「ダイエットに大切なのは自分の脳や体の仕組みに関心を持つこと」と話すのは、作業療法士の菅原洋平さん。クリニックで睡眠外来を担当するほか、生体リズムや脳の仕組みを活用した人材開発、企業研修を行っています。なぜ脳がむやみに食べたがるのか、食べると脳がどうなるのか、生理学的なダイエットはガマンや意志の強さとは無関係です。今回は、菅原さんの著書『ストレス0(ゼロ)ダイエット』(詩想社)から、ダイエットの基本となる「メタ認知」についてお伝えしていきます。
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メタ認知ができればダイエットも仕事もうまくいく
「食べる作業を、自己成長や生産性向上につなげるには、自分のことを他人事のように扱う“メタ認知”という能力が役立ちます。『メタ』とは、高い次元の、という意味で、自分自身を一段上から観察して行動を制御する能力です」と菅原さん。
ダイエットでも仕事でも自分を客観視できると、自分の行動をコントロールしやすくなります。
たとえば、夜遅い勤務が続くとコンビニですぐに食べられるものを大量に買ってドカ食いしてしまう会社員の男性がいるとします。
「メタ認知がされていると、“自分は勤務が夜遅くなると、やたらに食べたくなるらしい”とか、
“あまりにも疲れていてコンビニに寄らずに帰って眠ってしまったときは、翌朝スッキリ起きられた”という感じで、自分の行動に良し悪しの判断をせずに事実を観察することができます。そして、並べられた事実から自分の最適な行動を選択することができます」(菅原さん)。
メタ認知で罪悪感とも無縁に
メタ認知にはモニタリング(観察)と コントロール(制御)という2つの要素が必要。自分の行動をあたかも他人事のようにモニタリングして、その結果から意図的に行動をコントロールします。
「世間一般の判断基準や自分の感情は関係ないので、“夜中に食べてはいけないのに食べてしまった”という罪悪感や挫折感では、メタ認知できているとは言えません。そうではなく、客観視して行動をコントロールすることです」(菅原さん)。
ついつい食べてしまう、ストレスで食べしてしまう、時間がきたから食べるなどの食行動は、脳によって起きているので、その理由をつかむことがダイエットの大きな助けになります。生きていくうえで食べることは欠かせませんが、お腹が空いて食べるのか、習慣だから食べるのか、ストレス発散のために食べるのか。
自己成長のための食事でも、望まない行動をしてしまうときでも、「大切なのは、“どんなつもりで食べるのか”を意識すること」だと菅原さんは話します。
そのうえで「どう食べるか」を自ら選んで臨む。そんな自分をイメージしていきましょう。
文/庄司真紀
菅原洋平(著)『ストレス0(ゼロ)ダイエット』(詩想社)