慶應義塾大学医学部 井上浩義教授が書籍『ハーバード大の研究でわかった ピーナッツで長生き!』を刊行。アーモンドの研究で知られている井上教授がピーナッツ推しに!? ピーナッツは健康効果が高いだけでなく、美容効果やダイエット効果も期待できるのだとか。そこで、井上教授にピーナッツについて聞いてみました。
Contents 目次
手軽に手に入りやすいピーナッツに注目!
まずは「どうしてアーモンドではなくてピーナッツ?」というところを聞いてみました。
「最大の理由は値段です。私が10年前にテレビ番組でアーモンドの効果を紹介したときに比べて今は値段が1.5倍くらいになっているんですね。じゃあ、どうすればいいの? と考えたときに、値段が安くて健康効果も高めのピーナッツを少し多めに食べませんか、ということなんです」
単にアーモンドよりピーナッツのほうがいいという話ではないのだそう。
「アーモンドもピーナッツも研究はずっと続けています。研究結果を見ると、アーモンド、クルミ、ピーナッツをくらべると、いつもアーモンドが勝つわけです。だから、いいものをすすめましょうということで、この10年、アーモンドをすすめてきました。でも、アーモンドは高くなってしまった。そこで、もっと手軽に食べられるピーナッツにも注目してもらいたいということなんですね」
アーモンドの値段は日本だけでなく、世界中で上がっているのだとか。
「世界的に需要がすごく伸びているんです。生産もすごく増えているのですが、需要に追いつかないんですね。アメリカではアーモンドミルクのほか、最近はバター状になっているアーモンドバターが人気です。以前はお菓子売り場に置かれていることが多かったのですが、最近は健康食品の売り場に置かれていることも多いようです。健康志向ということもあって需要が伸び、日本への輸入が増えないので値段が上がってしまうんですね」
ピーナッツの栄養効果はアーモンドの“7掛け”
ピーナッツの健康効果は、アーモンドには劣るものの、かなり高いのだそう。
「ピーナッツの健康効果はアーモンドの7掛けだと思ってもらえば、だいたい間違いありません。つまり、食物繊維もビタミンEも7割くらい含まれているということですね。でも、値段はアーモンドの3分の1くらいですから、とてもコスパがいいということなんです」
値段が安いのに栄養価の高いピーナッツは、栄養治療食としても使われているのだとか。
「アフリカや南アジアなどで飢餓に苦しむ子どもたちを助けるために、ピーナッツを主原料にしたペースト状の食べものが使われています。子どもならそれを1日1個食べるだけで健康に育っていけるんですね。そういうことからもわかるように、ピーナッツは子どもにいい食べものですし、もちろん大人や高齢者にとってもすぐれた健康食品なんです」
日本ではお菓子やおつまみのイメージの強いピーナッツに健康効果があるとは意外でしたが、カロリーが高そうなイメージもあります。
「そうですよね。“ピーナッツは太る”“ニキビができる”と思っている人が多いのですが、それは誤解です。ぜひそういう誤解をといて、ピーナッツの健康効果に注目してもらいたいと思います」
ピーナッツの健康・美容効果については、次回以降くわしく紹介していきます。
参考書籍
『ハーバード大の研究でわかった ピーナッツで長生き!』
取材・文/小高希久恵