体重を減らすためには炭水化物を控えるのが一番! と、炭水化物抜きダイエットを実践してはいませんか? じつは、過剰に炭水化物を制限すると、筋肉量が衰え、リバウンドしやすい体質になってしまいます。ストレスも感じやすくなり、体も心も不調を抱えかねません。どうしてムリな炭水化物抜きダイエットでは健康的にやせないのか、日本ダイエットスペシャリスト協会理事長の永田孝行先生にお伺いしました。
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炭水化物をやめると「やせる」のウソ
炭水化物は「糖質」と「食物繊維」を合わせて炭水化物といいます。糖質は体内でブドウ糖(グルコース)に分解され、血中に血糖として送り出されて全身を巡り、体を動かすエネルギー源となります。しかし、体内で血糖値を絶えず適正値に保つため、インスリンというホルモンによって、血糖はグリコーゲンとして肝臓や筋肉に、中性脂肪として脂肪細胞に蓄えられるので、血糖の過剰は肥満や生活習慣病の原因となるのです。
ならば、いっそのこと炭水化物(糖質)を食べなければいい、というのが、炭水化物抜きダイエットの考え方です。確かに炭水化物をとらないようにすると、食後の血糖値が上がりにくく、体脂肪はたまりにくくなるので、一時的に体重は減ります。しかし、長期的に炭水化物(糖質)不足がつづくと、体は筋肉を分解して糖質を作りだしはじめます。すると筋肉量が減るとともに、基礎代謝量も低下し、疲れやすく、やせにくく、リバウンドしやすい体質になってしまうのです。
炭水化物不足がうつ病や不眠症の原因にも!
炭水化物(糖質)不足は筋肉量の低下、ひいてはリバウンド体質を招くだけではありません。炭水化物をとらずに血糖値が低いままの状態がつづくと、さまざまな脳内ホルモンが分泌され、不眠症やうつ病を発症しやすくなったり、ストレスを抱えやすくなったりと、体だけでなく心にも悪影響を及ぼしてしまいます。イライラを解消するために結局はドカ食いに走り、リバウンドする可能性も。心身ともに健やかにやせるためには、やはり炭水化物は必要なのです。
大切なのは主食以外の糖質コントロール
健康的に体重を減らすために大切なのは、主食である米や麺、パンそのほかの糖質を必要以上にとり過ぎないこと。そのためには、デザートを控えめにしたり、食べてもフルーツにする、甘い菓子パンではなく玄米パンや雑穀パンを食べる、糖質を多く含むいも類やかぼちゃ、にんじん、とうもろこしなどを食べ過ぎない、といったことに注意しましょう。
極端な食事制限ともいえる炭水化物抜きダイエットは、決して体のためになりません。糖質の仕組みと働きをしっかりとチェックして、ムリのないダイエットを実践しましょう。
参考/日本人のDNAに効く 永田式 行き着く先のダイエット(悟空出版)
文/本間美加子