食べ過ぎるとついつい増えてしまう体重。ランチのお誘い、スイーツの人気店など、なんとか誘惑に負けないようにして、食べ過ぎを我慢。でもほかに注意したいのは、「食べるタイミング」です。朝食を抜いたり、夜食を食べたりすると、やっぱり体重を増やす可能性があるといわれます。日本の研究グループが、そんな食べるタイミングの問題について研究報告をしています。想像されるとおり、イレギュラーな食事のとり方はどうやら問題がありそうです。
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体重を増やしてしまう要注意の食習慣とは?
食べるタイミングは難しい問題です。例えば、食べる時間帯。同じカロリーなのに、朝食、ランチ、夕食、夜食では、体型に与える影響が変わると言われることがあります。さらに、3食きちんと食べるのは理想的とされますが、朝食を抜くべきではないという人がいる一方で、朝食を抜いてもいいという人もいます。厚生労働省によれば、中性脂肪が増えたり、体脂肪が増加したりするので、朝食抜きは御法度。でもこのように諸説あると、いったい何に従えばよいのかわからなくなってしまいます。
答えが分からないからこそ、食べるタイミングが、どれくらい体型や健康に関係しているのかをきちんとデータに基づいて研究していくことは大切です。
日本の研究グループが、そんな食事のタイミングと肥満との関連について調べて、研究結果をとりまとめて発表しました。
この研究で注目されたのは、夕食を取る時間帯と夜食、朝食抜きが、肥満とどのように関係しているかです。研究グループは、日本人女性およそ2万人を対象に、朝食抜きと体重増加との関係を調べています。
研究を行ったのは、ふだんの食事のとり方についてのアンケート。さらに、肥満度との関係を分析しています。
アンケートで聞いたのは、「夜食」「遅い夕食」「朝食抜き」です。ちなみにそれぞれ次の条件に当てはまるかどうかから調べています。夜食は「夕食の後の軽食」、遅い夕食は「週に3回以上の就寝から2時間以内の夕食」、朝食抜きは「週に3回以上の朝食抜き」。
研究グループは仮説として、朝食を抜いている人は、夕食を遅くとっている傾向があり、そのことが太りやすさにつながるのではと考えていました。その結果とは?
朝食を抜きがちな人には、太った人が多い
調査からわかったのは、遅くに食事をとっている女性は、朝食を抜く傾向が強いことです。さらに、このように遅くに食事をとったり、朝食を抜いたりする人には太っている人も多いことがわかりました。
調査結果を見ると、規則正しく、早めに夕食をとるという生活を送っている人はどちらかといえばまれといえました。週に5日以上、就寝の2時間前までに夕食を済ませている人は11%にとどまっていたのです。
逆に言えば、9割近くの人は週に3日以上は、遅い夕食をとっているという状態なわけです。また、夜食が珍しくないことも確認されました。夕食後に軽食をとる人は22%と決して少なくありません。注目される朝食抜きとなっている人は8%。さほど多くはないかもしれません。分析すると、朝食を抜きがちな人は、夕食を遅めにとっているのは確かで、夜食もよく食べているようでした。
太りすぎとの関係を調べたところ関係は明らかでした。遅い夕食をとり、朝食を抜いている人は、いずれの場合でも、ない人よりも太っている傾向がはっきりしていたのです。その倍率は1.63倍。食習慣が肥満度に直結してくるのです。
研究グループでは、「夜遅くに食べたり、朝食を抜いたりすることで、カロリーのとり過ぎや新陳代謝が低下を招いているのでは」と説明しています。
2万人もの調査から見えてきた結果だけに、信憑性もありそうですし、夜食をいつも食べていたり、朝食を抜いていたりする人には耳の痛い話です。でも、ふだんの食べ方を見直すよいきっかけになるのかもしれません。
<参考文献>
厚生労働省「平成26年度厚生労働白書」
J Obes. 2019 Mar 3;2019:2439571. doi: 10.1155/2019/2439571. eCollection 2019.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30944735
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/pmid/30944735/