食べることが好きな人が、ダイエットを始めるときに食事の量を減らしたり、これまで好きな時に食べてきた大好物を断った生活を始めても、長く続けることは難しいですよね。ですから、もう、無理して続かないダイエットをするのは終わり! とってもシンプルで簡単なのに、健康的にやせることができる「寝かせ玄米生活」を近著『美と健康をかなえる メリハリ寝かせ玄米生活』の著者であり、食養研究家の荻野芳隆さんに教えていただきました。
Contents 目次
玄米の栄養をおさらい
玄米が健康食であることは、いまや常識。でも実際にはどんな栄養があるのでしょう?
「そもそも玄米とは、収穫した稲から外した籾の籾殻を除いた状態のことで、稲の種ですね。その玄米から果皮、胚芽、ぬかを削り取ったものが白米です。何よりこの削った果皮、胚芽、ぬかに栄養が豊富なので、玄米は白米と比較してビタミン、ミネラル、食物繊維が何倍も含まれます」(食養研究家・荻野芳隆さん)
白米はたしかにおいしいけれど、栄養の部分がすっかりそぎ落とされているんですね…
「消化・代謝・排泄に非常に重要で、ダイエット、美容にも効果のあるビタミン、ミネラル、食物繊維の副栄養素をわざわざ削って捨てて、栄養不足をサプリで補うなんて、こんなにバカな話はありません。つまり、主食のごはんを玄米にしてしまえば、簡単に副栄養素がたっぷりとれるので、野菜などのおかずを何品も作る手間がかかりません。茶碗1杯の玄米ご飯を食べることは、『主食+栄養素が豊富なおかず』を一緒に食べるようなもの。玄米は、効率よく栄養がとれるパーフェクトフードなのです!」
「寝かせ玄米」を食べる3大メリット
改めて、玄米には豊富な栄養素が含まれていることがわかったものの、玄米はぼそぼそしていておいしくない、と思っていませんか? そんなあなたにオススメなのが、今流行中の「寝かせ玄米」です。寝かせ玄米とは、玄米を炊いてから3~4日熟成させたまったく新しい玄米の食べ方。そのメリットを3つ挙げるとするならば…
1、簡単・手間なし
「炊き方は、コツを覚えれば簡単! 保温ジャーに入れておけば、いつでもおいしい寝かせ玄米が食べられます。一度にたくさん炊いて3~4日で食べ切るので、炊くのは週に2回程度。実は白米よりもラクちん!」(荻野芳隆さん)
2、とにかくおいしい
「寝かせ玄米は、もちもちとして、おこわのような食感。甘みと旨味があって、おいしいから毎日食べ続けられます。噛み応えがあり、おなかも満足。いろいろな食べ方のバリエーションも楽しめます」
3、経済的で健康的
「寝かせ玄米を主食にすれば、何品もおかずを用意しなくてもOK。昼は玄米おむすびや簡単なお弁当を持参。家に帰ればジャーに保温してある寝かせ玄米があるので、スーパーの総菜やコンビニの弁当に頼ったり、外食したりすることが減り、無駄な出費も体型もスリム化できます」
ただし、玄米を寝かせたからといって栄養価が変わるわけではないそう。おいしく食べることで、継続できることが、寝かせ玄米の強みなのです。
寝かせ玄米をとりいれた食生活の実践法3選
ただ単に白米を寝かせ玄米に変えて食べればいい、というわけではありません。もちろん、乱れた食生活は同時に見直すべき。そこで、寝かせ玄米をとり入れる際にいっしょに実践したい、食生活の改善点を3つ紹介します。
<1>1日2食にして、最低1食は寝かせ玄米を食べる
「『朝は食べない、昼に寝かせ玄米、夜はある程度好きなものを食べる』このメリハリのつけ方なら、無理なく続けられます。朝昼をコントロールするものが美と健康を制すのです。なぜ朝食を抜くのかというと、1日3食は明らかに食べ過ぎだから。人間を含む動物は、空腹のほうが基本です。食べ物が世にあふれて困らない、なんて時代はここ60年くらいのことで、動物は空腹には強いが飽食には弱いのです。胃腸を休ませ回復させる時間が必要なので、1日24時間の中で最低でも12時間、胃腸に食べ物を入れない時間を作るとよいでしょう。そう考えると朝食を抜くのが一番簡単なのです」(荻野芳隆さん)
<2>食事のメニュー選びは「割合と質」を見る
「割合を満たし、しっかり代謝される食事の黄金比は、『玄米6:野菜、きのこ、海藻
3:肉、魚、卵、乳製品、大豆1』。献立を考えるとき、外食でメニューを選ぶときも、この割合を基準にします。肉、乳製品、卵、お菓子はできるだけ減らして」
<3>飲み物は水かお茶に!
