新生活も落ち着き、気持ちを新たにトレーニングに励もうとする人も多いかもしれませんね。でも“やせたい”と思うあまり、十分な食事をしないでトレーニングをしていませんか?
ご自身が考案した“食べてやせて健康になるダイエット法”で数々のベストセラー本を執筆しながら、企業の特定保健指導や病院の臨床研究においての栄養療法の監修など、多方面で活躍している管理栄養士の麻生れいみ先生は、“食べないでトレーニングをするのはダメ”と、注意を促しています。
Contents 目次
■栄養不足のままトレーニングすると、危険なことも…!?
筋トレとは一度筋肉を分解し、修復して筋肉の量を増やす作業。“ダイエット中だから”と食事を制限しながらトレーニングをすると、修復の際に必要となるたんぱく質が足りないために筋肉は修復されず、どんどん減ってしまいます。
「ただでさえ栄養が足りなくて代謝が落ち、燃焼できない体になっているのに、食べないでトレーニングするなんて、まさに悪循環。影響は筋肉だけでなく、ほかのところにも及びます。以前にも私と同年代の人から、“跳んで着地したら、骨にひびが入った”と相談されたことがありました。詳しく聞くと“もっとやせたい”と、食事を抑えてトレーニングをしていたようです。これは恐らく、骨粗しょう症の状態ではないかと思います。ふだんの食生活で体に必要な栄養を十分とれていない人が、いきなりトレーニングをするのは危険です」(麻生先生)
■筋肉をつけたいなら、たんぱく質の摂取は必須
筋肉をつけるためのトレーニングに、たんぱく質は絶対不可欠。また、筋肉の合成を促すにはある程度の糖質も必要です。まずはふだんから朝・昼・晩の食事をしっかりとり、トレーニング終了後は、なるべく30分以内にたんぱく質や糖質を補うようにしてください。
「筋トレ時に限らず、人間の体は常に分解と合成をくり返しています。その合成に必要な栄養をとり入れることが大事です」(麻生先生)
■プロテインをとるときは、メーカーの注意書きをよく読んで
“手軽にたんぱく質が補給できる”と、今やトレーニングの定番アイテムとなっているプロテイン。私たちがプロテインをとるときは、どのようなことに注意したらよいのでしょうか?
「まず考え方として、基本は食事から栄養をとるようにしてほしいです。プロテインは“たんぱく質が足りていないな”というときに、不足分を補う目的でとればいいと思います。
ただ、成分に含まれる人工甘味料には注意が必要です。近年では、“人工甘味料の摂取で、腸内バランスや血糖コントロールが乱れる可能性がある”という研究報告もあるので、過剰摂取にならないようメーカーが指示する容量を守ってください」(麻生先生)
また麻生先生が「たまにこういう人を見かけるので、少し気になっている」と指摘しているのが、プロテインを材料に加えて、焼き菓子などをつくるケース。
「鉄や水溶性ビタミンなど成分に含まれるもののなかには、加熱すると酸化したり成分が損なわれてしまったりするものがあります。成分表をよくチェックすることと、加熱する場合はメーカーの指示をよく読んでからにしたほうがいいですね」(麻生先生)
プロテインに含まれる人工甘味料が気になる、あるいは他の料理に混ぜて摂取したいという人に麻生先生がおすすめしているのが、大豆粉。原料の大豆は“畑のお肉”と呼ばれ、良質なたんぱく質を豊富に含んでいます。
「最近では水で溶けるタイプのものが出ているので、みそ汁に入れたり、プロテインの代わりにポットに入れて水と混ぜてシェイクしたりすると摂取しやすいと思います。加熱しても酸化などの心配がないので、大豆粉を使ってプロテインバーを作ってみてもいいですね」(麻生先生)
とにかく大切なのは「運動したら、その分食べる」ということ。食事とプロテインを上手に組み合わせて、体づくりに必要な栄養を補給してあげてくださいね。
取材・文/みうらえりこ