朝食を抜くと太ると言われるのを聞いたことがあるかもしれません。でも、忙しいとどうしても食べられなかったり、むしろダイエットのために抜いたりしている人もいるはず。実際のところ、朝食抜きは太るのでしょうか。このたびオーストラリアの研究グループがその本当のところを発表しています。その結果とは?
Contents 目次
朝食を抜くことはダイエットになるの?
朝食を抜くかどうかは、ダイエットや健康を考えたときによく問題になるところ。カロリーをカットするためには、朝食を軽めにしよう、または食べるのをやめようといった話は尽きません。一方で、朝食を食べないと、むしろ太りやすくなったり健康に悪い影響があったりするという見方も聞くことがあります。
日本では少なくとも1割程度の人が朝は何も食べていないか、軽く済ませていることがわかっています。厚生労働省の2017年の調査によると、20代の女性で食べていない人は14.1%、菓子や果物だけの人は9.5%。合わせると2割以上に上ります。なお、男性の場合は、食べていない人が18.3%、菓子や果物だけが12.3%で、合わせて3割とさらにきちんと食べていない人が増えます。
朝食を抜くことはよいのか悪いのかについて、このたびオーストラリア、モナッシュ大学の研究グループがダイエット効果という面から分析して発表しました。研究グループは朝食を抜くと体重が増えるという定説があると指摘しつつ、そもそも朝食をきちんと食べる人の生活習慣が乱れていなかっただけではという仮説をたてています。これまでの研究には偏りがある可能性を考えているのです。その辺りを考慮しつつ分析しています
体重は減らせていた!
研究グループはこれまでに報告された朝食とダイエットに関係する研究を検証したうえで、偏りなく結果を出していると考えられる13の研究を見直しました。そのうえで、ここから朝食を抜くことで体重にどのような影響が当たるかを調べています。
するとわかったのは、朝食を抜くことで体重が増えるどころか、むしろ体重を減らす効果があるということでした。朝食を食べたグループは、1日に摂取するカロリーが多くなり、どの研究でも、朝食を抜いたほうが体重は減り、カロリーも減っていたのです。
こうした結果がなぜ出たのかについて、研究の限界もあるようです。研究グループによると、研究の期間は平均7週間ほど。結論を出すには期間が短すぎるそう。一方で、朝食を抜く研究はなかなか長期間できないという難しさもあるといいます。朝食を抜くことで糖尿病が増えるという研究もありますが、今回の研究グループは、朝食を抜くと太るという常識はいったん“白紙”にしてはと言います。
これまでの研究は大人を対象としたものなので、子どもは朝食を食べたほうがいいのは前提と研究グループは強調しています。そのうえで、大人については朝食抜きが体重を減らすメリットを持っている可能性はまだ否定しきれないようです。
<参考文献>
BMJ. 2019 Jan 30;364:l42. doi: 10.1136/bmj.l42.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30700403