「飲み物は絶対にノンシュガー、無添加にしましょう。市販の健康風ドリンクは、砂糖、添加物が入っていないか表示をチェック。野菜ジュース、フルーツジュース、スムージーなどは、果汁100%以外は論外としても、健康のために飲む必要はありません。好きで飲むならたまに嗜好品として、もちろん果汁100%のストレート、手作りで生ならなおいいです。フルーツジュースは糖分が多いため飲み過ぎに注意」
寝かせ玄米を炊いてみよう!
寝かせ玄米を作るのがめんどう…とあきらめていた人も、ぜひ一度チャレンジしてみて。覚えてしまえば、こんなに簡単で手間なしの健康食はありません!
道具
- 圧力鍋
- 保温ジャー
- ザル
- 泡立て器
材料(つくりやすい分量)
- 玄米:6合(882g)
- 小豆:42g
- 塩:5g
1、 玄米と小豆を洗って浸水させる
玄米と小豆を圧力鍋の内鍋に入れます。水を注ぎ、1回目はさっと混ぜてすばやく水を捨てて。
再び水を注ぎ、泡立て器でがじゃがじゃと全体を混ぜて洗い、水を3~4回替えます。
玄米が浸かる量の水を入れ、1時間ほど浸水させます。その後、ザルにあげて水気をしっかりきりましょう。
2、塩と水を入れる
内鍋に玄米と小豆を移し、水920ml、塩を加えます。泡立て器でぐるりと混ぜ、塩が全体にいきわたるよう溶かして。
3、圧力鍋をセットし、中火にかける
圧力鍋の本体に水600mlを入れ、玄米を入れた内鍋を中央にセットします。
圧力鍋にふたをして、オモリは重いほう(金色)をセットします、中火にかけ。圧力がかかるのを待ちます。オモリが揺れはじめるのが30分ぐらいが理想。「シュシュシュ」と音がし、安定してオモリが揺れ出してからさらに30分炊きます。
4、蒸らす
ふたを開けずに、そのまま60分ほど蒸らします。圧力が抜けたらふたを開けて。しゃもじで十字を入れ、小豆が均一に混ざるように全体をほぐしましょう。
5、保温ジャーに入れる
炊き上がった玄米ごはんを保温ジャーに移します。炊飯器を保温モードにして使っても。
しゃもじで底から1日に1回混ぜ返します。内側の側面にごはんがこびりつくとカピカピになりやすいので、できるだけふれないように整え、山のように盛っておきましょう。
6、炊いた日からおいしく食べてOK! 寝かせながらおいしく食べる
炊き立ての玄米ごはんは、ツヤがありもちっとしておいしく食べられます。炊いた日から食べはじめ、保温ジャーで3~4日熟成しながら食事に取り入れましょう。寝かせるほどに旨みや甘みがアップします。
体にいい玄米をおいしく食べて、同時に食生活を少し見直してみて下さい。たったそれだけのシンプルな方法で、美と健康を叶えることができるなら、誰にでもできそうな気がしませんか? ぜひ寝かせ玄米生活を始めてみてはいかがでしょうか。
文/掛川ゆり、FYTTE編集部 撮影/矢野宗利