにしたいですね。
取材・文/みうらえりこ