太っていなくても、カロリーオフでさらに健康に──。そんな研究結果が米国で報告されました。ダイエットのためにカロリーオフというのはすぐに思いつきますが、その効果は体重を減らすだけにとどまらないようなのです。2年間、摂取カロリーを10%ほど減らすことで、さまざまな病気につながる体質も改善されることがわかったのです。
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カロリー制限で老化を遅らせる効果も?
今回の報告は、米国国立老化研究所(NIA)と国立糖尿病・消化器・腎疾患研究所(NIDDK)が支援した「カロリー」研究からの最新結果です。摂取カロリーを減らすと、寿命が延び、老化によるさまざまな変化や病気の進行が遅くなるという結果が動物実験で出ている中、カロリー制限の効果を初めて人間で調べた研究として注目されてきました。
この研究では、健康であまり太っていない(BMI 22〜27.9)男女218人を2つのグループに分け、一方のグループにはカロリーを25%カットした食事を2年間とってもらい、もう一方のグループにはそれぞれの食事を続けてもらいました。
そして心血管疾患やメタボに関係する多くの要素(血圧、血中脂肪、血糖値、インスリンなど)について、2年後の測定結果を比較しました。
健康な若い人でも循環器系によい効果
わかったのは、まずカロリー制限をしたグループでは、平均して11.9%のカロリー制限が達成されたということ(2467 kcalから2170 kcalに)。こうすることで7.5 kg、体重が減らせました。減量分のうち5.3 kgは脂肪が減らせたことによるものです。カロリー制限しなかったグループは0.1 kgの増加でした。
カロリー制限グループでは、ウエストのほか、血圧、コレステロール、中性脂肪、血糖値などの病気につながるすべての値が改善。カロリーを1割減らすだけでこれだけの効果があるというのは、研究グループも効果は大きいと指摘しています。
炭水化物カットが人気ですが、カロリーカットも効果は小さくないといえそうです。
<参考文献>
Moderate calorie restriction in young and middle-aged adults significantly reduces heart and metabolic risk factors independent of weight loss
https://www.nih.gov/news-events/news-releases/moderate-calorie-restriction-young-middle-aged-adults-significantly-reduces-heart-metabolic-risk-factors-independent-weight-loss
Lancet Diabetes Endocrinol. 2019 Jul 11. pii: S2213-8587(19)30151-2. doi: 10.1016/S2213-8587(19)30151-2. [Epub ahead of print]
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31303390
https://www.thelancet.com/journals/landia/article/PIIS2213-8587(19)30151-2/fulltext
Contemp Clin Trials. 2011 Nov;32(6):874-81. doi: 10.1016/j.cct.2011.07.002. Epub 2011 Jul 8.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21767664
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3185196/
文/星良孝