基礎代謝を上げるためには筋肉をつけること。そう思いがちですが、実は、私たちの体の代謝量の1日の内訳をみると、筋肉18%に対して肝臓27%と肝臓のほうが基礎代謝が大きいのです。そのことに着目し、肝臓を整える食事法で、やせやすい体づくりを提唱している管理栄養士の豊田愛魅さんに、そのやり方を教えていただきました。
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毎食20gのたんぱく質をとる!
肝臓は代謝や解毒などさまざまな機能を担い、その修復のためにはたんぱく質が使われます。つまり、肝臓にしっかり働いてもらうためには、たんぱく質を十分に補給することが大切。まず、1日とるべき量から頭に入れましょう。
「18歳以上の女性の場合、たんぱく質の1日の推奨量は50gですが、ダイエット中は糖質を制限している場合が多いので、少し多めにとったほうがベター。目安は体重1Kgあたり1.2gです。たとえば、ダイエット中で体重50kgの女性なら、一日の目安量は60gとなります」
みなさんは、毎日、この量をとれているでしょうか? 1日60gとるということは、1食で考えると20g。このとき注意したいのは肉や魚を20gとればOKではないということ。たとえば、牛のステーキ肉で、約20g のたんぱく質をとるには100g食べる必要があります。
「たんぱく質の含有量は、食材によって違いますが、全部覚えるのは大変ですよね。そこで、目安として、毎食、手のひらサイズの肉や魚をとると覚えておくとよいでしょう。牛ステーキや鶏肉なら手のひらサイズ、魚なら切り身一切れ、卵は2個、卵1個+納豆1パックで、だいたいその量となります」
朝イチたんぱく質はダイエットに効果大
毎食、たんぱく質をとろうとしたとき、いちばんとりにくいのが朝食です。どうしても、朝食は抜いてしまったり、食べてもパンだけ、おにぎりだけといった糖質のみの食事になりがちだからです。「私もダイエットがうまくいかなかったとき、そんな状態でした。でも、朝食にたんぱく質をとらないと、1日60gという推奨量をクリアするのはなかなか大変です。それに、朝のたんぱく質はダイエット効果が高いんです。海外の論文によれば、朝食にたんぱく質をとっているほうが、1日を通して食欲が抑えられ、間食やドカ食いが減らせるというデータもあるんですよ」
プロテインかTKGをスタンダードに!
ダイエット効果を高めるためにも、「朝イチたんぱく質」を習慣にしてほしいと、豊田さんが朝食にすすめるのがプロテインと卵かけごはん=TKGです。
「私自身、この2つを朝食のスタンダードにすることで、続けるのがラクになりました。プロテインはプレーン味を選んで100%のフルーツジュースで割ります。オレンジ、りんご、グアバなど割るジュースを変えることで、味のバリエーションが広がるので飽きません。フルーツジュースから糖質もとれるので朝食としていいんです。TKGのほうは、納豆をプラスすれば18gくらいのたんぱく質はとれます。トッピングをアレンジすれば、こちらも飽きません。もちろん、イレギュラーに生食パンのおいしいのをいただいたら、それを朝食にすることはあります。そこでガマンするとストレスになってしまいますから。でもベースはこの2種類の朝ごはん、と決めておけば、忙しい朝でも何も考えずに作れて便利です」
大豆製品をストックして味方にする
たんぱく質を豊富に含む食材には、肉、魚、大豆製品などいろいろな種類があります。そのなかで、意識してとりたいのが大豆製品だそうです。
「たんぱく質は毎食種類を変えてローテンションしていくのが理想です。肉や魚は外食で食べることが多いのですが、大豆製品はなかなかとりにくい。そこで、納豆、豆乳、蒸し大豆(市販品)などをストックしておいて、上手に朝食や間食などにとり入れましょう。大豆は煮ると栄養成分が煮汁に出てしまうので、水煮よりも蒸したものがおすすめです」
吸収がゆっくりで腹持ちがよいと言われるのが、大豆に含まれるソイプロテイン。じょうずにとり入れれば、ダイエットの心強い味方になってくれそうですね。
肝臓サポート成分は常備食材でプラス
肝臓機能を高めるためには、たんぱく質とともに肝臓サポート成分をとるとさらに効果的です。代表的なものは亜鉛、リコピン、クルクミン、タウリン、オルニチンなどです。ただ、これらを料理で取り入れようとするとハードルが高いので、タウリンを豊富に含むかきなどは、外食でとることにして、ふだんの生活でおすすめなのは常備食や調味料の活用です。
なかでも豊田さんおすすめの方法をご紹介しましょう。
*リコピンはトマトジュースやトマトケチャップで
トマトジュースを常備し、煮こみ系の料理にプラス。お酒を飲む人はトマトジュースで割るのもおすすめ。トマトケチャップはみそに混ぜ、トマみそにしてストック。そのままみそ汁に入れたり、おかずみそとして野菜につけて食べたり、ヨーグルトを足してディップにするのも○。
*クルクミンはカレー粉で
カレー粉と塩を混ぜてカレー塩として常備。ゆで卵につけるなど、味つけ塩として活用。
*オルニチンはしじみで
冷凍しておいてみそ汁に。
たんぱく質を豊富に含む食材は動物性が多く腸が汚れがちになるので、腸内環境を整える
食物繊維を豊富に含む食材も同時にとるようにするとよいそうですよ。
取材・文/野上郁子(オフィスhana)
もっと詳しく知りたい人は
『ずぼやせ 「生きているだけで痩せる体」をつくる食事術』 (豊田愛魅著/光文社)
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